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雨の日曜日。
母の日に渡せなかった、プレゼントを届けるために、母のいるホームへ出かけた。
記憶を失くして久しい母。
「母の日」がいつであったのか、どういう意味があるのかさえ、、、もう、わからない。
それでも、私が綺麗な花柄の半袖カットソーと、母の好きなラベンダー色のカットソーを、
テーブルに広げると、「あら~!素敵!」と少女のように瞳を輝かせる。
その表情は昔と少しも変わらない。
だけど、私の名前は思い出せない。
母の娘であることさえ、定かではないだろう。
話していくうちに、いつものようにお決まりの?会話になる。
「お母さん、私、誰だかわかる?」
『さぁ~、誰だったかしら?』
「名前、憶えてる?」
『う~~ん、、、〇〇江ちゃん? 〇〇ちゃんだったかな?』
「お母さん、それはね、お母さんの妹でしょ?」
『た~くさんいるから、、、わからないわ~』
「まっ、それはいいとして、私の名前は〇〇子よ。」
『あっ!思い出した!そうね。〇〇子だったわ!』」『あんたは、〇〇子だわ!』
「ピンポーン!!! 正解です!^^」
何だか、知らない人が聞いたら、わけのわからん会話だけど・・・(^^;
そして、たわいもない会話は続き、、、、
「お母さん、毎日楽しい?」
『うん!楽しいわ~!』
「退屈しないの? どういう風に楽しいの?」
『毎日ね、色んなことを考えているから。』
『今日はどんな事しようか、どうしたらいいかって考えてるの^^』
きっと、母は母の世界で遊んでいるのだろう。
家計の心配も、父の身体の心配も、晩御飯の献立も気にすることなく・・・
単調なホームの暮しだとばかり思っていたけれど、母は毎日が楽しいと言う。
その言葉を聞いて、とてもホッとして嬉しくなった。
自分勝手で、心配ばかりかけて、、、
優しい娘ではなかったけれど、、、
母の笑顔を見ると、パぁ~~~っと心に陽が射すような気分になる。
お母さん、笑顔をありがとう♪