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脱酸パック保存法について多くのご意見やご質問がありました。
そこでワインの劣化を整理したいと思います。
一番早くワインが劣化するのは光です。直射日光の紫外線に7日間ワインを当てると完璧に駄目になります。蛍光灯の光も良くありません。一言で言って干した様な太陽の味になります。ですから段ボール箱の中に入れたり新聞紙でくるむ等の対策は必要です。
次に良くあるのが、ワインが激しい温度変化にさらされて、吹いたり、新しい空気が瓶の中に入る事による酸化劣化があります。
クール宅急便で5度で届いたワインを30度の部屋に置くとワインは膨張します。5cc位膨張するはずです。瓶の口は細いので5mm位液面が上がります。理論上はコルク栓で密閉されているので内圧が上がるだけです。
しかしながら、コルクによっては空気を通したり、ワインを漏らしたりします。
よく吹いたワインと言うのがあります。これは温度変化によってワインが膨張してワインがコルクを通り抜けて瓶の外に溢れた状態です。
吹いたワインはダメージワインとして分かりやすいから良いのですが、立っている状態で瓶の液面が比較的低いワインの場合は空気だけがコルクから溢れ、そしてまた収縮した時に新しい空気を吸い込みます。
コルクが時々瓶の口より持ちあがっているワインもあります。これは内圧に押されてコルクが持ち上がったわけです。
外観上全く問題が無くても温度変化の膨張と収縮でワインは空気を呼吸します。
特に新しい瓶詰め直後から半年のコルク栓は空気をよく通します。
横に寝かして1年経つとコルクにワインが浸みて完全密閉に近い状態になります。
新しい空気が入ると、ワインは酸化します。ワインの中には元々酸がありますが、それが変になって来ます。
高温・酸化劣化によるワインの味の特徴は熱が入って半年位は香りもよく、美味しいのですが、僅かな苦みやエグミが残ります。1年経つと更に酸のバランスが崩れ埃っぽい香り、沢庵や、おが屑、の様な味が余韻に残ります。このワインをブショネだと間違えるベテランも多いです。
夏の暑い部屋に長期間ワインを置くと日々少量ですが空気を吸っては吐くと言う事になります。
例えば日中出かけていて35度の部屋に夜、人が帰って来てエアコンで25度に下げる。10度の変化を高温状態で一月続けると、10度で2cc位膨張するので、単純に計算すると60ccの空気が瓶の中に入っては出た事になるのです。
ですから暑い部屋に置くのでも、日が当らない、エアコンも入らない、日中30度、夜も28度の部屋の方が良いのです。
次に、全く空気が入らずただ高温になったワインは如何なるのでしょうか・・・
実態としてはなかなかこう言う条件は少ないのですが考えてみましょう。
30度位の温度で変化せずに長時間ワインを保管すると、理屈からすると味的には苦みが多くなり、香りの要素が壊れる様に思います。
ただワインと言う物は酸化しない状態で熱い温度で置いても28度以下なら大きな劣化は10年位はしないと思います。私が子供の時住んでいた家の半地下室は冬10度、夏28度になりましたが、一日の温度変化は1度以内でした。この部屋に寝かせてあったワインが今でも手元にありますが、劣化は全く感じません。
ワインは醗酵中も30度以上の温度になる事は多多ありますし、瓶詰めの時高温殺菌処理で60度にする事もあります。
酸化さえしなければ、多少の熱では劣化しません。そう言う意味ではスクリューキャップのワインは酸化劣化し難いワインです。
私の提案して実験している脱酸ガスパックもこの温度変化による酸化劣化を防ぐ事が目的です。
実際フランスのワインの作り手は歴史もあって地下の洞くつの様なセラーや、立派な地下セラーを持っています。しかし日本やオージー、カリフォルニア等のワイナリーは巨大な地下セラーを持つ所は僅かです。エアコンの強制冷却もコストが高いので一部の高級ワインだけと言うのが実情です。だから作ったら直ぐに売るしかないし、蔵出し古酒が市場に出る事も稀ですし、出ても美味しくない事が多いです。
日本でもオージーでも実際にエアコンも入ってない、なま暖かい部屋に瓶詰めされたワインがワイナリーで大量に保管されているのを散々見て来ました。
当然10年、20年、30年と熟成させるのであれば13度前後の温度が一定で暗く、静かな地下セラーが必要です。
機械式の冷蔵庫型のセラーも業務用の強制冷却の@@倉庫も20年以上の熟成には向いていません。
ワインを本当に美味しくするには、自然の大きな地下セラーが一番良いのですが日本にはまだありません。フランスの様に総延長500kmを超える様なセラーが彼方此方にあるのは本当に羨ましいし、フランスのワイン文化の奥の深さを感じます。
次に低温劣化です。長期間冷蔵庫に入れて3度や5度で保管されたワインは酸のバランスを崩し不味くなってしまいます。特に高級な白ワインでこの様な経験をした事があります。コシュ・デュリ、ルロワ、DRC、ラフォン等々
安い白ワインの多くは低温処理してあるワインが多いのです。瓶の中に酒石酸の結晶が出来ると異物混入でクレームになるので、瓶詰めする前にワインをマイナス2度位に冷やして酒石酸等を取り除くのです。
当然何も処理をしていないワインの方が美味しいのですが、レストランでも白ワインをお客の注文を聞いてから冷やして売る店は稀で、ほとんどは直ぐにサービス出来る様に冷蔵庫に入れっぱなしです。酒販店でも冷蔵ケースに入れて直ぐ飲めるように冷やしています。
100点を目指してワインを作って低温劣化で30点になるより70点のワインが70点でお客様に提供出来方が良いからです。
低温劣化したワインは、風味が無く、硬く、酸のバランスを崩している物が多いのですが、良いワインを飲み続けている人でないと分からない場合もあります。
最近の作り手はフランスでも日本でも濾過したり、低温、高温、処理をしていないワインが増えています。それだけに要注意です。
ワインショップで光に当り、立てて、常温に置いてあるワインが最も怖いワインです。
凄い店は店の外の日が当たる場所にワゴンに置いて並べたりしています。
お気を付け下さい。
でも一本もワインが見えないワインショップも淋しいですよね。難しい問題ですね。
過去に書いたブログです。
http://
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下記にコルク栓に関しての面白い情報が載っています。
http://www.kitasangyo.com/e-Academy/wine/wine_closure_column.pdf#search=
下記は私が時々遊びに行く新宿のワインバーの店主の話です。コンディションに五月蠅い人です。
ボジョレーヌーヴォーの意味 2012/11/19
セラー無しでワインを保存する、マル秘の… 2011/06/12 コメント(5)
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