今日も自分を励まし健康にキレイになろう

今日も自分を励まし健康にキレイになろう

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

らら元気

らら元気

Calendar

Favorite Blog

青空に皇帝ダリア高… New! みなみたっちさん

ハクセキレイ君 New! 昼顔desuさん

今日も歩いて健康に… みえこ55さん
☆korekara☆ゆっくり… charizaさん
札幌発・・・・青春60… たっちゃん5765さん

Comments

楽天ブログユーザサポート@ 楽天ブログユーザーサポートでございます 日頃から弊社サービスをご利用いただきま…
らら元気 @ くーる31さんへ。 おはようございます。 はじめまして。 …
くーる31 @ 相互リンク 突然の訪問、失礼いたします。 私はこち…
masashi25 @ コメント失礼します☆ ブログ覗かせてもらいましたm(__)m もし…
日本愛妻家協会@ ブログへの取り上げ、ありがとうございます! らら元気さん 日本愛妻家協会のサケビ…

Freepage List

2012.07.16
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類

信之介は、百合香と並んで歩いていた。

正確には

ほんの半歩ほど

百合香のほうが、信之介の後ろを、歩んでいると言って良かった。


夏祭りの夜だった。

男女の浴衣姿の風情と言うものは

夏祭りの晩には相応しく感じられた。

ただ1つ、難点を言うならば…

履き慣れない草履や下駄が

互いの足先に食い込んで

時折り痛みを伴なうようで

そぞろ歩きするには

やや不都合であるようだった。


歩きながら、信之介のほうから先に

百合香に向かって、声を掛けた。


信之介「ちょっと、そこで、休んで行かない?」

百合香のほうも、快くそれに応じて頷いた。


信之介「俺さ。ここへ来ると…

亡くなった爺ちゃんのことを思い出すんだ。」

百合香「そうなの?」

信之介「俺って、爺ちゃんっ子だったみたい。」

百合香「一緒に暮らしていたの?」

信之介「そうじゃないけど…

祭りの時には、ほとんど、一緒にいることが多かったから。」

百合香「そうだったの。

で、どんな人だった?」

信之介「曲がったことが嫌いで、凄く実直な人だったよ。

男にしては、器用なところがあって、おまけに洒落者で

周囲に対する気遣いを、忘れない人だった。」

百合香「ステキな人だったのね。」

信之介「うん。

俺が悪戯しても、怒られた記憶は少ないし

優しい人で、いつもニコニコと朗らかに

笑ってることが、多かったな。」

百合香「宮沢賢治の詩の中にある

雨にも負けず、みたいな人だったのね。」

信之介「ま、そんな感じかな。

友達のことは、大事にしろよ!って、よく言われたよ。

女の子は守ってあげなきゃ、ダメだぞ!って。

そんな台詞も、口癖のようだった。」

百合香「男らしい人だったのね。」

信之介「そうだね。

男らしい男だったと想う。

男は人前で涙を見せるな!って

小さい頃から、よく言われたもの。」

百合香「小さい頃、泣き虫だったの?」

信之介「俺?

あははは。

そんなふうに見える?

ま、普通じゃない?」

百合香「そうね。

今は…そんなふうには見えないけど。」

信之介「そう?

今も、当時のままだったら…

ここで、誰かに取り囲まれ、絡まれたとしても…

百合ちゃんのことを守れないだろう?」

百合香「ありがとう。頼もしいわね。」

信之介「あっ、そうだ!思い出したよ。

人間は、ちょっとくらい、小心者がいい!とも

言ってたような気がするわ。

カッコつけて、勇気を見せびらかすのが、偉いわけじゃない。

何事も、自慢げに話す人間に、碌なのはいない。

人の批判や批難ばかりを、口にする人間も、同じようなものだって。

小心者くらいで、ちょうどいいのは…

カッコぶって、キザッぽく、カッコつけて

勇気のあるところを、見せびらかしたいばかりに

勢いに任せて、気勢を揚げたりすることが

ないからだって、言ってたな。」

百合香「そう。」

信之介「小心者くらいでいいのは

モノゴトに慎重で、何事にも控え目だから

大きな失敗を仕出かすことが、少ないからだって

そんなふうにも言ってたような、気がする。」

百合香「そうなの。

なるほどね。

言おうとすることが、一々、的を射て感じられ

昔の人って、立派だったなって

今つくづく想うわ。」

信之介「だからね。

俺もね。

今ここで、何人かに囲まれて、絡まれたとしても…

逃げるが勝ちの精神を発揮して

爺ちゃんの教えを守り…

面と向かって対峙することなく

すぐに百合ちゃんの手をとって、引っぱって

そのまま、一目散に、逃げちゃうかもしれない。

それでいいかい?

男らしくないかな?」

百合香「それでいいわ。

喧嘩することないもの。

争いごとって、醜いだけのように感じるから。

世の中、平和なことが、1番だって想う。」


それを聞いて

信之介は、内心、安堵の気持ちを

新たに覚えたようだった。

百合香といると

いつも心が和み、心癒されるのは

とても不思議なことのように想われた。

百合香の存在が、何故か、不思議なことだが

とても貴重なもののように想えて来るのだった。


信之介「百合ちゃん。」

百合香「なあに?」

信之介「やっぱ、何でもない。」

百合香「え?

可笑しな人ね。

人に声を掛けておきながら

何でもない!なんて言う人、いるかしら?」

信之介「ちょっと、がっかり?」

百合香「うん。」

信之介「ちょっと変?」

百合香「うん。」

その返答を聞いて

信之介は、急に豪快に笑い出した。

百合香「まあ。

ホントに可笑しな人ね。

ますます変な人。」

信之介「ごめん、ごめん。」


そうした百合香の反応を見て

信之介は、更に心安らぎ

満面の笑みを浮かべて

百合香のほうに自然に

自分の右の手を伸ばし

手つなぎの合図を送ったようである。

百合香のほうも、ややカラダを斜めにして

信之介のほうに向けて、自分のカラダを倒し

信之介の澄んだ瞳を、ジッと覗き込んでから

そっと、微笑んだらしかった。

まるで、小さな悪戯ッ子が、ニッと笑って見せるような

明るい和やかな笑顔だった。

そうしたような不思議な明るさに

ますます信之介は、心和み

心癒されてゆく自分を感じていた。

信之介は、百合香の持つ、天真爛漫さと明朗さに

これまでも、何度となく、心癒されて来たことを想い出し

心嬉しさを、心に新たにしたようだった。

様々な閉塞感と言うものに、ぶち当たるたびに

心を解放し、心を解き放つことの大切さを

百合香の明るさから感じ取れる自分が

何故か、いとおしくも想われた。


信之介「家まで送るよ。」

百合香「うん。そうして。

ありがとう。」


百合香も素直に

自然なままを自然に

そのまま口に出来

嬉しい様子であった。

感謝の言葉を口にした後で

百合香は、差し出された信之介の右手の手のひらを

自分の左手で、そっと受けとめた。


夏祭りの人込みが、歩みを進めるほどに

少しずつ、遠のいて感じられた。

街中の喧噪を背に

静かな住宅街へと向かう2人には

互いの手の温もりがあった。

そうした手のひらの温もりが

互いの絆の存在を、相互に伝えているように想われ

言葉の存在は、今、不必要であるようだった。


夏祭りの喧噪が

心に懐かしい郷愁を運びながら

次第に、2人から、遠ざかって行った。



(ジ・エンド)



夏本番。


猛暑の夏

到来ですね。



オカリナの音透きとおる蛍の夜  神山ゆき子 


星一つ残して落つる花火かな   酒井抱一



(*^^*)



今回も

最後まで

お付き合い下さり

心から

感謝しています。



(*^^*)









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.07.16 17:54:57
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: