QBスニーク

◆急激な体調変化◆



 世間では,“引越しの時には,身体を壊すことが多いから,気を付けた方が良い”と良く言われているが,まさに,新居への引越しが一段落したときにその兆候が現れた.頭が痛くて,食欲が急激になくなったのである.偏頭痛持ちの母親の血を引いたのか,普段から軽い頭痛は良く経験していた私であるが,このときばかりは,“何かいつもと違う”と感じていた.成人して以降,食欲がなくなるということは,肺に水が溜まった(胸膜炎で入院した)時以外には,経験したことが無かったからである.「頭痛がひどくて食欲が無いなんて絶対変だ」と内心思っていた.

 しばらくすると,食欲は戻り始めたが,一ヵ月後に,今度は扁桃腺とリンパ腺が一度に腫れ,40℃近い高熱が約一週間続いたのである.抗生剤を飲んでも解熱剤を飲んでも症状はなかなか良くならなかった.喉が痛いために,水分以外は喉を通らなかった.このとき,熱に魘されながら「このまま,死んでしまうんじゃないか」と感じたことを覚えている.

 その後,週末の数日間にわたって40℃近い高熱を出すことを,数週間に一度くらいの周期で繰返した.はじめは「タダの風邪だろう」と思い込もうとしたが,こんな状態を周期的に繰返すようになって,「これはマジでやばいかもしれない」と思うようになり,周囲も真剣に心配し始めた.

 それでも,しばらく普通の状態が続くと,「運動不足の所為で身体が弱っているんだ」とか「歳の所為だ」とか思い込もうとする自分がいた.仕事の方はとても順調で,周囲にも認められていることを実感しながら,仕事に没頭できていた.その秋に,研究テーマについてアメリカで講演することが決まっていたし,某大学教授の推薦により,その次の年の夏のヨーロッパでの研究発表も承認が降りていた.まさに絶頂期を迎えていた.

『闘病記』閲覧室へ


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: