ヨカッタ探し

ヨカッタ探し

December 8, 2005
XML
カテゴリ: 読書ろぐ(mystery)
恩田陸『ユージニア』


ホットカーペットの範囲内でゴロゴロと1日を過ごしました。(^_^;
今日のゴロゴロの友は、恩田さんの『ユージニア』。
恩田さんは昨年辺りからはまってる作家さんですが、
作風が型にはまっていなくって、独特のムードもあり、
なによりストーリーにぐいぐい引き込まれてしまうので、
新作が出る度に、注目しています。
精力的に活動していらっしゃるのと、はまるのが遅かったせいで、
読むのが追いつかない…。

わたしが好きになる作家さんは、割と寡作なことが多いので、
恩田さんや石田衣良さんの存在はありがたい(笑)。

さて、『ユージニア』。
まずそのタイトルの意味が不思議でした。
装丁もとても変わっていて、作品のムードを盛り上げる。
最近は文庫も素敵な装丁が増えてきましたが、やっぱり、
ここまでのデザインは単行本でないと楽しめないですね。

語り手は、昔の事件を追っています。
古い歴史のある街で、尊敬を集めていた一家を襲った悲劇…。
当時、すぐそばで事件を目撃した少女が、10年後に
丹念にその事件を取材して、1冊の本を著します。

今は主婦となっている著者も、事件の語り手の1人として登場。
多くの人の視点から、事件の真相が浮かび上がってくる…。
読んでいて気になるのは、語り手は誰なのか、ということ。
もう一度、事件を追おうとするその意図はどこにあるのか。
事件は、容疑者の唐突な自殺によって一応の幕が下りています。

大学生となった目撃者の少女は、事件の取材の中で、
当時から囁かれていた「黒幕」の存在に気付きます。
事件を担当した刑事も、実は真犯人と目される人物に、
気がついていて、なんとか捕らえようとしていたのです。
本当に、その人は真犯人なのか?
怪しく見える素振り、今も事件は続いている?

とてもサスペンスフルな展開でした。ドキドキ。
途中で、ゴロ寝からむくっと起き上がり、姿勢を正して
しまうほど。
恩田さんの特徴だと思うんですが、これだけ血なまぐさい事件を、
ハラハラドキドキの展開で描いているのに、どこか、
耽美…というのも違うなぁ、うーん、女性的な繊細さ、だとか、
しなやかさを失ってないんですよね。
今回の事件なんて、被害者数といい、毒殺というその手法といい、
地方の旧家が舞台なところといい、横溝正史ばりに
凄惨な、ドロドロとした物語になりそうな舞台設定なんですが。
ただのミステリ、と分類するのすらためらうような…。
恩田さんらしい不可思議な魅力がつまってます。

あー、面白かった。
既読の恩田作品の中でも、これはかなり好きです。オススメ。
この作品も図書館で借りてきました。
今回のはどれも当たりだったなぁ、と嬉しいけれど、
もう1作品しか残ってない。(>_<)
またヒマを見て、図書館へ行かねば…。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  December 9, 2005 11:40:54 PM
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

プロフィール

しゃちべえ

しゃちべえ

コメント新着

しゃちべえ @ nanaco☆さんへ コメントくださっていたんですね!! 放…
nanaco☆ @ Re:7月の読書メーター(前半)(08/02) おはようございます♪ おぉっ、HN変更さ…
しゃちべえ @ イノさんへ わー、コメントありがとうございます☆ …
イノ@ 再開祝い 更新されなくなってからも、チョコチョコ…
anna2号 @ ごぅだいさんへ >annaさんお久しぶりです。ごぅだいです…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: