プレリュード

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2007年06月13日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽

「ペトルーシュカ」は、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽の一つに数えられています。 現代音楽でありながらチャイコフスキーの3大バレエ音楽と並び称せられる、古典バレエの地位を築いている親しみやすい現代音楽です。

ディアギオレフ・バレエ団の委嘱作品で1911年に完成しています。 その後作曲者によって改編されています(1947年版)。 現代でこそ古典のような扱いですが、初演当時は斬新なリズム・和声などが音楽のグロテスクな面を採り上げられて賛否両論だったそうです。 ウイーンフィルはバレエ団がウイーンに訪れた際に「いかがわしい音楽」と批評したそうです。

物語はわら人形ペトルーシュカが魔法をかけられて人間の恋情を持ち、やはり人形のバレリーナに恋をするのですが、やはり人形のムーア人に殺されてしますという悲劇です。

第1部 謝肉祭の市

導入 - 群集
人形使いの見世物小屋
ロシアの踊り

第2部 ペトルーシュカの部屋

ペトルーシュカの部屋

第3部 ムーア人の部屋


バレリーナの踊り
ワルツ(バレリーナとムーア人の踊り)

第4部 謝肉祭の市(夕景)

乳母の踊り
熊を連れた農夫の踊り
行商人と二人のジプシー娘
馭者と馬丁たちの踊り
仮装した人々
格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩)
終景:ペトルーシュカの死
警官と人形使い
ペトルーシュカの亡霊



宗教上の長い断食期間に先立って行われる、「シロヴェティデ」と呼ばれる数日間の市場から舞台が始まります。 しばらく破目を外すことのできない日々を前に、人々は大いに浮かれています。

オーケストレーションと頻繁なリズムの変更が、祭日の喧騒とざわめきを描写しています。 手回しオルガン奏者と踊り子が群衆を楽しませており、ドラムは老魔術師のお出ましを告げ、魔術師が観衆に魔法をかけます。

突然に幕が開いて小劇場が現われ、魔術師が動かない、命のない3つの「わら人形」ーペトルーシュカ、バレリーナ、荒くれ者のムーア人ーを取り出します。 そして魔術師は横笛を吹いて魔法をかけて人形たちに生命を吹き込みます。 命を与えられた人形たちは、小さな舞台から飛び出して、ぎょっとしている市場の通行人の中で踊り出します。 今や生きた人形たちは、激しいロシア舞曲を踊り出します。

ペトルーシュカの部屋に転換して、一面暗い色をした壁は、黒い星印や半月、老魔術師の肖像が飾られています。 ペトルーシュカは、自分の小部屋に音を立ててぶつかり、魔術師に蹴飛ばされて暗い部屋の中に入ります。

ペトルーシュカは見世物小屋の幕の陰で気の滅入るような生活を送りながら、バレリーナ人形に思いを寄せます。 むっつりとした表情の魔術師の肖像画が、ペトルーシュカはただの人形で、人間と同じでないのだから、従順であるべきだとでも言いたげに、ぼんやりと浮き上がって見えてきます。 だがペトルーシュカは腹を立て、魔術師のにらみ顔に拳を食らわします。



バレリーナが入って来たので、ペトルーシュカは思いを告げようとしますが、バレリーナはペトルーシュカの哀れっぽい口説き文句をはねつけます。 そしてバレリーナはムーア人といちゃつき始め、哀れなペトルーシュカの感じやすい心を傷つけます。

ムーア人が快適な暮らしを送っていると容易に察せられるムーア人の部屋。 ムーア人は寝そべるためのソファを持ち、そこでココナッツを玩んでいます。 ムーア人の部屋は広くて、明るく愉快で豪奢な気分を盛り立てています。 

すると、ムーア人のスマートな見た目に惹かれたバレリーナが登場し、魔術師によってムーア人の部屋の中に入れられます。 バレリーナが小粋な節を奏でると、ムーア人が踊り出します。

するとペトルーシュカは、小部屋を破り、ムーア人の部屋に向かって行きます。 魔術師はペトルーシュカに、バレリーナの誘惑を邪魔させます。 ペトルーシュカはムーア人に体当たりしますがかないません。 そしてペトルーシュカは命からがらその部屋から逃げ出して行きます。

再び市場の場面。 オーケストラは色彩豊かな舞曲を導き出します。 中でも最も有名なのは「乳母たちの舞曲」です。 そして熊と熊使い、遊び人の承認とジプシー娘たち、馭者と馬丁たち、そして仮装した人々が交互に現われます。

お祭り騒ぎが頂点に達すると、人形劇場から叫び声が上がり、突然ペトルーシュカが、刃物を手にしたムーア人に追い立てられて、舞台を走りぬけます。 ムーア人がペトルーシュカに追いついて殺してしまいます。

魔術師はぐにゃぐにゃしたペトルーシュカのむくろを担ぎながら去ろうとすると、ペトルーシュカの死霊が人形劇場の屋根の上に現われ、ペトルーシュカの怒りに満ちた抗議となりますが、老魔術師は、ペトルーシュカの亡霊を目の当たりにして、恐れをなす。 魔術師は慌てて逃げ出し、場内は静まり返り、聴衆に謎を残したまま閉幕となります。

音楽はロシアの民族色豊かな旋律で彩られて、以上のような物語を鮮明に描いており、親しみやすい現代音楽によるバレエの傑作です。

1911年の今日(6月13日)、この「ペトルーシュカ」はフランス・パリで初演されています。

愛聴盤

(1) アンタル・ドラティ指揮 デトロイト交響楽団

UCCD3210 1980年録音
(DECCA原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCD3210 1980年録音)

舞台を彷彿させる語り口の巧さが光る、ドラティ得意のバレエ音楽で、ストラヴィンスキーの「春の祭典」とカップリングされています。


(2) キリル・コンドラシン指揮 アムステルダム・コンセルトヘボー管弦楽団

PHCP9241 1973年ライブ録音
(Philipsレーベル PHCP9241 1973年アムステルダム・ライブ録音 廃盤)

まるでロシアの重戦車が地響きをたてて行進するような響きで、これがコンセルトヘボーなのかと思うほどロシア色濃厚な演奏で、このディスクを聴くたびにコンドラシンの急逝が惜しまれてなりません。 カップリングのボロディンの交響曲第2番も録音史上に残る名演だと思います。 現在はユニヴァーサル・ミュージックが版権を持っていると思いますが、再発売を強く望まれる名盤です。

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今日の音楽カレンダー

1855年 初演 ヴェルディ オペラ「シチリア島の夕べの祈り」
1911年 初演 ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」
2006年 没  岩城宏之(指揮者)

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ともの『 今日の一花 』       トマトの花


これも小さな花ですが、マクロレンズを使って撮りました。



6/12撮影地 大阪府和泉市





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最終更新日  2007年06月13日 00時13分18秒
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