バリの日本食レストラン『漁師』

September 17, 2009
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  昨晩の夜七時過ぎのことである。

 バチンという音と共に電気が消えた。
 スミニャックの漁師だけでなく、あたり一帯が一瞬のうちに闇に包まれた。
 とっさに空を見ると、星の輝きが際立ち、いつもは見えない満天の星が輝いていた。まるでニュッピの夜のように。
 それで瞬時に察した。この停電は、かなり広範囲のものだ・・・・、これは電力不足による節電に違いない・・・と。

 発電所のないバリ島では電力をジャワ島から送電して供給を受けているのだが、電力が足りなくコントロールのために停めたのだろうが、なにも夜の七時に停めなくてもいいではないか・・・なんの予告もなくブチッと電気が止められたら各家庭でも困るだろうし、レストランにとっては営業に支障をきたす。

 そんな時のためにジェネレーターを備えているのだが、どうやらジェネレーターの調子が悪く、作動しない。
 しかし、フロアーのスタッフも調理場の連中も寿司職人たちも慣れたもので、咄嗟に大量のロウソクを灯し、店内のテーブルの上に備え、厨房にも四人いる寿司職人の前にもロウソクを配置し、黙々と仕事を続けている。
 客を見渡すが、客も慣れたもので細々としたロウソクの灯りで食事とお喋りを続けている。

 行き交うバイクや車も真夜中のように途絶え、ひどく静かな時がゆっくりと流れる。時おり、消防車がサイレンと共に猛スピードでクタ方面に駆け抜ける。その数七台。この停電のなかで火事が発生したのであろう。

 かなりの不便さはあるものの、おびただしいロウソクのも灯りの中でなんとか営業できているのを確認し、オープンスペースに置かれているテーブルにお茶を置き座っているうちに妙なことに気がついた。

 不思議なことに、心が徐々に穏やかになっていくのだ・・・・。
 これは何なんだろう・・・?
 まるで都会の喧騒を逃れ、山で焚き火をしながら共と静かなひと時を過ごすような心地良さに包まれる。
 ひょっとしたら、そうしたひと時が人には必要なのかも知れない・・・。

 11時過ぎに不意に電気が点いた。
 でも、その時間から新たな客はほとんどなかった。

 インフラの不備による問題もあるが、かと言って、いままでなかったバリに発電所が出来て、自然や環境が壊されるのも困る。
 なにもかもが揃って便利なのより、この程度の方が逆にいいのかも知れない・・・・と感じた夜だった。






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Last updated  September 17, 2009 10:09:13 AM
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珊瑚マニアック@ Re:バリ島物乞い女の実態その2!(04/13) 両替でごまかしたり お釣りをごまかしたり…
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