「双魚宮」楽天支店

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2008/01/16
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カテゴリ: 小説
それから数日が経ち、ビィ達ダイアモンドチェインのメンバーはラグナスと悠楽を残して全員ダンバートンへと帰る事となった。
「じゃあ、先に帰ってるよ・・・ラグナス、くれぐれも粗相の無い様にな。」
「さっきから何度目だよ、その台詞・・・」
昨日の件から1日。
ダイアモンドチェインのメンバーの殆どが、悠楽に対する態度を改めるようになっていた。
もっとも、当の悠楽本人は「別に今まで通りでいいのに・・・」と言っていたのだが。
「よし、行くぞ、皆!」
ビィの掛け声で、彼らを乗せた馬達が一斉に走り出し、瞬く間にその姿は密林の中へと消えた。
その後、二人は広場に向かって海を見ていた。

「本当ですね・・・何だか、今私達の周りで起こっている事を忘れてしまいそうです。」
「まぁ思い出したくも無い事ばかりなんだけどな。」
思えば、悠楽と出会ってからもう1週間近くが経つ。
白ローブの男達の襲撃、その中でも特に強力な存在であるグロールという男の出現、そして最大の親友、エニの死・・・
その他いろいろな事が一度に降りかかって来ていたためか、久々にこうしてリラックスする時間が出来たと言うのは喜ぶべき事だった。
もっとも、完全にリラックス出来る訳でもないのだが。
「この先、俺達はどうすればいいんだろうな・・・」
「よく分からないです、でも・・・それでも、私達にはまだやれる事が残っている筈です。」
「まだやれる事、か・・・こればっかりはいくら考えても仕方ないんだろうな。」
ラグナスの言葉を聞いていた悠楽が、ふと思いついたように話し始めた。
「そういえば、昔私が考え事をしていた時には、お父さんがよく言ってました・・・『問題を解決する鍵は、案外近い所にある物なんだ。』って・・・」

「多分、今回の事も案外身近な所できっかけが作れたりするかもしれませんね。」
「そうかもな・・・いい父親を持ったんだな、お前は。」
「はい・・・ラグナスさんのご両親は?」
悠楽が聞くと、ラグナスは少し顔を曇らせて答えた。
「俺は・・・正直言ってあんまり覚えちゃいないんだ。物心ついた時には母さんが死んでいて、それから3年は男手一つで育てられて来たけど・・・」

「いいんだよ、お互い様だ・・・」
それから何となく会話が途絶え、2人は飽きる事無く海を見続けていた。
暫くそうしていると、後ろから声をかけられた。
「ラグナス!」
「ん・・・?」
振り返ると、そこにはリダイアがいた。
「どうしたんだ、リダイア?」
「リアン様が・・・リアン様が目を覚ましたぞ!」
「本当か!?」
「ああ、お前たちの事を話したらぜひ会いたいと。」
「分かった・・・行くぞ、悠楽。」
「はい。」
そして3人はリアンの待つ城へと戻って行った。





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Last updated  2008/01/16 09:25:19 PM
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あとらんてぃか@ ぬるぽ ぬるぽあなたを愛してます
mkd5569 @ Re:交差する刃(03/26) 夜のブログ更新おつかれさまです。 3月…
A†Z @ Re:え!?(01/13) なわけねーだろwww
びい@ え!? 口移し!?
Enigma@ Re:消え行く光(11/11) 安らかに眠れ・・・俺!!

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