プレリュード

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2006年07月06日
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カテゴリ: クラシック音楽
追記

今日胃腸科専門医院で診察を受けました。 胃カメラは来週初めに受けることになりますが、今日のレントゲン検査などで医師は「胃に潰瘍が出来ている可能性が大」との診察所見でした。 今日もチクチクした痛みは治まりません。 全ては来週の胃カメラによる検査でわかるでしょう。

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今日のクラシック音楽 』     不死身の指揮者 オットー・クレンペラー

7/06

イギリスを本拠地として1950-1960年代に活躍した指揮者にオットー・クレンぺラーがいます。 私が中学生の頃にはトスカニーニ、フルトヴェングラー、ブルーノ・ワルターなどと共にレコード界ではドル箱スター的存在の指揮者でした。 たしかベートーベンの第9交響曲を30cmLP番1枚に録音して「1枚の第9」として売り出した、最初の指揮者ではなかったでしょうか(間違っていましたならばごめんなさい)。

このクレンペラーには色々とエピソードが残されています。 有名な出来事はほとんど彼の生死に関わることばかりです。

1937年、彼が64歳で悪性の脳腫瘍にを患い、指揮者生活もこれで終わりかと誰もが思ったそうですが、驚異的な精神力でこれを克服して見事に指揮台に戻ってきたり、指揮台から転げ落ちて頭を強打して指揮不能が8年間もあったり、乗っていた飛行機が離陸直後に墜落しても大腿部の複雑骨折だけで奇跡的に命拾いをしたりで、彼には「再起不能」という烙印を何度も押されたそうですが、この飛行機事故から3年後にバイロイト音楽祭のオーケストラピットに立っていました。



それでも彼は不屈の精神力で9ヶ月後の闘病生活のあと「不死鳥」のように指揮台に戻ってきました。 まさに「不死身の指揮者 オットー・クレンペラー」です。

そしてバイロイト音楽祭でワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」を振って、大ワーグナーの孫でこの舞台の演出家でもあった、ヴィンラント・ワーグナーが「大ワーグナーの本当の音を聴かせる指揮者」と感激したという有名なエピソード付きで、クレンペラーは戻ってきたのでした。

クレンペラーのステレオ録音で残されている、ワーグナー管弦楽曲集、ベートーベンの交響曲全集、ピアノ協奏曲全集(ピアノは若き日のダニエル・バレンボイム)、ブルックナーの第9交響曲、マーラーの交響曲「大地の歌」、ブラームスの交響曲全集、メンデルスゾーンの「スコットランド」「イタリア」交響曲、「真夏の夜の音楽」、ベートーベンのオペラ「フィデリオ」などを買って聴いています。

彼のテンポは他の指揮者のそれと比べると遅く、響きは非常に重厚なのが特徴です。 それがために音楽のスケールはとてつもなく雄大で、テンポが遅いので音楽の細部が見えてくるような演奏です。 どの曲も重厚で雄大・壮大な響きで私の心の琴線を揺るがせる指揮者の一人です。

最晩年にはまた脳疾患で半身不随となり指揮棒を振れない状態だったそうですが、その頃に録音された演奏は、遅いテンポに拍車がかかったような神がかり的な名演奏となって残っているのもあるそうです。

「不死身の指揮者」オットー・クレンペラーは1973年の今日(7月6日)、88歳の生涯を閉じています。

愛聴盤  ベートーベン 交響曲第4番 ウイーンフィル

UCCN1057 1968年5月26日 ウイーンライブ 7/06
(オルフェオ原盤 ユニヴァーサル・クラシック UCCN1057 1968年5月26日ウイーンライブ録音)

遅いテンポで実に重厚な響きが全曲を覆っていて、弦の各セクションの動きが手にように見える、第4番の稀有の演奏で、このディスクによってこの曲の素晴らしさを知った、まさに目から鱗が落ちたとも言える最晩年の演奏記録です。 収録曲はベートーベン「コリオラン」序曲とシューベルトの「未完成」交響曲です。

ワーグナー管弦楽曲集  フィルハーモニア管弦楽団

5678962 1960-61年録音  7/06
(EMIレーベル 5678962 1960-61年録音 海外盤)





5627602 1955年録音
(EMIレーベル 5627602 1955年録音 海外盤)

メンデルスゾーン 「スコットランド」 「イタリア」 フィルハーモニア管弦楽団

TOCE59009 1960年録音 7/06
(EMI原盤 東芝EMI TOCE59009 1960年録音)

ベートーベン オペラ「フィデリオ」全曲


SBT21328 1961年録音
(BBC音源 TESTAMENT原盤 ユニヴァーサル・ミュージック SBT2 1328 1961年録音)



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今日の音楽カレンダー

1937年 誕生 ウラディミール・アシュケナージ(ピアニスト・指揮者)
1973年 没  オットー・クレンペラー(指揮者)

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ともの『 今日の一花 』           水カンナ

水中に植わっている花でなかなかお目にかかれない花の一つです。 先日黒鳥山公園の灌漑用池に自生する花蓮を撮りに行って、咲いているのを見つけました。 この花は昨年も撮ったのですが時期が遅かったのでいい被写体にはならなかったのですが、今年は群生で蓮と一緒にたくさん咲いていました。 紫の花が鮮やかな花です。 真っ直ぐに天に向かって咲いているのもあれば、横に曲がって水面に落ちていくように咲いているのもあります。 この画像は蓮の大きな葉に花びらを落としながら散っていこうとする花です。

7/06撮影地 大阪府和泉市 黒鳥山公園 2006年6月30日

くずうこん科 タリア属

水中に生えており、夏になると紫色の花が咲きます。
ほとんど見かけることのない花です。

葉がカンナに似ているところから命名されているようです。






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最終更新日  2006年07月06日 20時11分38秒
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アシュケナージ氏  
ピア2753  さん
彼は小柄なのでお若く見えていますがもう69歳になるのですね。
ポリーニ氏、アルゲリッチ女史らとピアノ界を賑わせたのが昨日の事のようです。 (2006年07月06日 09時14分28秒)

ピア2753さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
ピア2753さん
>アシュケナージ氏
>彼は小柄なのでお若く見えていますがもう69歳になるのですね。
>ポリーニ氏、アルゲリッチ女史らとピアノ界を賑わせたのが昨日の事のようです。


最近のアシュケナージは指揮者としての存在感がぴったりと落ち着いてしまいましたね。 彼の年に驚いて、自分の年を思うと更にびっくりです。

-----
(2006年07月06日 13時09分49秒)

Re:不死身の指揮者オットー・クレンペラー/水カンナ(07/06)  
会長0804  さん
クレンペラーのベートーヴェンはどうも重すぎてあまり好きではないのですが、さすがにマーラーの大地の歌や復活は素晴らしいですね。EMIの録音がもう少しクリアであればといつも感じるのですが、あれはリマスタリングのせいなのでしょうか? (2006年07月06日 17時34分14秒)

Re[1]:不死身の指揮者オットー・クレンペラー/水カンナ(07/06)  
とも4768  さん
会長0804さん
>クレンペラーのベートーヴェンはどうも重すぎてあまり好きではないのですが、さすがにマーラーの大地の歌や復活は素晴らしいですね。EMIの録音がもう少しクリアであればといつも感じるのですが、あれはリマスタリングのせいなのでしょうか?
-----

リマスターされると必ずしも音質が向上するとは限りませんね。 彼のリマスター盤でいいのはメンデルスゾーンくらいだと感じています。 

このウイーンフィルとの68年のコンサート・ライブは極端にテンポが遅く(朝比奈先生より遅いかも?)私には驚きの演奏でしたが、第4にはこんな素晴らしさがあったのかと、クライバー、ムラヴィンスキー以来の驚きです。 しかしとても好きな演奏として聴いています。

(2006年07月06日 18時08分26秒)

Re:不死身の指揮者オットー・クレンペラー/水カンナ(07/06)  
たけぽ2001  さん
潰瘍ですと痛みますね、どうぞお大事に。
私も2度潰瘍を患いましたが、随分と痛かったです。
何かご心労があるのでしょうか。
水カンナ、初めて拝見しました。水生植物なんですね。
こちらでは見かけません。
(2006年07月06日 23時45分18秒)

たけぽ2001さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
たけぽ2001さん
>潰瘍ですと痛みますね、どうぞお大事に。
>私も2度潰瘍を患いましたが、随分と痛かったです。
>何かご心労があるのでしょうか。

そうですか、二度も患われたご経験がおありなのですね。 チクチクと痛みがあります。

>水カンナ、初めて拝見しました。水生植物なんですね。
>こちらでは見かけません。
-----

私もこの公園の池で見かけるだけで、他では見たことがありません。 昨年に初めて見たのですが、名前がわからなくて困りました。 それほどきれいな花ではありませんが、珍しいので今年も撮りました。

(2006年07月06日 23時54分30秒)

Re:不死身の指揮者オットー・クレンペラー/水カンナ(07/06)  
嫌好法師  さん
胃の具合いかがですか。心配ですね。
たいしたことがありませんように祈っております。
お大事にしてください。 (2006年07月07日 01時20分16秒)

嫌好法師さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
嫌好法師さん
>胃の具合いかがですか。心配ですね。
>たいしたことがありませんように祈っております。
>お大事にしてください。
-----

ご心配していただいて、ありがとうございます。 まだチクチクと痛みます。 来週の胃カメラ検査ではっきりすると思います。


(2006年07月07日 03時04分51秒)

お久しぶりです。  
魔神8888  さん
クレンペラーですよね~、不滅の不死鳥伝説ですよ。
何度苦悩にぶち当たってもこれだけ成功し、楽団員も付いてくる独裁君主みたいな人はごくまれですよね。
いまだに不思議に思っているんですけど、クレンペラー自身190cm以上あったわけで客席から見ていたらどんな感じだったんでしょうね?怪我をしてから車椅子、椅子といったものに頼って指揮をしていますが、座っていますが小さいようにも感じられず・・。楽団員も相当なプレッシャーと言いますか威圧感があったでしょうね。
演奏もどれもいいと思います、一番初めに出会ったときのシューマンの第3番、第4番の遅さに驚いて売ってしまった記憶がありますが、今考えれば間違いでしたね・・。
(2006年07月07日 09時14分47秒)

魔神8888さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
魔神8888さん
>お久しぶりです。

書き込みをありがとうございます。

>クレンペラーですよね~、不滅の不死鳥伝説ですよ。
>何度苦悩にぶち当たってもこれだけ成功し、楽団員も付いてくる独裁君主みたいな人はごくまれですよね。


まさに「不死鳥」という言葉がぴったりの人ですね。 彼の写真はどれも非常に厳しい表情ばかりで、信念の強さを感じますね。

>いまだに不思議に思っているんですけど、クレンペラー自身190cm以上あったわけで客席から見ていたらどんな感じだったんでしょうね?怪我をしてから車椅子、椅子といったものに頼って指揮をしていますが、座っていますが小さいようにも感じられず・・。楽団員も相当なプレッシャーと言いますか威圧感があったでしょうね。


彼の映像は1枚だけ(DVD)持っていますが、厳しい表情に終始しており、遅いテンポで音楽を裸にしていくような迫力があります。 おそらく楽員も相当プレッシャーを感じながらの演奏だったのでしょうね。

>演奏もどれもいいと思います、一番初めに出会ったときのシューマンの第3番、第4番の遅さに驚いて売ってしまった記憶がありますが、今考えれば間違いでしたね・・。
-----

私も覚えています。 学生時代にカラヤン盤のあとに友人から借りたシューマンのLP盤を聴かせてもらったのですが、テンポの遅いのに当時は辟易しました。 正直、クレンペラーを好きになったのはCD時代になってからなんです。 友人からは「過去の遺物」ばかり聴いていると笑われていますが、もうこのような指揮者の演奏を聴けないとなると、いっそう好きになってしまいます。

(2006年07月07日 15時04分41秒)

Re:不死身の指揮者オットー・クレンペラー/水カンナ(07/06)  
ともさん、胃の調子はいかがですか?
病院でよう~く検査してもらって、無理しないでじっくり養生してくださいね。

クレンペラーは重厚なイメージがあります。
そんなスゴイ不死鳥伝説があったとは!
遅いと言えばジュリーニもかなりテンポが遅いですよね。
今日コバケンさんの演奏会に行く途中のクルマの中でジュリーニのブラ2を聴いてましたが、聴き終わる前に着いてしまいました。
(2006年07月08日 23時50分38秒)

ピーヒャラ5656さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
ピーヒャラ5656さん
>ともさん、胃の調子はいかがですか?
>病院でよう~く検査してもらって、無理しないでじっくり養生してくださいね。


ご心配をいただいてありがとうございます。 来週火曜日に胃カメラ検査を受けて詳しく調べてもらいます。 相変らずチクチクと痛みます。

>クレンペラーは重厚なイメージがあります。
>そんなスゴイ不死鳥伝説があったとは!

特に最晩年は尋常でない重厚さがあります。 テンポが遅く、その分音楽の細部までわかるような演奏になっていますね。

>遅いと言えばジュリーニもかなりテンポが遅いですよね。
>今日コバケンさんの演奏会に行く途中のクルマの中でジュリーニのブラ2を聴いてましたが、聴き終わる前に着いてしまいました。
-----

私はブルックナーとブラームスやシューベルト、それにフランス音楽、バッハのミサ曲などを聴いていますが、ジュリーニのテンポは遅いとは感じませんが、じつに伸びやかに、しなやかなにオーケストラを鳴らす指揮者ですね。 
(2006年07月09日 01時42分44秒)

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