それ以来ケンタはおばあちゃんと森の中のおばあちゃんのおうちで住んでいます。
おばあちゃんは優しくてお料理も上手だけど森のおうちにはめったにお客もなく、ケンタはいつも窓から外を見ては誰かが訪ねてこないかなと見ていました。
お山に大雪が降った日、珍しくケンタの家のドアをノックする音がしました。ケンタがあけると小熊が立っていました。
か細い声で「ボクは小熊のゴンと言います。おなかがすいて死にそうだから何か1口食べさせてください」そういいました。
言い終わるとドアの前に倒れてしまいました。ケンタは大急ぎでおばあちゃんを呼びに行って2人がかりで小熊を家に運び入れました。
暖かいストーブの前に小熊を座らせて、おばあちゃんの得意の美味しい暖かいスープを飲ませました。おなかが一杯になった小熊はそのままぐっすり眠ってしまいました。
翌朝すっかり元気になったゴンにおばあちゃんは言いました。「お山は雪で食べる物も無いし、暖かい春になるまでココに居たらどう?」ケンタも「そうだ、そうしたらいいよ」
それからゴンはケンタとおばあちゃんと三人で暮らすことになりました。
気持ちが優しくて力が強いゴンは、腰を痛めたおばあちゃんのために重いものを運んだり、まきを割ったりとたくさんお手伝いをします。
またケンタとお相撲を取ったり、追いかけっこをしたりしてたくさん遊んでくれます。
三人はまるで家族のようでした。やがて雪が解けて春がやってきました。
ある日ゴンは「ボク、そろそろお山に帰らなくては。この冬は一人ぼっちじゃなくて本当に楽しかったよ。ありがとう」と言いました。
いよいよゴンはおやまへ帰ることになりました。ゴンは振り返り振り返りゆっくりお山へ歩いていきます。
ケンタとおばあちゃんはゴンの姿が小さくなって見えなくなるまで手を振りながら見送りました。
「ゴン、楽しかったよ。お山に雪が降ったらまたお出でね。お山はまだ寒いから風邪を引かないようにね。元気で居てね」そうしてケンタの初めての友達は山へ帰って行きました。