プレリュード

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2007年05月22日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽

最近自分が死んでしまった夢をよく見ます。 一昨夜まで四夜続けて見るという嫌なことが続いています。 まさか今は死に直面することはないと信じ切ってはいますが。 それでも急死するようなことがあればと思い、近所に住む人で、私が高校生の頃からクラシック音楽を論じ合う友人に楽天のIDとパスワードを教えて「万が一のことがあれば、所有するCDの処分と不慮の出来事を日記に書いてくれ」と頼んでおきました。 

何か嫌な気分なんですが、突然このブログが休止するようなことが起これば、と思って頼んだことです。

神さまから体の麻痺を守っていただいて、こうして日記を書き続けることができる幸せに感謝しながらおかしな行動ですが、あまりにも変な夢を見続けるので頼みました。 そんなことが起きないように今日は初演日でもあるので、ヴェルディの「レクイエム」を採り上げました。

ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)は、「アイーダ」「椿姫」「オテロ」など「オペラの神様」と言われるイタリア・オペラの大作曲家です。 そう、あのヴェルディが書いた「レクイエム」です。

「レクイエム」とは、「死者のためのミサ曲」とも呼ばれているように故人の安息を祈る、カソリック教会の儀式に演奏される音楽のことです。 「我のすべてを許し給え」と祈る言葉を根幹に永遠の命を祈る音楽です。

多くの作曲家がこの「レクイエム」を書いています。 モーツアルト、ベルリオーズ、ケルビーニ、フォーレ、ヴェルディの曲を「五大レクイエム」と呼ぶ人がいるくらいに、この曲には名曲が多く残されています。

それらの中で最もドラマティック(劇的)なのがこのヴェルディの曲です。 まるで彼のオペラを聴いているような感じのする曲です。 



ヴェルディはロッシーニ(1792-1868)をすごく尊敬していたようです。 そのロッシーニが1868年11月13日に亡くなりました。 その死を悼んでロッシーニに世話になった12人の作曲家と相談して、「レクイエム」を共同で作曲して彼の墓前に捧げようという計画でした。 ヴェルディは「リベラ・メ」(赦祷文~我を許し給え)を担当して作曲を終えたのですが、他の作曲家との足並みがそろわずに、この計画がお流れとなってしまいました。

時が経って5年、今度は1873年に当時イタリアが誇る大詩人アレッサンドロ・マンツォーニが88歳の生涯を閉じました。 ヴェルディは若い頃からマンツォーニをすごく尊敬していたそうなんですが、あまりの衝撃で葬儀にも列席せずに一人静かに墓前へ参ったそうです。 その墓前でマンツォーニを悼む心から再び「レクイエム」の作曲を思い立って、固く心に誓ったそうです。

こうして世紀の名曲「レクイエム」のお膳立てが揃い、ヴェルディは作曲に打ち込んでこの大曲を完成させたのでした。 このときヴェルディは63歳だったそうです。

曲は、7曲から構成されており第2曲「怒りの日」は全9章からなる長大な曲で、全曲中最も劇的な楽章となっています。

第1曲 「レクイエムとキリエ」(入祭文)

第2曲 「ディエス・レイ<怒りの日>」(続誦)

    第1章 怒りの日
    第2章 不思議な響きを伝えるラッパが鳴り渡る
    第3章 書き記されている書物が
    第4章 憐れな私は

    第6章 慈悲深きイエズス
    第7章 私は、自分のあやまちを嘆き
    第8章 呪われし者どもを罰し
    第9章 涙の日

第3曲 「オッフェルトリウム<栄光の王>」(奉献誦)



第5曲 「アニュス・ディ<神の子羊>」(神羊誦)

第6曲 「ルックス・エテルナ<永遠の光明を>」(聖体拝領誦)

第7曲 「リベラ・メ<我を許し給え>」(赦祷文)

最後の「リベラ・メ」はロッシーニ追悼時に書かれた音楽をそのまま採用しているそうです。

この音楽はベルリオーズの「レクイエム」とよく比べられます。 非常に劇的に書かれているからでしょうか。 しかし、ヴェルディのこの曲は最も華やかな感じのするオペラ的な音楽で塗りつぶされています。 独唱でも重唱や合唱でもオペラを聴いているような感じになるほどです。 フォーレの静かな、平安な「レクイエム」とは対極をなす音楽です。 演奏時間も、モーツアルト、フォーレ、ケルビーニなどと比べると長く、このヴェルディの曲はCDで1枚物はありません。 (例外はトスカニーニ盤です。77分という演奏時間で1枚物です)。

音楽は非常に美しく書かれており、90分ほどかかる大曲ですが長さを忘れて聴き入ってしまいます。

マンツォーニの一周忌にあたる1874年の今日(5月22日)、この「レクイエム」が初演されています。

愛聴盤

(1) サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団・合唱団
   モンセラート・カバリエ(ソプラノ) フィオレンツァ・コッソット(メゾ・ソプラ   ノ)、ジョン・ヴィッカーズ(テノール)、ルッジェーロ・ライモンディ(バリトン)

TOCE55451 1969-70年録音
(EMI原盤 東芝EMI TOCE55451 1969-70年録音)

バルビローリ特有の「メロウ・サウンド」が素晴らしく、最盛期の歌手たちの美しい声が花を添える名盤。

(2) カラヤン指揮 ウインフィルハーモニー管弦楽団・合唱団
   アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ)、 アグネス・ヴァルツァ(メゾ・ソプラノ)
   ホセ・カレーラス(テノール)、 ホセ・ファン・ダム(バス)

POCG20022 1984年録音
(グラモフォン原盤 ユニヴァーサル・ミュージック POCG20022 1984年録音)

カラヤンの磨き抜かれた音楽性がオペラと見まがうほどの美麗な音楽に圧倒される名演。

(3) イゴール・マルケヴィッチ指揮 モスクワフィルハーモニー管弦楽団
   ガリーナ・ヴィネフスカヤ(ソプラノ)、二ーナ・イサコワ(メゾ・ソプラノ)
   ヴラディミール・イワノフスキー(テノール)、イワン・ペトロフ(バス)
   ソヴィエト国立アカデミー合唱団

UCCP3405 1961年ロシア・モノラル録音
(Philips原盤 ユニヴァーサル・ミュージック 1961年ロシア・モノラル録音)

マルケビッチの鋭利な刃物で突き刺すような表現と総ロシア勢による大地を揺るがすような演奏は実にユニークな盤。 モノラル録音が惜しまれる。

(4) サー・ゲオルグ・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団・合唱団
   レオンタイン・プライス(ソプラノ)、 ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)
   ヴェリアーノ・ランチェッティ(テノール)、 ホセ・ファン・ダム(バス)

82876623182 1977年録音
(RCAレーベル 82876623182 1977年録音 海外盤)

ショルティのシャープな表現とシカゴ響の怒涛の演奏で目が眩みそうな豪演。 歌手陣も万全の布陣。


(5) アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団
   ヘルヴァ・ネルリ(ソプラノ)、 フェードラ・バルビエーリ(メゾ・ソプラノ)
   ジュゼッペ・ディ・ステファーノ(テノール)、チェーザレ・シェピ(バス)
   ロバート・ショウ合唱団

BVCC38106 1951年録音
(RCA原盤 BMGジャパン BVCC38106 1951年録音)

私の最も好きな演奏。 録音が古くなっているが少し速めのテンポでの推進力とカンタービレの美しさには比類のない演奏で、まさに「人類の遺産」とはこういう演奏かと思われるトスカニーニ畢生の名演。 但し、紹介盤には「聖歌四編」がカップリングされていて2枚組です。私が聴いていますのは、限定盤で98年にリリースされた1000円だったCDです。

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今日の音楽カレンダー

1813年 誕生 リヒャルト・ワーグナー(作曲家)
1813年 初演 ロッシーニ オペラ「アルジェのイタリア女」
1874年 初演 ヴェルディ 「レクイエム」

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ともの『 今日の一花 』      名前不詳の花


この花は近所の玄関に鉢植えで置かれていました。 家の人に名前を訊いてもご存じありません。 どなたかご存じの方がおられましたら、どうか教えて下さい。

5/22


5/22撮影地 大阪府和泉市 2007年5月21日





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最終更新日  2007年05月22日 00時35分53秒
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