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えっ?宇宙は丸くなかったのか!?ウエブトピックスより、「宇宙はまるい」説が浮上!宇宙理論が根本からひっくり返るかも夜空を見上げて感傷にひたったこと誰でもあるでしょう。その時見上げた天空は丸くありませんでしたか?丸くなかったとしたら、どんな宇宙なのだという素直な疑問に、記事には、現代科学では、宇宙は「開いた宇宙」、「閉じた宇宙」、「平坦な宇宙」のどれかだと考えるのが常識である書いてあります。私には、その常識とやらがどうしてもわかりません。俄か宇宙天文学者( → 私のことです)には、開いていようが閉じていようが、私が夜空を見上げる限りにおいて、天空は丸く見えます。最後の説にいたっては、「平坦」とは、「土地などが平らなこと。また、そのさま」と学校で習って来ました。夜空を見上げて首をどの方向にどうひねろうとも「平坦な宇宙」など、私の目には映りません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月22日

皆さんは「シュッとしている」と言うような表現をすることありますでしょうか?たとえば「あの人はシュッとしている」というように。この場合「すらっとしている」「背が高い」「スマート」といった意味合いになるということは何となく伝わって来ますが、当地北陸富山では、「洗練されている」「あか抜けしている」という意味も含めて、ごく普通に「カッコいい」と言うようです。ウエブトピックスより、広まる新関西弁「シュッとしている」そこで「シュッと・・・」について調べてみると、「しゅっしゅっ」で勢いよく摩擦するさま、蒸気などが勢いよく断続的に吹き出る音とありました。擬態語と思われます。それがいつの間にか関西圏で「シュッとしている」というような言い方をするようになり、今ではネギや大根と言った野菜やビルに対してまでも使われるようになったというのです。「(ネギや大根が)細身で長い」、「(ビルが)高い」ということになるわけです。これが関西圏だけでなく広く全国で使われるるようになってきたというのは、インターネットの普及と、関西出身のタレントのテレビ出演の機会が増えたことが上げられるでしょう。「ごっつ・・・」「めっちゃ・・・」とか、「がぁーっと・・・」といった表現は、いつの間にか自分でも使っていることありますから。そういえば、「自分」ということばは、話し手自身を指す一人称のことばですが、関西圏の人は「あなた」「君」という二人称の意味でしばしば使いますよね。初めて耳にしたときは違和感を覚えたものでしたが、今では聞き慣れてすらっと耳に入って来ます。以前、大阪弁が東京化しているという話題を取り上げたことがありました。「しちゃう」「やっちゃう」などという東京の言葉が、大阪の若者の間でごく普通に使われるようになったと。なるほどそうしてみれば、大阪人からしてみれば、「大阪弁が東京化しているとは、なんのこっちゃ。シュッとせなあかんがな」といったところでしょうか。(笑!言わずもがなですが、この場合「シャキッとする」「本来の姿を取り戻す」といった意味になりましょうか。・・・う~む、大阪弁。味がありますな。「あの人はシュッとしている」。私も一度はそう呼ばれてみたいものです。でもよくよく考えてみれば、「細身である」「すらっとしている」ことが「シュッとしている」の絶対条件ですから、「そりゃあ~、あんさん無理でっせ」と言われるのがオチというものでしょうか。(涙!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月21日

当地北陸富山では、季節はいよいよ秋が深まったというよりは、冬が足早にやって来たとい思いを強くする今日この頃です。晩秋の風景これは野焼きというのは大げさですね。当地では今でも冬の風雪除けに屋敷のまわりに樹木を植えた"にゅう"という作りの家が多く残っています。その樹木の手入れをした時に出た小枝や落ち葉を燃やしているのでしょう。私らが子どものころは、この時期になると田んぼでは稲のもみ殻がよく焼かれていたものですが、近頃はとんと見かけぬようになりました。焼かれて真っ黒な炭状になったもみ殻は、そのまま田んぼにまかれて、肥料として土壌改良剤として利用されていたはずですが、農作業が機械化された影響でしょうか、もみ殻はどう処分されているのでしょう?田んぼにたなびく一条の白煙に、懐かしい思い出が蘇ります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月20日

当地北陸富山では、季節はいよいよ秋が深まったというよりは、冬が足早にやって来たとい思いを強くする今日この頃です。公園の散策道沿いの紅葉も、慌てて葉を紅く染めたといった感が拭えません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月19日

人類の先祖に関する興味深い話題です。ウエブトピックスより、ネアンデルタール人は異種交配で絶滅?「異種交配」ということば初めて耳にしました。専門用語なのでしょうね。素人考えですが、大が小を飲み込んだということなのでしょうか?現人類と出会って交配がすすみ絶滅したというのは、3万年という歳月の中でネアンデルタール人の遺伝子が限りなく薄くなって、ほとんどゼロになったということなのでしょうか?しかしいくら薄くなったとはいえ、ネアンデルタール人の遺伝子は、現代人の遺伝子の中に受け継がれていることは間違いないことでしょう。現代人はネアンデルタール人との混血でもあるとも言えるはずです。「現生人類の男性がネアンデルタール人の女性に出会ったら、必ず交配を試みたはずだ」という研究者の推論は、なかなかの説得力を持って受け入れることができます。少なくとも現生人類が、ネアンデルタール人を異種族として敵視し、撲滅したのではないということになりますから、よかったなと思いました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月18日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。達観派陶淵明歴史に名を残す唐代の三大詩人、李白、杜甫、白楽天が酒をこよなく愛したことは、ご理解いただけたと思います。まあ、酒をこよなく愛したのは何もこの三人に限ったことではないのは言わずもがな。そこで「酒」といえば、どうしてもそのものずばり「飲酒」と題した陶淵明の五言古詩に触れないわけにはいかないでしょう。とりわけその古詩の中でも第五詩が有名ですね。 結廬在人境 廬(いおり)を結びて人境に在り而無車馬喧 而(しか)も車馬の喧(かしまし)き無し問君何能爾 君に問ふ 何ぞ能く爾(しか)ると心遠地自偏 心遠ければ 地自ら偏(へん)なり採菊東籬下 菊を採る東籬の下悠然見南山 悠然として南山を見る山気日夕佳 山気日夕に佳(か)し飛鳥相与還 飛鳥相ひ与に還る此中有真意 此の中に真意有り 欲弁已忘言 弁ぜんと欲して已に言(ごん)を忘る陶淵明について調べてみると、官職を望みながらなかなか叶わなかった唐代の三大詩人とは違って、陶淵明は20代の終わりにかの科挙の試験に合格して中央政府の官吏に登用されていますから、杜甫にしろ、李白にしろ、白楽天にしろ、陶淵明をことのほか尊敬したのは、その詩作の深さだけではなかったと私は想像しています。しかし驚くなかれ、陶淵明は41歳で官職を投げ打って、まさに「帰りなんいざ」と「帰去来の辞」を残して故郷に戻り、晴耕雨読の日々に徹した。隠遁生活を厭わず、酒と詩を愛し、悠々自適に暮らしたと聞けば、いかにも人生の達観者の印象を受けますね。唐代の三大詩人もそのような境地に近づこうとして、酒と詩に頼ったのに違いありません。さて、予備知識はこのくらいにして、「飲酒」のその五を見ていきたいと思います。私は「あれっ?」と思ったのですが、その五には「酒」という字が一字たりとも出てまいりません。しかし、酒を飲まずして粗末な庵の垣根に自生している菊を摘み、悠然と南山を望むというようなことができるわけがない。ちなみに菊は観賞のために摘んだのではなく、食用にせんがために手折ったのだと、漢字学者阿辻哲次氏はその著書「遊遊漢字学」で指摘されています。う~む、「菊」「南山」そして「酒」と字を重ねれば、「仙人」という二文字さえ脳裏に浮かんで来るではありませんか。官吏・官職などに固執したのは、はるか遠く昔のこと。今はこの辺境の庵が世を捨てた私の最良の住まい。杯中の酒を愛し、詩を詠ずる日々の中にこそ、私は真意を見出したいのだ。これを何と表現すればよいだろう。・・・はあ~、これはもう「達観派」とでも言うしかありませんね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月16日

季節の花、ご存じコスモス。日本人ならこの花を知らぬ人はいないでしょう。桜の花弁に似た花を秋につけることから「秋桜」と呼ばれるようになったこの草木は、花に比べて茎がずいぶん細いですね。葉にいたってはさらに線のように細く、細い茎の先端につける花の大きさをよりいっそう際立たせます。重心が上の方にあるので、ちょっとした風にもゆらゆら体を揺らすことになります。まず日本人ならこの花を知らぬ人はいないでしょう。コスモスの花言葉を調べてみると、花の色によって少し違うようですが、総じて「謙虚」「調和」「乙女の真心」とありました。いかにも日本人が好む言葉ですね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月15日

所変われば品変わるといいますね。ことば使いも東と西では大きく違ってきます。当地北陸富山は地理的にやや北に位置するとはいえ、東京方面にも大阪・京都方面にもJRを利用すればともに3時間程度で行けますから、ほぼ中間といえますかね。そこでこんなウエブ・ランキングサイトに注目してみました。関東と関西で意味がちがう!意外な言葉ランキングわが郷土は関東関西どちらの文化圏に属するのか探ってみました。1位 飲食店での「たぬき」…あげ玉入りのうどん・そば(関東)/油揚げ入りのそば(関西) 2位「じぶん」…自分自身(関東)/あなた(関西) 3位「なおして」…修理して(関東)/片付けて(関西) 4位 土を掘る「スコップ」…両手で使う大きな道具(関東)/片手で使う小さな道具(関西) 5位「えらい」…偉い(関東)/疲れた・しんどい(関西) 6位「いね」…稲(関東)/帰れ(関西) 7位「カッター」…カッターナイフ(関東)/Yシャツ(関西) 8位「ほる」…掘る(関東)/捨てる(関西) 9位「よせて」…近づけて(関東)/仲間に入れて(関西) 10位「からい」…辛い(関東)/しょっぱい(関西) それでは1位から。これは100%関東といえますね。大阪で立ち食いそば屋へ入って「たぬきそば」を注文したら、「いなり(油揚げ)がのったそば」が出てきて戸惑いました。店の人に恐る恐る注文と違うと申し立てたら、「お客さん、東京の人かいな。しゃ~ないなあ、ほなあげ玉サービスすっさかいに。ハイカラたぬきやでぇ」とあげ玉をどっさり追加してくれたことがありました。あげ玉が入るとうどんでもそばでも、「ハイカラ」と頭につくことにも驚きました。2位の「じぶん」も関東。小学校では「じぶん」は「自分」、中学校では英語で「myself」と習いましたよ。4位も関東。片手で使う小さな道具は「シャベル」と呼びます。当地では冬期間「スコップ」は除雪になくてはならない道具。「シャベル」では雪よかしは出来ません。3位「なおして」、5位「えらい」、6位「いね」、7位「カッター」、8位「ほる」、9位「よせて」、10位「からい」は、どちらかといえば関東となりましょうか。でも関西の意味で使われても理解できないこともありません。特に7位は、ナイフのことも、Yシャツのこともともに「カッター」と言いますね。こうやって見て来ると、当地北陸富山はどちらかというと関東圏といえるでしょうか。・・・そやけど、関西のことば使いもなかなかに味がおまっせぇ。どないでっかぁ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月14日

日本海の冬の味覚といえばズワイガニ。ズワイガニ漁が6日解禁され、地元新湊漁港が豊漁に賑わったという話題。ウエブトピックスより、冬の味覚ズワイガニ漁解禁 富山の新湊漁港でも水揚げ、出足上々ズワイガニは主に日本海で獲れる海産物ですが、山陰地方では松葉ガニ、福井では越前ガニというように、水揚げされる地方によって呼び名が異なりますね。しかし、当地富山に限って言えばズワイガニとそのまま読んでいます。ただ、漁獲期が重なるベニズワイガニと区別するために、当地ではズワイガニのことを「本ズワイ」、ベニズワイガニのことを「紅ズワイ」と呼んで区別するのが一般的です。昨シーズンは能登半島地震の時に富山湾で発生した海底地すべりの影響で、昨シーズンはこのベニズワイガニ漁も白エビ漁も大打撃を被りました。心配された今年のズワイガニ漁でしたが、出だしまずまずということで、漁師さんの顔もほころんだのは幸いなことでした。このズワイガニ、良型のオスガニが浜値で一杯(当地ではカニのことを一パイ、二ハイと数えます)100万円の値をつけたということですから、我われにとってとても手も足も出だせぬ代物。カニには10本も足があるというのに皮肉なものですな。(笑!ということで、もっぱら私どもは、「本」ではなく「紅」のお世話になっています。(涙!・・・ベニズワイガニの順調な漁に期待しています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月13日

北アルプス立山連峰の様子。天候や時間帯によりいろんな表情を見せてくれます。明け方冷え込んだので地表付近の水蒸気が、霧となったのでしょう。バックの立山連峰が霧の中に浮かんでいるように見えますね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月12日

ここ数日楽天ブログへアクセスしにくい状態が続きましたので、ブログの更新ができませんでした。いったいどうなったのでしょうね。楽天のシステムが更新され、その時に不具合が生じたのでしょうか。私のパソコンは普段通り反応してくれているみたいですけれど。今日アクセスしたところ、サクサク反応するのでまずは一安心。早速ブログの更新にとりかかりましょう。突然ですが、「平等」という言葉から何を連想しますか?「かたよりや差別がなく、みな等しいこと。また、そのさま」を指すと辞書は教えてくれていますが、お前にその平等の概念があるかと問われれば、必ずしもあると胸を張って答えられないのが残念です。「オレが、オレが・・・」の気持ちがどうしても先に立ってしまいますがね、私の場合・・・。そうすると、私はチンパンジー以下ということなのでしょうか?ウエブトピックスよりチンパンジーにも「平等」の概念あり、米実験で証明米エモリー大学ヤーキス国立霊長類研究センターがジョージア州立大学と共同で実施した研究によれば、チンパンジーに公平性があることが確認されたということです。平等という概念を持つのは人間だけだとの考え方が誤っていることが証明されたと報じていますが・・・。内容を詳しく見てみますと、経済学で使われる心理実験「最後通牒ゲーム」を、2~7歳の人間の子ども20人のグループと、成体のチンパンジー6匹のグループで別々に行ったということですので、チンパンジーは大人でも、人間は2~7歳の純真な子供ではありませんか。これが欲に染まった大人であったならどういう結果になったものかと思ってしまいます。研究チームには、ぜひ人間の大人を使って追試を行って、検証してもらいたいものです。よかったら私を実験対象に使ってもらって結構ですよ。いや、待って下さい。そもそも私は「最後通牒ゲーム」なる心理実験、記事に書かれている説明文を読んでもルールがイマイチよく分かりません。(笑!まったくサルや幼児にさえ理解できるというのに。「平等」の概念云々よりも先に、もっと心配しなければならないことがありそうです。(涙!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月10日

昨日に引き続き北アルプス立山連峰の様子。天候や時間帯によりいろんな表情を見せてくれます。明け方冷え込んだので地表付近の水蒸気が、霧となったのでしょう。バックの立山連峰が霧の中に浮かんでいるように見えますね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月06日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。超越派李白中国唐代の三大詩人の酒の飲みっぷりについて、白楽天と李白についてはすでにご紹介しました。白楽天を理性派とすれば、杜甫は苦悩派といえそうです。さて残されたもう一人、李白。李白にいたっては、皇帝からの招へいの使者が訪れても、飲んだくれている方を選んで、「自 称 臣 是 酒 中 仙」と使者を追い返したというのですから、これはもう「超越派」としか言いようがないというのが私の主張です。さて、李白とその酒について語ろうとすれば、どうしても取り上げずにはいられないのが、妻に贈ったとされる五言絶句・「内(ない)に贈る」。ここにも桁外れの「超越」ぶりを見て取ることができます。 三百六十日 三百六十日 日日醉如泥 日日醉ひて泥の如し 雖為李白婦 李白の婦と為ると雖も 何異太常妻 何ぞ太常の妻に異ならん当時の暦は一年が360日。ということは、毎日々々飲んだくれていたんですね。(笑!泥とは泥虫(どろむし)のこと。私もしばしば経験するところの「泥酔」は、これが語源となったのでしょうね。(苦笑!言わずもがなではありますが、「泥」と「妻」に韻を含ませるとは心憎いばかりです。「太常(たいじょう)」とは宮中で天使の祖先を祭る役人のこと。「漢詩酔談」(櫛田久治、諸田龍美著)によれば、後漢の時代に太常の役職に就いていた周沢(しゅうたく)のことを指すとありました。この周沢なる男とは、李白とは正反対の謹厳実直を絵に書いたような人物で、1年360日のうち359日禊(みそぎ)をして宗廟に出仕したというオソロシイ男。正月元旦だけは休むことを許され、少しばかりは酒も口にしたのでしょうか。ある日体調をくずして斎宮で倒れた周沢を心配した妻が宗廟に駆け付けたたところ、女人禁制の宗廟を穢したと烈火のごとく怒ったという逸話が語り継がれているということです。「お前は俺の妻となったけれども、妻を顧みないこんな酔っ払いですまないねぇ~。これじゃ~、まったくかの伝説に聞く漢の太常・周沢と同(おんな)じだ。うぃ~」って、すさまじい「超越派」としか言いようがありません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月04日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。苦悩派杜甫中国唐代の三大詩人といえば、李白、杜甫、白楽天。この三人は大酒飲あったということを探ってみました。昨日は白楽天が表した詩・「卯時(ぼうじ)の酒」から、その飲みっぷりを探ってみました。次に杜甫の酒癖についても語ろうと思うのですが、これが杜甫の生涯を調べれば調べるほど、なかなかに辛いものがあります。大唐帝国の官吏を志し仕官の道を探れども叶うことなく、困窮極まって末の子どもを餓死させてしまうという悲惨な目にも遭っている。当時の官吏は、自分が思うところの政策を皇帝に献策するにも、それを五語・七語の韻を含んだ文章にして書き表さなければならなかったといいますから、詩聖・杜甫にしてみれば、「俺ほどのものが何故に」の思いが、長い仕官を探る道の中で鬱積したのかも知れません。官吏としての出世の道が叶わなかったというのは、杜甫に限らず李白にも白楽天にも言えることですし、特に晩年は酒の力に頼ったのは3人とも同じ。しかし、ただ一人杜甫のみ「何故に、何故に」の思いがより強く、苦しみから逃れられないままもがいていたように私には見受けられるのです。杜甫晩年の詩「惜しむ可し」にそれを探ってみましょう。花飛有底急 花の飛ぶこと底(なん)の急か有る老去願春遅 老い去っては春の遅きことを願ふ可惜歓娯地 惜しむべし歓娯(かんご)の地都非少壮時 都(すべ)て少壮の時に非ず寬心応是酒 心を寛(ゆる)くするは応(まさ)に是れ酒なるべし遣興莫過詩 興を遣(や)るは詩に過ぐるは莫(な)し此意陶潜解 此の意陶潜(とうせん)のみ解す吾生後汝期 吾が生汝が期に後れりまず、私も「春の遅きことを願う」ものの一人です。(苦笑!「心を寛(ゆる)くするは応(まさ)に是れ酒なるべし」も同感です。ただ「興を遣(や)るは詩に過ぐるは莫(な)し」と言えないところが、悲しくも残念なところではありますが・・・。(涙!酒を飲んで詩を詠じ、憂さを晴らそうというのなら、どこが「苦悩派」なのだとお思いでしょう。しかし、それに続く結句の2節に杜甫の「苦悩派」たる所以を見いだせるというのが、私の主張です。陶潜(とうせん)とは、陶淵明のこと。杜甫、李白、白楽天の生きた時代より300年余り前の東晋の詩人。唐代の三大詩人に限らず、後の世の詩人に大きな影響を与えたといわれていますね。李白にしろ、白楽天にしろ、陶淵明を師と仰いだ節が見受けられるというくらいですから。この国はついに私を見出すことなく、安禄山の乱によって国は乱れ、人心は荒み、私も老いさらばえてしまった。今となっては、ただ酒を飲み、詩を詠じ、憂さを晴らそうとする日々である。この私の気持ちを分かってくれる者など今のこの国には誰もいない。いるとすれば一人陶淵明だけであろうが、生まれて来るのが遅すぎた・・・。白楽天は理性派であるとすると、杜甫は「苦悩派」と呼べそうです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月03日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。「卯時(ぼうじ)の酒」中国唐代の三大詩人といえば、李白、杜甫、白楽天。歴史にその名を残すこの三大詩人の酒癖について話題にしたことがありました。このブログの中でも多くの方に読まれています。三人の残した「酒」にまつわる詩から、その飲みっぷりを探ることができるなんて、なんとも興味深いことではありませんか。最初に、これはあくまで私流の解釈による分類であるということをお断りしておかなければなりませんが、白楽天は理性派、杜甫は苦悩派。李白にいたっては超越派であるというのが、私が下した三人の酒の飲み方。まず白楽天から。理性派・白楽天はどのような詩を残しているのだろうか?「漢詩酔談」(櫛田久治、諸田龍美著)に「卯時(ぼうじ)の酒」と題する五言三十四節からなる長歌が紹介されておりました。題名になっている「卯時(ぼうじ)」とは卯(う)の刻のこと。今の時刻でいえば午前6時ということになりますから、「卯時(ぼうじ)の酒」とは朝酒ことを指すことは、すでに「遊遊漢字学」(阿辻 哲次著)で習っていましたから、すぐにわかりました。冒頭を読んでみると、佛法贊醍醐 佛法は醍醐を贊(ほ)め仙方誇沆瀣 仙方は沆瀣(こうがい)を誇る 未如卯時酒 未だ如かず卯時(ぼうじ)の酒 神速功力倍 神速にして功力倍(ばい)するに一杯置掌上 一杯掌上に置き三嚥入腹內 三嚥(さんえん)にして腹內に入(い)る 煦若春貫腸 煦(あたた)かなること春の腸を貫くが若(ごと)く暄如日炙背 暄(あたた)かなること日の背を炙るが如(ごと)しとあります。仏法では乳製品の効用を讃え、仙人は沆瀣(夜露)を飲むことを奨めるが、たちまちのうちに効いてくる朝酒の方がずっといいとは、理性派を疑いたくなりますな。(笑!ぐぅ~っと三口で杯を空けて、「かぁ~、五臓六腑にしみわたるようだ」と言っている白楽天の姿が目に浮かぶようです。この詩は、白楽天晩年の隠せい時代に詠んだものといわれていますね。大唐帝国の官僚として出世を望み、夢かなわず左遷の憂き目に打ちひしがれた若き日のことを顧み、思えばあのころは心安らぐときはなかった。しかし今は、この杯中の好物がいつも傍らにあるのだから幸せだと詠った白楽天は、やはり理性派といえましょう。李白と杜甫については、また後日ご紹介してまいります。お楽しみに♪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月02日

皆さんは「沖縄そば」をご存じでしょうか。召し上がったことはないという人も、「沖縄そば」という名前だけはお聞きになったことはあるでしょう。この「沖縄そば」という食べ物ですが、これはそばなのか、ラーメンなのかか、はたまたうどんなのかという話。「ソーキそば」とも呼ばれるこのそばは、見かけから判断すれば、色は薄い黄色だからラーメンのようだし、ラーメンにしては麺が少し太いからうどんのようでもあるし、「そば」というのだから、そばなのかとも思うし、ひじょうに判断にまようところです。まず「そば」としたら、「そば」と言うからにはそば粉が30%以上入っていなければ、「そば」と表示してはいけないというよう決まりがあるのをご存じでしょうか。しかし、それはあくまで「日本そば」でのこと。「沖縄そば」はそば粉は一切使用していませんから、「そば」ではないということになります。ではラーメンの範ちゅうに入るのでしょうか。ラーメンということになると、麺生地をこねる時に、練り水に"かんすい"を使用しますが、沖縄そばの場合は、"かんすい"の代わりに唐灰汁(とうあく)を入れて作ります。"かんすい"が入っていない麺はラーメンと表示できないと定められていますから、沖縄そばはラーメンとは言えないことになります。もし、唐灰汁(とうあく)ではなく"かんすい"を使用したとしたら、「そば」ではなく「ラーメン」ということになりますから、そば粉の含有率が30%以下であろうが、表示には関係ないということになります。しかし、そもそも沖縄そばに、小麦粉のほかにそば粉を混ぜて作るということ、聞いたことありませんね。早い話年配の方がラーメンのことを「中華そば」というのと同じです。韓国冷麺なら話は別ですが、ラーメンにそば粉は入れません。沖縄そばにだってそば粉なんか使わないのが普通です。こうしてみてくると、沖縄そばは、そばではなく、ラーメンでもなく、ましてやうどんでもない、沖縄そばは「沖縄そば」という麺である。これが正解ということになりましょうか。ただはっきりと言えることは、そんなことはどうであろうが、沖縄そばって美味いってこと。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年11月01日
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江戸が優れたリサイクル都市であったことを物語る川柳。 焼き接ぎ屋 夫婦喧嘩の角に立ち「お江戸でござる」(杉浦日向子著 新潮社)によれば、江戸時代も中頃以降は江戸の街並みも次第に整備され、そこに住む人々も根っからの江戸生まれの町人や、地方からやってきて上屋敷にすむ大名の侍たち、商人や職人たち、老若男女が生き生き暮らしていたと杉浦さんはおっしゃっています。【送料無料】お江戸でござる [ 杉浦日向子 ]価格:515円(税込、送料込)ところで、江戸は現代の東京であることは誰でもご承知のこと、あえて言うまでもありません。それではなぜ「お江戸でござる」のごとく、「お江戸」と言うのでしょう?その前に現代の首都東京のことを「お東京」と言いますか!? 言いませんよね。・・・なぜか?これはあくまで私の勝手な解釈なので、ご了承の上お読みください。人気時代劇『水戸黄門』のお決まりのラストシーン。「助さん、格さん、もうよろしいでしょう」「はっ、・・・え~い、静まれ!静まれ~ぃ!この紋所が目に入らぬか!」「このお方をどなたと心得るっ!恐れ多くも先の副将軍水戸光圀侯にあらせらるるぞぅ~っ!」「一同の者、ご老公の御前である!頭が高い!控えおろうっ!!」・・・とここにもでてきますね。ご老公の御前に使われる「御」の字。「お江戸」もこれと同じ意味合いを持つのではないかと思うのです。即ち、将軍に関係する物・場所などには、すべて「御」という字を頭につけて、「お」または「ご」と呼ばせるのです。将軍が住むところが、千代田のお城であり、御館。将軍が座る場所は、御上段の間。将軍が通れば門が御成り門になり、橋も将軍が渡れば御成り橋となる。もうお分かりですね、将軍が住む町だから江戸ではなく「お江戸」となるのです。明治になり、遷都と相成った。京からお上が江戸にお下りになり、将軍がかって住んでいた「お城」にお暮らしになることとなった。しかし、もはや「お城」ではなく、皇居または宮城とお呼びしますね。「お江戸」も東京となり、将軍はもういませんから、東京に「御」をつける必要もなくなった。・・・だから、「お東京」などとはけっして呼ばないのじゃないの?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月31日

塩茹でにして食べたら美味しいだろうな・・・などと言っていたあのエダマメはどうなっているだろうかと思い、畑まで行って様子を見てきました。豊かに稔ったサヤを覆うように茂っていた緑の葉っぱはすっかり枯れ落ちてしまったものの、株にはすずなりの豆のサヤがぎっしり。少し開いたサヤの口からは、黄色く色づいた大豆がこぼれ落ちそうに稔っていて、収穫の時が間近に迫っていることを教えてくれています。大豆の収穫が終われば、当地では冬支度が始まります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月30日

世界で最も短い名前の町をご存知でしょうか?ウエブトピックスより、フランスで最も短い名前の町、「Y(イ)」日本にも三重県の「津(つ)」市がありますけど、ローマ字表記をしたら「TSU」と三文字になってしまいますからね。「Y(イ)」には及びません。日本人の感覚では、子音に音を持たせるというのは少しばかり理解しがたいところがありますね。ところで、この町の住民が「あなたのお住まいはどちらですか?」と問われたら、やはり「Y(イ)です」と答えると思うのですが、そうすると、かならず「えっ?」と問い返されることになりませんかね。(笑!「え ではありません。い です」「ええっ?」「ええ でもありません。い です」「ややっ?」てなことになるかも知れませんね。(爆笑!ちなみに世界で最も長い地方名となると、これも驚き。「タウマタファカタンギハンガコアウアウオタマテアテゥリプカカピキマウンガホロヌクポカイフェヌアキタナタフ」。なにやら呪文のようですね。なんとアルファベット表記で85文字になるとか。ニュージーランドにある地方名だそうです。季節の花、キンモクセイ。オレンジ色の小さな花が密集して花をつけています。そのぎゅっと寄り集まった姿は、ちょっと見た目暑苦しいような感じがしないでもない。やはりこの花は見るより香りを楽しむ花といえましょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月29日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。三人の海軍大将 PART3次に三人目の大将井上成美。海軍最後の大将となった井上はどうであったか。結論から言えば、井上は下戸組。いよいよ敗戦も濃厚となった昭和19年7月、鈴木貫太郎内閣の海軍大臣に就いた米内は、このとき血圧が250にもなろうという高血圧症を病んでおり、いつ倒れても不思議でないと医者から言われていた。自分の体調のことをよく知っていた米内は、固辞する井上を説得して海軍次官に抜擢している。自分亡き後の海軍と日本の行く末を井上に託したのだ。井上はまかり間違えれば、命を落としかねない終戦への道を探る大仕事に没頭することになる。それから一年後の8月15日、何とか終戦にこぎつけることができたのは、米内と井上の命を惜しまぬ働きがあったればこそということを、まず先に書いておきたいと思います。さて当時の政治向きの話はこのくらいにして、本著の本題「酒」にまつわる話に戻りたいと思います。『井上成美』には、井上が海軍兵官学校の校長を務めたとき(昭和17年10月)の逸話が書かれています。井上の誕生日に、兵学校の各科長クラスの主だった教官二十人ばかりを招いて酒食の会(誕生会)を持った時(正確には酒宴後のこと)の描写からは、井上の厳格な性格と飲酒についての考え方も推し測ることができてひじょうに興味深い。井上の前任の校長であった草加任一中将(当時)は、若い教官の歓送迎会が終わったあとなど、二次会へ誘えば、騒々しい酔いにまかせた席へひょうひょうと現れ、「おっ、お前新婚だったか。どんなケーエー(当時の海軍で夫人を指す隠語)貰ったか俺に拝ませろ」などと、平気で部下の新婚家庭へ押しかけて、そのまま酔いつぶれて寝てしまったという実に人間味あふれる御仁。その草加と井上が対比して書かれてあって、ひじょうに面白い。自ら主宰した誕生会も粛々と進んでお開きとなり、井上は退席。招待された側だけが残り、酒好きの勇士十数人で二次会をやろうということになった。前任の草加と同じつもりで、「大いに楽しくやっております。校長もちょっと如何ですか」と一人の科長が校長官舎に電話をかけたところ、「そういう席へ私は出ない」あっさりと電話を切られてしまったというのです。また同じく阿川の手になる『暗い波濤』(新潮社)では、これとよく似たシチュエーションで津島という名の兵学校の教頭が出てまいります。津島が退任し霞が関の赤レンガ(海軍省のこと)への転出が発令され、その壮行会でのこと。やはり宴席が終わるや、あっさりと官舎へ帰ってしまった津島に、「教頭。目下二時会で大いにやっているところですが、教頭にもあらためて無礼講でおいで願いたいと一同申しております」と電話をかけたところ、「駄目だ。一同とは誰々か?海軍には無礼講はない。酔っ払いの席は私は失敬させてもらう」一方的にガチャンと電話が切れたと。山本は井上の海兵五期先輩にあたり、この時すでに連合艦隊司令長官に就任していて洋上にいましたから、江田島の海軍兵学校の官舎に居合せることはありえないのですが、『暗い波濤』に出て来る津島という名の教頭が井上をモデルにしたものに間違いないとして、山本がこの場に居合せていたとしたならどうだったろうかと、想像してみました。「まあまあ、井上君。確かに君の言うとおりだが、君の壮行会の二時会をやっているのだろう。ここはちょっとだけでも顔を出してやったらどうだい。ほれ、これを持っていけばよい。いくら飲んでも酔わぬ不思議な酒だよ」そう井上の耳元でささやいて、例の「酒」を勧めたに違いないと思うのです。漢籍にも通じていた山本のことです。「君に勧む更に尽くせ謎の酒」などと言って、井上を笑わせたのではないでしょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月28日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。三人の海軍大将 PART2阿川弘之は、『山本五十六』の後に、海軍三部作と呼ばれる他の二作『米内光政』と『井上成美』(いずれも新潮文庫)も執筆していますが、名前がそのまま題名になった三人の海軍軍人は、昭和12年に山本五十六が海軍省で海軍次官を務めていた時の上司である海軍大臣が米内光政。井上成美は、山本の下で軍務局長。ドイツ・イタリアとの三国同盟に最後まで頑強に反対した海軍三羽烏として歴史に名を残しています。戦後になって、その米内に海兵三期後輩の山本のことを聞いたところ、米内はひとこと「茶目ですな」と答えたとあります。山本が命を張って同盟に反対したことなど一切言及することなく、ただひとこと「茶目ですな」とは、いかにも米内らしいひょうひょうとしたもの言いです。ところでその米内は、山本と正反対の大酒飲み。酒に酔うということを知らない。このような逸話が『米内光政』に書かれております。当時海軍の三大泊地といえば横須賀、呉、佐世保。米内がそのひとつ横須賀鎮守府司令長官時代の逸話。米内も公式でもお忍びでもよくやって来たという海軍御用達の老舗料亭でのこと。一度、「米内長官のお相手をして酔っぱらわせた者に褒美を出す」と言い出した人があり、横須賀の花柳界で底なしと言われていた年増のお姉さんが挑戦した。長時間差しつ差されつ、杯を重ねてもいっこうに乱れぬ米内。そのうちとうとうお姉さんは撃沈。しばらくして店のおかみが部屋の様子を探りに行ったところ、米内は年増姉さんを自分の膝に寝かせたまま、ひとり手酌で静かに酒を飲んでいたとか。さらにもうひとり米内に挑戦した大虎のお姉さんがいたというのですが、これもしまいには三味線のバチも持てないくらいになってしまった。「負けました」と、ぽろぽろと涙をこぼしたとか。また、米内が総理大臣を務めていた時(昭和15年)、当時の満州国の皇帝・愛新覚羅溥儀が日本を訪れた際に、米内の酒量が話題となった。皇帝が「満州語に『海量(ハイリャン)』という言葉がある。米内の酒の量は『海量』か」と尋ねたところ、同席していた高松宮宣仁親王が、「いえ、米内は『洋量(ヤンリャン)』です」と返したという逸話が語り継がれているとか。ほぉ~、「洋量」ですか…。覚えておきたいことばですな。三人目の海軍大将井上成美(井上は旧帝国海軍最後の大将でもあった)については、また後日にこのブログでご紹介します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月27日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。三人の海軍大将歴史上の著名な人物を上戸と下戸という見方で、その人となりやその人生を探ってきました。すでにお気づきのことと思いますが、上戸組は、はっきりと史書にその名とともに酒に絡むエピソードが出てまいります。しかし、下戸組はまったくといっていいほどに出てまいりません。これは、酒を飲めば当然のことながら人は酔っ払ってしまいますから、上戸は酒に酔って醜態を面前にさらしやすい。常日頃少しの隙も見せまいと澄ましていた人であっても、一旦酒が入るとこの人がこうも変わるものかと驚いてしまうほどに、思いもよらぬ発言や行動をしてしまう。それが実に人間臭さに満ちているからこそ、後世に語り継がれて来たのでしょう。一方下戸組は、体質的に酒が飲めないのだから仕方がない。酒をしてこの世にこれほど不味くて後々まで苦痛を伴う飲み物はないと思っているのだから、逸話など残るはずもありません。人間臭さという観点から考えたなら、下戸組はおもしろみに欠けると言えるかもしれませんね。しかし、全盛期の秀吉しかり、高年になるにしたがって益々渋みを増した家康しかり。彼らは下戸組の中にあっても、例外中の例外といえるのではないか。そこでわが国の歴史上でそのような下戸なる人物はいないものかと探してみたところ、まさにこの人こそふさわしいという方をひとり見つけました。冒頭私は、下戸は史書に残らないと言いましたが、この方は一滴も酒を飲めなかったと、はっきりと書かれています。この点からしても例外中の例外と言えましょう。作家の阿川弘之は、その名著『山本五十六』(新潮文庫)の中で、山本は酒が飲めなかったと書いています。山本五十六についてはその他多くの書籍が出版されており、そこには必ず酒についての記述が出てきますが、酒量については下戸。しかし、酒席の場は人一倍に大好きで、実に場持ちも巧みで上手であった。花柳界のお姉さん連中にも絶大な人気があったようです。ときには窓の手すりをつかんでひょいと逆立ちをして皆を驚かせたり、お銚子の底を手の平に上手に貼りつけて、その状態のまま同僚や上司の席を回って、器用に酒を注いでみせたというのですから、これは往年の秀吉を彷彿とさせますね。しかし、その山本も将官に昇進し上座に座るようになると、今度は下の連中が「長官、長官」と酒を注ぎに来る。これにはさすがの山本も閉口したようで、ひそかに山本専用の特別の「酒」が入った徳利を脇に用意させていたそうです。「おう、俺はこれでやっている」と、その徳利を差し出して杯を受けた。その山本専用の徳利には、水が忍ばせてあったということですから、なるほどこちらの方でも戦術に長けていたわけですな。阿川弘之は、『山本五十六』の後に、海軍三部作と呼ばれる他の二作『米内光政』と『井上成美』(いずれも新潮文庫)も執筆していますが、名前がそのまま題名になった三人の海軍軍人は、昭和12年に山本五十六が海軍省で海軍次官を務めていた時の上司である海軍大臣が米内光政。井上成美は、山本の下で軍務局長。ドイツ・イタリアとの三国同盟に最後まで頑強に反対した海軍三羽烏として歴史に名を残しています。戦後になって、その米内に海兵三期後輩の山本のことを聞いたところ、米内はひとこと「茶目ですな」と答えたとあります。山本が命を張って同盟に反対したことなど一切言及することなく、ただひとこと「茶目ですな」とは、いかにも米内らしいひょうひょうとしたもの言いです。・・・以下続く。米内と井上については、また別の日にご紹介します。お楽しみに♪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月26日
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日本人ほどあいまいな物言いをする民族はいないと言われています。訪問先でそこの主人から昼時に「ごいっしょにお昼ごはんを食べていかれたらどうですか?」などと、食事を勧められたら、「いいえ、今日は。いづれまた・・・」と早々に席を立つのが当たり前のこと。すなわち日本語のあいまいさとは、訪れた客に「昼時になったので、この辺で帰ってくれないだろうか」とストレートに言わないどころか、「昼飯を用意するから食っていけ」と真逆の言い方をすることによく現れています。言われた方も言われた方で、「では、おことばに甘えて・・・」などと言おうものなら、台所でその家の奥さんがずっこけてしまうことをよく承知している。「いえ、このあと寄るところがありまして・・・」などと言葉をにごして、やおら腰を上げるのが礼儀とその辺のところはよくわきまえています。このあたりのやりとりの機微が欧米人には理解しがたいらしく、日本語はあいまいである、日本人は何を言われてもただへらへらと笑っているだけ、と言われる所以なのでしょう。では中国人はどうか?爆笑!エリート中国人 [ 小澤裕美 ]価格:799円(税込、送料無料) (2016/11/7時点)第5章「中国人との上手な付き合い方、教えます」に書いてあります。中国人に「今度遊びに来てください」は禁句であると。お土産やプレゼントにしても、「ほんの気持ちですけど」などと形式的なものでお茶をにごすのなら、初めからあげない方がよほどましだと。すなわち日本人の「私はあなたのことを気遣いしていますよ」の意味の「ほんのささやかなモノですけど・・・」は、中国では「こんな程度にしか自分のことを思っていないのか・・・」ととられてしまうそうですから、本当に注意が必要ですね。もともと「意言外にあるを尊ぶ」や「行間を読む」というのは、日本の文章表現だけに特徴あることではなく、中国でも行間から作者の真意が汲み取れるような漢詩こそ一級の詩であるといわれていて、日本も長い歴史の中でそれに倣って来たのでしたが、その文化が本家の中国より日本で昇華されたというのは、何事にもやわらかく婉曲を好む日本人だからこそ可能であったということでしょうか。何事にもやわらかく婉曲でどこが悪い。日本人に生まれてよかったと思うのです。・・・って、私としたことが、ストレートな物言いになってしまいました。(爆笑!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月25日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。酒悲2020年4月30日の日経コラム「春秋」に「酒悲」ということばが出てまいりました。漢字の本場中国では、酒に悲しみを紛らそうとして、かえって悲しみを倍加させてしまうさまを「酒悲」というと。酒は涙か 溜息か♪ こころのうさの 捨てどころ♪藤山一郎が切々と歌った、古賀政男の名曲が思わず口をついて出て来そうです。「酒悲」なることば、覚えておきたいと思います。コラムニストが話題にしたかったのは、何も未練酒やヤケ酒のことではなく、「来月の世界保健機関(WHO)の総会で、酒類の販売や広告を規制する指針が採択されそうだ」という、酒飲みには、にわかには信じがたい話題。店の数を抑えたり安売りや飲み放題を制限したり、さまざまな手立てを指針として示しているのだとか。そういえば、人間の寿命を縮める要因としては、喫煙よりもむしろ習慣的な飲酒の方がはるかに大きいと、酒毒の怖さについて書かれた本を書店で目にしたことがあります。ただすぐにそっと書棚の奥の方に戻しておきましたが・・・。(笑!WHOがそんなことを考えているなんて、近い将来タバコのパッケージに書かれているような文言が、酒類のビンにも貼られる日がやってくるのでしょうか?とおいえにしの かの人に♪ 夜ごとの夢の 切なさよ♪そんな思いを打ち消そうと酒を飲めば、まさしくこれが「酒悲」。古の中国の賢人も味わったことを思えば、なかなかに考えさせられることば「酒悲」であります。さて、この「酒悲」について語ろうとすれば、わが国の明治・大正期の歌人若山牧水を抜きにしては語れぬものがあるとしたものです。日が暮れて一人疲れた体を薄い布団に横たえるわびしさは格別なものがありますが、夕方一人さびしく食卓に着くのも独り寝以上にわびしいものがありますね。その辛さから逃れようと傷心者はしばしば酒の力を借りることになるのですが、そうすればまあどうにか腹も満たし、脳を麻痺させて眠りにつくことも出来るようではあります。しかし、そんなことをせずとも鏡が1枚あればいいって、ご存知でしたか?一人であっても鏡を見ながら飲み食いすると、おいしく感じられるという研究結果が、このほど名古屋大学の研究者によって発表されたということですが。 大学生と高齢者16人ずつを対象にポップコーンを食べさせて、鏡ありと鏡なしで実験をしたところ、「おいしい」「また食べたい」の評価が「鏡あり」の場合で明らかに高く、食べた量も多かった。しかも、大学生でも高齢者でも同じ傾向が確認されたということです。研究者はこの結果の意味を「他者と食べる『共食』環境を疑似的につくりだし、おいしさの感覚が刺激されているのではないか」と考えているというのですが。・・・う~む、果たしてそうでしょうか?貴方はポップコーンを食べている自分の姿をまじまじと見たいですか?私ならポップコーンが酒であってもお断り願いたいですな。美空ひばりは、酒を飲んでさえ断ち切れぬ未練を飲んで棄てたい面影が♪ 飲めばグラスにまた浮かぶ♪と歌い、この国の民を涙させましたが、鏡に映った醜い己の姿を見れば、酒を飲む気さえ失ってしまいそうです。ましてや、ポップコーンをや。そもそもポップコーンなどというものは、鏡を見ながら一人ではなく、映画館でスクリーンを見ながら、隣の席のカップルに遠慮しつつ食べるものだろう。酒飲めば 涙ながるるならはしの それも獨りの時にかぎれりかの若山牧水の歌を"疑似的「共食」"の研究者におくりたいものです。さて、今宵も一人酒を飲みながら、鏡などではなく、内なる己を見つめて涙を流すとしましょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月24日

季節の花、昨日のコスモスに続き、今日はキンモクセイ。キンモクセイ、この花を見ると・・・、というより花の香りを嗅ぐと、秋が来たなと思います。歩道を歩いていて、どこからともなく漂う芳香に、首をめぐらし探すことしばし。大きな総合病院と隣合わせの倉庫のような建物の敷地の角に植わっていました。オレンジ色の小さな花が密集して花をつけています。そのぎゅっと寄り集まった姿は、ちょっと見た目暑苦しいような感じがしないでもない。やはりこの花は見るより香りを楽しむ花といえましょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月23日

昨晩はずいぶん冷え込みました。ついこの間までは、エアコンの冷房を入れずには休めなかったですが、昨晩は暖房にして部屋を少し温めてから就寝しました。今朝7時過ぎに撮った北アルプス立山連峰の様子。頂上付近が白く色づいているのがわかるでしょうか。アップにしてみると剣岳(写真左に位置する三角に尖った山)とその右側に位置する立山(台形状の山)の山頂付近に冠雪が見られますね。今年はまだ発表されていないところをみると、やはり今夏の異常な暑さの影響を引きずっているのでしょうか。立山の初冠雪というのは、富山地方気象台から職員が肉眼で見て、頂上付近に積雪が観測されるときに発表されるということですが、素人の私にもはっきりと目視できますから、今日あたり初冠雪の発表があるのではないでしょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月22日

古の昔より人間の真理への探究心には限りがなく、今この瞬間も多くの科学者が研究に勤しんでいるに違いありません。あるいは多くの哲学者が深海の底を覗くがごとく深く思いを巡らしているに違いないでしょう。私はといえば、日々の生活に追われ、「余の辞書には余裕という文字がない」とうそぶいているくらいですから、そんなことをして何になると思いたくなるような研究に出会うことよくあります。ウエブトピックスより、カリフォルニア大学、ゆで卵を“生卵”に戻す新しい方法を発明ゆで卵を“生卵”に戻す新しい方法を発明したって、そもそも生卵が欲しいなら生卵をゆで卵にする必要があるのかという議論になりませんか?確かに卵を目玉焼きにしてしまってから、卵かけごはんにすれば良かったと思うことはありますがね。(笑!「これらの技術を応用すれば大腸菌などのタンパク質を安価に速く作り替えられ、癌治療などの医療にも応用できる」と記事には書いてあります。この部分が肝心なところなのでしょうが、英語から日本語への翻訳が上手にされていないようで残念です。つまり、たんぱく質は熱や酸などによって変性を起こすことは広く知られた事実ですが、一度変性を起したたんぱく質を元の状態に安価に素早く戻す技術を開発した。それが生物化学の分野や医学の分野の研究に応用できるということでしょうか?・・・安価な方法だって?新しい生卵を買ってきた方がはるかに安いと思うのですがね?(笑!難しい化学の理屈は凡夫には分かりづらいので、私の日常に置き換えて考え直してみると、生卵をご飯にかけてしまってから目玉焼きが食いたいと思えば、かき混ぜる前であったならフライパンに戻すことは可能ですが、その逆は困難というもの。それを可能にする新しい技術を開発したから、朝飯は卵かけご飯にするか目玉焼きにするか、はたまたスクランブルエッグにするか事前によく考えずに台所に降り立ってもよいということでしょうか?・・・スイマセン。これ以上ふざけていると、研究者から生卵を投げつけられそうです。(笑!新しく発見された「ゆで卵を“生卵”に戻す新しい技術」が、人類の幸福と発展に寄与することを祈っています。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月21日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。上戸と下戸人を大雑把に男と女に分けることができるように、酒を飲む人と飲まぬ人というようにも分けることができましょう。いわゆる上戸と下戸というわけですな。私は今『居酒屋おばさんの下戸ですけど何か?』(佐原明子著 幻冬舎)という大変ユニークな題名のついた本をパラパラとめくっては、大笑いしています。居酒屋おばさんの下戸ですけど何か? [ 佐原 明子 ]価格:1,100円(税込、送料無料) (2025/10/20時点) 楽天で購入 自販機に向かって「すいません。すいません」としきりに謝っているお兄さんはまだしも、電車の中で誰も寄り付くはずもない空いた隣の席に向かって、怒鳴り散らしている酔っ払いにはなりたくないものだとつくづく思った次第です。かといって、「ママって本当にお酒飲めないの~、人生の半分損してんね~」などと、可哀そうがられるのも癪にさわります。「芳醇な香り」という表現は、新茶の品評会で言うのならわかるが、どうして利き酒の会で同じ言葉が使われるのか全く理解不能と宣う下戸の「居酒屋おばさん」は、はたして人生で損をしているのか、得をしているか、どちらでしょうか。そこでこの国の歴史に名を残した有名人を上戸と下戸に大別するとしたらどうなるか。彼らの人生の損得を酒の上から検証してみたら面白いのではないかと考えました。上戸組の筆頭は、「黒田節」の章で取り上げた戦国武将・福島正則となるでしょうか。「酒豪」の章では明治の軍人・秋山好古と、戦国時代の越後の名将・上杉謙信にも触れましたが、彼らも最上級の上戸といえるでしょう。秋山好古はさておき、福島正則は酒が原因で、秀吉から下賜された家宝の槍を失うことになった。謙信は馬上にあっても酒を離せず、酒を注ぐ手間を惜しんで三合は入るという酒器を用意させていた。これが有名な謙信の馬上杯。馬も乗りものに違いありませんから、これは今日でいえば酔っ払い運転。一発免許取り消しということになってしまいます。馬に跨らずに、輿に担がれた謙信など想像したくもありませんが…。その謙信の死因は酒の飲み過ぎによる高血圧性脳溢血とか。もう少し節制していれば、北陸路から京へ駆け上り、天下の覇者となれたはずとも言われていますね。そうすれば、謙信にしても正則にしても、上戸が過ぎたがゆえに損をしたと言えるのではないか。一方下戸組となると、酒を飲まないから酔うことはないのは自明。酔うことがなければ、酔っぱらって失態をさらすこともありませんから、彼らの周りには酒にまつわるエピソードが乏しい。信長、秀吉、家康、光秀…。苗字を書かなくても名前だけでそれが誰であるかわかる人物は、なぜか戦国時代のこの一時期に集中しているのはひじょうに興味深いことです。日本人ならだれでも知っているこの四人の武将に、なぜか酒にまつわるエピソードが残っていないのは、実は彼らは下戸であったからではないかと、俄か歴史学者(←私のことです)は考えるのですが、皆さんはいかが思われますか。これからそれを探ってみましょう。・・・以下続く。またこのブログで取り上げます。お楽しみに♪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月20日

季節の花、ご存じコスモス。薄紅のコスモスが~ 秋の日の~♪何気ない陽だまりに~ 揺れている~♪・・・と、嫁ぐ日を間近にした娘の母を思う心情を詩に表したのは、さだまさし。山口百恵が歌い、大ヒットした「秋桜(コスモス)」の歌い出しの歌詞です。この歌もさることながら、日本人ならコスモスの花を知らぬ人はいないでしょう。桜の花弁に似た花を秋につけることから「秋桜」と呼ばれるようになったこの草木は、花に比べて茎がずいぶん細いですね。葉にいたってはさらに針のように細く、細い茎の先端につける花の大きさをよりいっそう際立たせます。重心が上の方にあるので、ちょっとした風にもゆらゆら体を揺らすことになります。コスモスの花言葉を調べてみると、花の色によって少し違うようですが、総じて「謙虚」「調和」「乙女の真心」とありました。いかにも日本人が好む言葉ですね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月19日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。「猿酒」今はすでに解散されたと聞いていますが、京都大学霊長類研究所の松沢哲郎元教授は、なんと1995年から17年間に亘って、西アフリカ・ギニアのジャングルに野生のチンパンジーを追い求めて来たというのですから驚きです。よくぞご自身も野生化してしまわなかったものだと感心してしまいます。松沢先生は、その17年の間に20回あまり野生のチンパンジーが酒を飲むところを観察したということです。ほぉ~、野生のチンパンジーが習慣的に飲酒すると! 酒というのは、現地の人がヤシの木の樹皮に傷をつけ、そこから出る樹液を容器にためて自然発酵させて作るヤシ酒のことなのだとか。これをチンパンジーが人の目を盗んで失敬するというのです。・・・まったく、けしからんサルですな。これとよく似た話は、アフリカまで行かなくてもわが国でもあります。古来より「猿酒」の存在が、日本各地に語り継がれていることご存じでしょうか。ただし、こちらの方は人の方がサルの作った酒を失敬するのですが。サルが秋の間に木の実や果実を樹木の股や洞にため込んでおいたところに、雨露が溜まって自然発酵し、酒になるのだとか。これを見つけた木こりが、家へ持ち帰って布で濾して飲んでみると、これが結構イケたというではありませんか。・・・まったく、けしからん木こりですな。まあサルにしてみれば、食料が乏しくなる冬のことを考えてのことでしょう。決して酒を造ろうという意図はないと思われますが、それでもアルコール発酵した木の実を食べるということはあるのでしょう。サルの赤ら顔は、「猿酒」を飲んでいたからだという伝承があっても面白いと思うのですが、残念ながら私の調べた限りにおいてそのような話は見当たりません。ヒトも酒を飲めば、サルも酒を飲む。ヒトもサルもアルコール分解酵素を体内に持ち合わせていて幸いでしたね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月18日

古代の遺跡からは決まって貝塚が発掘されていますから、古より貝は貴重なたんぱく源として重用されて来たことがわかります。ただアサリなどの二枚貝を食べ過ぎると食アタリを起こすことがあるので注意が必要です。二枚貝がエサとして摂取する「アレキサンドリウム・タマレンセ」という植物プランクトンの持つ毒素が原因だということです。このプランクトンの毒素が貝の体内で濃縮される、それを人が食べて食中毒を起こすということらしい。毒素を持つプランクトンを貝が食べても平気なのに、その貝を人が食べると毒にやられるというのですから、始末におえません。そういえば昔からシジミ汁やアサリ汁は、冷めても温め直して飲むものじゃないというように言われているようです。これはこの種の貝毒の食中毒が昔からあった証ともいえます。昔の人は貝のエサとなるプランクトンのことなど知るよしもありませんが、とにかくシジミ汁やアサリ汁は、美味いからといって二杯・三杯食べるものじゃない。せいぜい一杯にしておくにこしたことはないという生活の知恵なのでしょう。最近ではノロウイルスと二枚貝の関係も取り沙汰されています。やはり昔から貝にアタルとひどい目に遭うと言われて来ましたから、昔の人もそういう経験を積んできたのに違いありません。科学が進歩して、食アタリの原因が分かるようになって来た。そうすると人は臆病になって今まで平気で食べてきたものでも、「安全・安心」な貝や魚を提供せよと言うようになる。・・・困ったものですな。貝類の食物連鎖よりずっと厄介な連鎖と言わなければならないようです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月17日

植物には香り成分の分泌によって個体間の情報をやり取りする仕組みがあるってこと、ご存知でしたか。植物は、周囲の植物が害虫に食べられた時に出る香りを感知すると、虫が消化不良を起こすたんぱく質を多く作り出す仕組みを持っているのだというのです。また、ミントと一緒に植物を栽培すると害虫が寄りつかないことも経験として知られており、ミントの香りに同様の効果があるかどうかをダイズやコマツナを対象に調べてみたところ、ガの幼虫やダニなどが消化不良を起こすたんぱく質を作り出すRNA(リボ核酸)の量が、格段に増えていることが明らかになったということです。それにしても、植物に動物の臭覚に相当する器官(?)が備わっているとは初耳です。さらにその臭いを感知して、害虫が消化不良を起こすたんぱく質を作り出しているって、もの言わぬ植物の体の中に備わった驚くばかりの仕組みに、生命の神秘を感じずにはおれません。害虫による食害を抑えた新しい植物の栽培方法につながる研究といえましょう。でも、害虫が消化不良を起こすたんぱく質なら、人間が食べても腹を下すってことにならないかと、俄か植物生態学者( ← 私のことです)は心配するのですがね。杞憂でしょうか・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月16日

アメリカで銃乱射事件が後を絶ちません。このような事件が起きるたびに、銃の所持規制の声が全米の各地で沸き上がるものの、未だかって厳しい規制がしかれたという話は聞こえてこないのは、どうしたことだろう。アメリカ人の好きな言葉を三つあげると、自由(フリーダム)、正義(ジャスティス)、と力(ストレンス)だといいます。アメリカの歴史をひもとくと、アメリカは新天地に自由(フリーダム)を求めた人たちが、イギリスから移住し、開拓によって作り上げた国。旺盛なフロンティア精神の後ろ支えとなったのは、正義(ジャスティス)と力(ストレンス)という言葉であったのは、ジョン・ウェインの西部劇を見ればすぐわかること。そしてジョン・ウェインの手には必ずライフルが握られていた。そのライフルこそ力(ストレンス)の象徴であったといえます。自分が開拓した土地を犯すものは悪であり、力を行使して倒さなければ自由は守れないと考えるのが、アメリカ人の思考。自分の身は自分で守る。そのために銃を所持するのは正義であると。・・・根が深いですな。悲劇は永遠に繰り返されるでしょう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月15日

ウエブトピックスより、てんかんの発作のメカニズムが解明されたという話題。てんかんの発作は、脳内特定部位を冷却することで止まるということですが。記事によれば、マウスを使った実験で、てんかんの発作が起きた時に脳内の「てんかん原性域」という部分の温度が1度上昇することが判明。原性域を30度まで冷却すると、発作が完全に止まって脳波が通常の動きに戻ったとあります。古来より興奮を静めるには「頭を冷やせ」と言われていますね。・・・これって文字通り本当なんだな。(笑!NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」でもやっていました。人があくびをするのは、脳に酸素を送ろうとするからではなく、のどの奥を通る血管を空気で冷やして脳内に冷たい血流を送りこむためだと、チコちゃんは言っていました。頭をクールに保つことが大切なようです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月14日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。アメリカとロシアの禁酒事情皆さん、アメリカのハリウッド映画「ゴッドファーザー」をご覧になられたでしょうか。マーロン・ブラントがマフィア・ファミリーのドンを演じていました。その息子役のアル・パッチーノもいい味を出していましたね。この映画は、第二次世界大戦が終わった直後のニューヨークを舞台にしたマフィアの組織間抗争を描いた作品ですが、世界大恐慌が世界中の経済を大混乱に陥れた二十世紀初めころに、アメリカ・シカゴの闇世界に君臨したギャングの大ボス、アル・カポネをヒントに制作されたのではないかと、俄か映画評論家(←私のことです)は考えています。アル・カポネは、いわゆるアメリカの「禁酒法」(アメリカ合衆国憲法修正第18条)が施行された時代(1920年から1933年)に、北中部のシカゴを中心に勢力を拡大したギャング組織の大ボス。修正第18条は酒類の製造・販売・輸送・輸出入を禁じる法律ですが、カポネは法律の条文と正反対のことをやって、莫大な財を築いた。カポネはシカゴの市長や警察までをも抱き込み、巧みに賭場と闇酒場を支配したといいいます。さてその禁酒法の効果はどうであったかというと、法律を定めて飲酒を禁じようとしても、酒を飲もうとする人は後を絶たず、かえって酒の需要が増大したというのですから、まったく皮肉なことです。おかしなことに修正第十八条の条文には、肝心の「飲酒を禁ずる」とはひとことも書かれていないのです。まあ、酒を造ることを禁じてしまえば酒が手に入らなくなるわけですから、飲酒禁止を条文に明示しなくてもよいと考えたのでしょうか。私に言わせれば、どうも最初から逃げ道を作っておいたのではないかと疑りたくなります。事実、この法律は施行当初から平然と無視され続けられたというのですから驚きます。お金持ちは法律が施行される前に、スコッチやワインなどありとあらゆる酒を買い占め、法律が施行された後も平然とそれを飲んだといいます。飲酒は禁じられていないのだから、飲んでも別段法律に違反していないというわけです。そこまでできなかった庶民は、家庭で手軽に入手できる砂糖から、秘かに酒を醸造したということです。これは製造を禁じた法律違反になりますが、どこの家でも密造を繰り返したがゆえに町の商店から砂糖が消え失せたとも伝わっています。結局、悪徳と犯罪のない理想の社会を作ろうとした敬虔なキリスト教を信奉する一部の団体の思惑はみごとに外れてしまった。街中を歩く酔っ払いは減ることなく、逆に家庭内不和と暴力が増え、ギャングがはびこるだけの結果を招くことになった。世の悪徳も犯罪も決して無くなりはしなかったというわけです。さてここで、話をアメリカからロシアに移しましょう。ロシアは言わずと知れたアルコール大国。厳冬期にはマイナス二十度、三十度にもなるので、ウォッカに代表される強い酒が好んで飲まれるお国柄というのは理解できるとしたものです。ロシア語でウォッカは「Водка(ヴォートカ)」と表記するのですが、水のことをなんと書くかというと、「Вод(ヴォート)」だというのですから、なんともオソロシイ国ですね。日本人がたどたどしいロシア語で「水をくれと」言ったら、ウォッカが出てきたという話もあながち嘘ではないようです。一般的にロシアの男性の平均寿命が先進国に比べて際立って低いのは、ウォッカを飲み過ぎるからだと指摘されています。何とか国民のアルコール摂取量を減らす手立てを講じなければ、国が亡ぶと考えた指導者が一人います。グラスノスチ(情報公開)とペレストロイカ(改革)の名のもとに、徹底して禁酒運動を推進したゴルバチョフがその人。何しろ「しらふが正常」という合いことばを用いて大キャンペーンを展開したというのですが、酒好きな国民の大反発と酒税の大減収を招くことになってしまった。保守派が起こしたクーデターにより、指導者の地位を追われたばかりでなく、「ペレストロイカ」がソビエト連邦崩壊の最大原因とまで言われてしまうことになった。もしかしたらクーデターが発生したのは、権力闘争ばかりでなく、「ペレストロイカ」と同時に断行した禁酒運動にあったのではないかとさえ思いたくなりますね。そのゴルバチョフの後を受けて新生ロシアのかじ取りを担うことになったのは、エリツィン。クーデター軍の戦車の前に立ちはだかって、モスクワ市民とともに断固民主運動の推進を訴えて、新しいロシア連邦共和国の指導者となったエリツィンは、大の飲んべぇ。ウォッカが手放せなかったといいます。さてここでかの国の民主運動とは全く関係がありませんが、ソビエト連邦時代からロシア連邦共和国時代の主だった指導者を時系列に並べてみると、レーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、ゴルバチョフ、エリツィン、プーチンとなります。その頭髪に注目してみてください。禿、フサフサ、禿、フサフサ、禿、フサフサ、禿と交互に並んでいることがわかります。これが下戸、上戸、下戸、上戸…、というようにも並べることができるとしたら、プーチンは大酒飲みのエリツィンのあとだから、下戸ということになるのですがね。 謎多きロシアのこと、プーチンの酒量はどうなのか、調べてもなかなか掴むことができません。あるいは最高機密なのかもしれませんね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月13日

我々日本人のルーツは、列島土着の縄文人と大陸から朝鮮半島を経由してやって来た弥生人の混血と言われています。このほど日本人約1万1千人の遺伝情報をもとに、47都道府県の人々が縄文人と渡来人の遺伝的影響をどの程度受けているかを調べたところ、縄文人の影響が高めに残るのは沖縄県と九州や東北の各県で低めなのは近畿と四国だったことが判明したという話題。ウエブトピックスより、地方別に見た縄文人の影響は? 高めなのは九州・東北大和朝廷は大陸から朝鮮半島を経由して渡来した民族の子孫が建てた国家であると言われていますが、近畿、四国地方に渡来人の影響が大きいというのは、まさにこれをものがっているものと思われます。また、沖縄・九州や東北地方に縄文人の遺伝子が色濃く残っているというのも、弥生人よりずっと昔に縄文人もやはり大陸より南北のルートをたどり日本に渡来したその名残ではないかと、俄か歴史学者( ← 私のことです)は胸を躍らせています。すなわち1万6千年前にはすでに日本に住み着いていた縄文人は、南から琉球列島を経由して、また間宮海峡から樺太・北海道を経由して渡来し、約3千年前ころに渡来した弥生人は、朝鮮半島経から対馬を経由してやって来て、日本に住み着いたのだと。1万年以上もの歳月は、大陸の文化から日本列島を置き去りにしたのではないか。優れた文化を持つ弥生人が土着の縄文人を飲み込んでしまった。出雲神話でお馴染みの大国主命(おおくにぬしのみこと)は土着の縄文人で、それを征服したのが大和朝廷であるという学説はあまりにも有名ですね。ただ、弥生人は縄文人を徹底的に破壊したかというとそうではなくて、むしろ神として崇めたというのが、世界の歴史に例を見ないところ。おそらくこの時にはすでに、弥生人と縄文人の混血は多数形成されていて、縄文人を否定するということはすなわち大和朝廷を否定するということにもなったということでしょう。ところで弥生人であれ縄文人であれ、どちらも体形は胴長短足が大きな特徴であるって、ご存じでしたか?それは揺るぎない事実であるということは、弥生時代、縄文時代にさかのぼらずとも私自身の体形を姿見で見てみれば、一目瞭然のことでありました。(爆笑!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月12日

日本人なら東京を知らぬ人はいないでしょう。京都も同様ですね。ところが日本を訪れる外国人観光客の中には、意外にも東京と京都の区別がついていない人が多くいるのだそうです。ウエブトピックスより、「TOKYO」意外と知られてない 「京都」と間違われる“屈辱”関西周辺を回って「東京へ行ってきた」と満足して帰る外国人が意外と多いというのは、憤るというより拍子抜けさえしますね。私が思うに外国人観光客にとって、日程の都合などにより京都、奈良を中心とする関西圏だけの観光であっても、日本に行って来たのは間違いのないことであり、彼らにすれば「日本」=「東京」という感覚なのではないか?逆の立場から考えてみても、私はワシントンやニューヨークがアメリカの東海岸にあるということは知っていても、地図上でその位置を正しく指せないですもの。北京や上海にしてもパリやベルリンにしても同じことです。「TOKYO」と「KYOTO」という発音も外国人にとって紛らわしいというのもあるかもしれませんね。ここは東京、京都の立場を抜きにして、日本の「都(みやこ)」がどのような経緯で京都から東京に遷移されたのかという日本の歴史と「京(KYO)」の持つ意味について、外国人に分かりやすく説明する手段を講じることの方が問題解決の早道なのではないかと思います。古人いわく、「急がば回れ」と。まずは日本の伝統と歴史を正しく理解してもらうことから取り組むことの方が大切でしょう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月11日

人間が生きていく上で絶対に必要なものを3つあげよと問われれば、水、空気、それに睡眠となるでしょう。私は、水と空気と安全はタダだと思っている日本人のひとりですので、今日は睡眠について考えてみたいと思います。「人はパンのみに生きるにあらず」という言葉は、キリスト教徒でなくとも広く知られている有名なことばですね。物質的な満足を追うだけが人の道ではないことを民に諭した西洋の賢者でさえも、睡眠不足の頭ではそのような高尚な思索を巡らすことができなかったと思うのです。ナポレオンは、一日3時間も眠れば十分だったという話をよく聞きます。このナポレオン睡眠について、それぞれ全く違った考え方をする人がいると思うのですが、皆さんは、そのどちらのタイプに当てはまるでしょうか。一つは、睡眠時間が短いだけ有効時間を多く持てたナポレオンをうらやましく思う人。もう一つは、人間最大の悦楽を味わう時間を持てなかったナポレオンを気の毒に思う人。えっ、お前はどうなんだですって?・・・言うまでもなく後者です。(笑!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月10日

田舎の地方都市に住む私の交通手段は、もっぱら自家用車。めったにタクシーに乗るなどというようなことはありません。ウエブトピックスよりロボタクシー、東京を走る「無人タクシー」実証実験を開始へ:実証実験からサービス開始までの道のり公道を走るロボットタクシーの運行実験が、東京で始まったという話題ですが、そのような無人タクシーに乗ろうという人いるものですかね?アーノルド・シュワルツネッガー主演のアメリカの近未来映画で、シュワルツネッガーがロボットタクシーに乗るシーンが出てきましたね。このタクシー文字通り運転席にロボットが座っていて、「とにかく車を走らせてくれ」というシュワルツネッガーに行き先を正確に言えだの、料金はプリペードカードで支払えだのと言って動こうとしない。手をこまねいたシュワルツネッガーはロボットを座席ごと引っこ抜いて、自分が運転してタクシーを走らせてしまうというシーン。私はアーノルド・シュワルツネッガーのように腕力がありませんし、そんな乱暴なことをやる勇気も持ち合わせていませんから、ロボットタクシーの言いなりになるしかないのかなと思うのです。(笑!運転免許証を取得するとき自動車講習所で乗る車には、教員が乗る助手席側にもブレーキがありますよね。・・・ロボットタクシーにも客席にブレーキを設置しておいてもらいたいものですな。(笑!「お客様、みだりにブレーキをお踏みにならないでください。運転がしづらいです」などと、ロボットタクシーが言ってきたりして。・・・そんなことないか!?(爆笑!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月09日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。「フランス人とワイン」PART2・・・この時のことがトラウマとなったのでしょうね。私はワインを飲むのはどうもはばかられてしまうのです。こんな間抜けな日本人がいるということは、フランス人には内緒にしておいてくださいね。それでは本場フランスでは、ワインはどのように飲まれているのでしょうか?まず私は、フランスに限らずヨーロッパの国々は、ひじょうに水質が悪いゆえに、飲み水が手に入りにくい土地柄と理解していました。石鹸で手を洗おうとしてもなかなか泡立たない、いわゆる硬水しか得られぬ地だと。日本は北半球にあって温帯モンスーン気候帯に位置しますから一年を通じて雨量が多く、ゆえに豊富な地下水がどこを掘ってもすぐ手に入る。日本人は「水と空気と安全はただと思い込んでいる」と言われる所以です。そこでフランス人はどうしたか。ブドウに水を飲ませ、そのブドウの果実からワインを醸造し、ワインを飲むことで飲めぬ硬水の代わりにした。このように理解していました。すなわちフランス人は、ワインを水替わりにがぶがぶ飲むといったイメージを抱いていたのです。こんなフランス映画を見たことがありました。郵便物を集配中の郵便局員が、郵便物を取り扱っている街の何でも屋(ドラッグストアのようなものか)に郵便物を集荷にきて、「こう暑くちゃたまらん。一杯頼む」と店のオヤジに言うと、オヤジは当たり前のように、樽からワインをグラスになみなみと注いで差し出したではありませんか。一息にグラスを空けた郵便局員、郵便物を預かることを忘れそのまま店を出ていってしまった。店の奥から「しょうがない野郎だ」と言いながら出てきたのは、その郵便局員の上司。こちらはすっかり出来上がってしまっている。・・・フランスは何といい国だと思いましたね。2014年のデータになりますが、フランスのワインの平均年間消費量は、かっては約100リットルあったものが近年では約43リットルまでに減少したということです。43リットルってどのくらいの量なのだろう。早速計算してみました。ワインのアルコール度数は15度くらいでしょう。日本の清酒の度数とほぼ同じと考えてよさそうです。酒一升が1・8リットルだから、 43÷1.8÷12=2ひと月二升という計算になります。月二升ということは、一日〇・七合。飲酒する人が全人口の半数と考えれば、フランスのワイン飲酒量は、ほぼ同じ度数と考えられる日本酒に換算して、多めに見積もって一日一合半ということになりますね。「いたって健全ではないか」と思われた方は、酒飲み。私の妻に言わせれば、「あらあら、ずいぶん飲むこと。酒飲みはどこの国でも同じだわ」と、私を見やることでしょうね。ある調査ではフランスのワイン消費量は、1980年では日常的に飲む人が約7割だったのに対し、々減少し続け2010年には3割を切るという結果になってしまったとか。一人あたり100リットル近い消費量だった時代とその30年後、消費量が半分以下となった時代を比較したこんなデータも一緒に載っていましたので、転記しておきましょう。〈1980年 男性〉日常的に飲む 69% 時々飲む 22% 全く飲まない 9%〈2010年 男性〉日常的に飲む 26% 時々飲む 46% 全く飲まない 28%〈1980年 女性〉日常的に飲む 37% 時々飲む 37% 全く飲まない 27%〈2010年 女性〉日常的に飲む 11% 時々飲む 42% 全く飲まない 47%フランスでも、年々ワインの消費量が減る一方だというのは、他国のこととはいえ寂しい限りではありませんか。日本でも清酒の消費量の減少傾向に歯止めがかからないと指摘されていますね。これはやはりどちらの国も若者のアルコール離れということが根底にあるのでしょう。近頃の若者は、いったい何を飲んでいるのですかね。…なに?「もっぱらスポーツドリンクで水分補給をしています」ですと。これはしたり。う~む、さしずめマッカーサーの心境ですな。老兵は死なず、消え去るのみ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月08日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。フランス人とワイン「ドイツ人とビール」について語ったのであれば、「フランス人とワイン」についても語らねばならないとしたものでしょう。今日では日本でもワインは気軽に飲まれるようになりましたが、やはり私ら中高年の世代は、ビールこそ「とりあえずビール!」と気軽に注文できますが、ワインとなるとどうしたものかと尻込んでしまいます。まず赤にするべきか白にするべきかで多いに悩まなければなりません。色の選択ばかりでなく、飲む前に面倒なことが多すぎる。そんな事など気にかける必要はない、飲みたいものを注文すればいいのだと言ってもらうと気が楽になるのですがね。皆さんどうです。ワインリストを手渡されると、少し格好をつけてみたくなりませんか?若いころこんなことがありました。仕事上大変お世話になっているお得意先の研修会という名の海外旅行に参加したことがありました。アメリカの流通小売業の視察ということで、シアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴのスーパーマーケットやデパートを見て回ったのです。確かサンフランシスコで一泊した夜のことではなかったか。参加者総勢で一流レストランで食事をしようということになった。ところが旅行会社のツアーガイド兼通訳が、直前になって急用が入って一緒に行けないと言い出した。「レストランは予約してあります。タクシーも人数分手配しました。タクシーが来たら運転手に店の住所を書いたメモを見せてください。五分ほどで着きますよ」とガイドが言うではありませんか。参加者の中で一番若かったのは、この私。「お前、学校出たばかりだし、英語少しぐらいなら話せるだろう」と、お得意先の商品部長が言う。「そうだ、そうだ。せっかく予約したレストランをキャンセルする手はない」と、みんなが無責任なことを言いだして、たちまちのうちに意見が一致。私が旅行会社のツアーガイド兼通訳代理ということになってしまった。本職のツアーガイドが言ったように、タクシーは間違いなく私らを予約したレストランの玄関先まで送ってくれたのでした。「げっ、この店構えはどうだ。おい、〇〇(←私のことです)、俺ネクタイしていないけど入れるかなぁ~」などと言っていたくせして、店に入ってテーブルについたら、そんなことを言っていた張本人が、「お姉ちゃん、とりあえずビール!」などと言い出すではありませんか。「やめてください。恥ずかしいですよ。ここはカクテルとか注文しなきゃ。な、そうだろ、〇〇(←私のことです)」「えっ、カクテル?俺カクテルなんて知らないぞ。どうしよう」「そんならマティーニにしておこう。ステアではなくシェイクで」などと自分がスパイ映画の主人公になったと勘違いする者も出る始末で、テーブルはたちまちのうちに喧騒に包まれたのでした。まあ、周りに私たち以外に日本語がわかる客がいなかったのは幸いなことでした。そんな東洋人の一団を迷惑そうに見つめるフロアー係に、私はようやくのこと、「wine please!」とだけかろうじて言ったのでした。するとそのフロアー係は、私が英語を喋れると思ったのでしょうね。思いっきり巻き舌の早口で、「○△#×&、ホワイト、カルフォルニア、$%□?」と聞いて来るではありませんか。語尾が上がり調子であったのと、「ホワイト」と「カルフォルニア」は何とか聞き取れたので、「イエス、イエス! two bottle please!」と私。「おっ、○○(←私のことです)すごいな。英語ペラペラじゃないか」と商品部長は宣ったのでした。「部長、白ワインを二本注文しましたが、値段を確認するのを忘れました。きっと高いと思いますよ」悲しいことに初めての英会話に上がってしまい、「reasonable」と付け加えるのをわすれたのは大失策。「部長、カードを用意しておいてくださいね。あとでサインもお願いしますから、漢字で名前を書いていただくだけでいいです」勘定は全部得意先の会社の部長持ちにしてやった。この旅行のために初めてカードを作ったという部長は、「おっ、わかった、わかった」と、快諾してくれたのでしたが、果たしてわかっていたのかわかっていなかったのか。まあ、日本に帰ってから奥さんにこっぴどく叱られたのは間違いないでしょう。この時のことがトラウマとなったのでしょうね。私はワインを飲むのはどうもはばかられてしまうのです。こんな間抜けな日本人がいるということは、フランス人には内緒にしておいてくださいね。それでは本場フランスでは、ワインはどのように飲まれているのでしょうか?・・・続きは明日のこのブログで。お楽しみに♪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月07日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。「武蔵野」江戸の美味いものを題材にして、当時の人々の暮らしと生き様を鮮やかに蘇らせるエッセイ「大江戸美味草紙(むまそうし)」(杉浦日向子著)。【中古】 大江戸美味草紙 / 杉浦 日向子 / 新潮社 [単行本]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】価格:630円(税込、送料別) (2025/10/6時点) 楽天で購入 その「酔い覚めて」の章より、江戸の住民は酒が大好きだったというお話。江戸人はどのくらい酒を飲んだか?杉浦さんは文献を徹底的に調べて、当時の酒量をこう計算しています。上方から入って来る上質な清酒(下り酒)は、一樽が3斗6升入りで年間100万樽。当時の江戸の人口を100万人として、その半数が飲酒したとすれば、1人1年7斗2升、一か月6升。すなわち一日2合、休肝日なし。このほかに関東の地酒が年間15~16万樽、焼酎が3万樽消費されたことを合わせると、まさに江戸は酒びたしの街であったと。江戸ッ子がおっちょこちょいで喧嘩ッ早いのは、いつもほろ酔いかげんだったからではないかとまで言わしめています。武蔵野は月の入るべき山もなし 草より出でて草にこそ入れかって逢坂の関より東に足を踏み入れたことがなかったという平安の都人にとって、武蔵の国はへき地もへき地。人の住むところでないと思われていた。事実見渡す限り手つかずの原野が続いていた。すなわち、野見尽くせぬ地。呑み尽くせぬ・・・。そこで呑み尽くせぬほどなみなみと酒の入る大盃のことを「武蔵野」というと。この「武蔵野」を使った大酒飲み大会の記録が残っているのだとか。文化14年(1817年)3月23日、両国柳橋の料亭「万八桜」で行われたのだそうです。その記録たるや俄かには信じられないほどの大記録。68歳の堺屋忠蔵さんは、3升入る「武蔵野」で3杯(9升)飲んだとか。かたや30歳の鯉屋利兵衛さんは、こちらはなんと6杯半(1斗9升5合)。さすがに酔いつぶれてしまったそうですが、この話には続きがあって、利兵衛さんは目覚めてから茶碗に水を17杯飲んだということです。・・・よく目が覚めたものだと感心しますね。(笑!酔い覚めのぞっとするとき世に帰りあの世から急転直下生還したような気持、したたかに酔いつぶれ、目覚めたときの酒飲みの心中を押し測った川柳、見事ですね。酔い覚めに水を17杯飲んだという利兵衛さん、閻魔大王に酒臭いと言われ、この世に舞い戻れたのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月06日

もともとは生息していなかった外来生物が生息範囲を広げ、その土地固有の生物を駆逐してしまうという問題が注目されています。世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)の生態系に、たった1種類の外来種の虫が入り込み、小笠原固有の生態系が大きくゆがめられようとしているという話題。ウエブトピックスより、小笠原の生態系「深刻」 犯人はたった1種類の…同時に配信されているミミズのような生物と羽虫が絡み合っているような写真をただ見ただけでは、これが食うか食われるかの死闘の瞬間を写したものとは、素人にはとても判断できません。このミミズのような生物が問題の外来種「オガサワラリクヒモムシ」。そこでヒモムシを調べてみると、もともとは海洋性の紐形(ひもがた)動物門に属する無脊椎動物で、獲物となる小動物を口ふんを反転するようにしてとらえ、丸飲みにしてしまうという獰猛な生き物。そういえばアメリカの恐怖映画で巨大化したミミズのような生物が豪華客船を襲い、乗客を次々飲み込んでいくというのを見たことがあります。この時登場したエイリアンは、ミミズではなくヒモムシをヒントにしたものだったのですね。その海洋性であったものの中から陸上型に派生した種が、「オガサワラリクヒモムシ」ということなのでしょう。「リクヒモムシ」と名がついていることからも想像できますね。しかし、俄か生物学者( ← 私のことです)がどうしても納得できないのは、もともと小笠原にいなくて他所から侵入した外来種なのに、どうして「オガサワラ」と頭に名がつくのだ!?「オガサワラリクヒモムシ」が小笠原固有の生物をほとんど食べつくしてしまったとありますが、そうすれば食べるものがなくなった「オガサワラリクヒモムシ」は、その後どうやって小笠原で生きていくのだ?「オガサワラリクヒモムシ」も絶滅してしまう運命にあるのではないか。まさか映画のように巨大化して人を襲うということはないでしょうね。(笑!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月05日

貴方は感情をストレートに出す方ですか、ぐっとこらえて冷静を装おう方ですか?貴方がどちらのタイプかは別として、見た目カッコいいと思われるのは、ストレート派でしょうか、冷静派でしょうか?私は冷静派がずっとカッコいいと思っていました。「角が取れて丸くなる」と先人の言葉にあるように、穏やかで円熟した人柄が理想と思っていましたが。たとえ心の中が煮えくり返っていても、そんなことは屁でもないと言わんばかりに平然と構えていられてこそ大人(たいじん)というものだと。ところが、負の感情を押し殺そうとする人ほど高血圧や冠状動脈性心臓病、がん、腎臓損傷などの病気にかかりやすいことが明らかになったという研究結果が報告されたということです。ウエブトピックスより怒りっぽい人の方が長生き?感情は表に出すほうが健康的すでに故人となられましたが、この方の生き様はどうであったか?将棋の米長永世棋聖は、自ら「さわやか流」と称する一方で、不利な局面になっても相手に容易に決め手を与えない粘着質な指しまわしは、「泥沼流」とも呼ばれていました。この「さわやか流」と「泥沼流」について、自身生前にこのような主旨のことをおっしゃておられたのをテレビで見聞きしたことがあります。「ボクは本来の性は陰湿で、ものごとにいつまでもネチネチとこだわり続ける"泥沼"タイプといえるかもしれません。しかしボク自身それがいやで、うわべは明るくて朗らかで"さわやか"を装っているんです」と。米長さんの69歳の生涯は、現代では決して長生きとは言えないでしょうから、もしかしたら「泥沼流」をおし隠してきた「さわやか流」の生き方に、その原因があったといえるかも知れませんね。でも米長さんのことです。たとえ早死にしようとも、「さわやか流」の一生を通したいとおっしゃったはずですし、そのとおり実践されましたね。激した感情をぐっとこらえて、何事もなかったように微笑む男の横顔こそ何にもまして魅力的だと思うのです。たとえ激情型の人生のほうが2年か3年長生きでるとしてもが、私も米長さんに倣って「さわやか流」を実践したいものだと思っているのですが・・・。なかなか米長さんのようなわけにはいかないのは、やはり凡人の悲しさというものでしょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月04日

ワイン通の方でなくとも、肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインと言われているのはご承知のことと思います。私はワインを料理によって飲み分けるといったような高級フランス料理のテーブルについたことはありませんので、このようなこと経験したことはありませんが・・・。ウエブトピックスより、魚介の臭み感じぬワインを開発魚介料理との組み合わせということであれば、白ワインのことを言っているのだろうか?ワインに含まれる鉄分が原因ということらしいのですが・・・。私の経験からするとワインとの組み合わせでそのような魚介の臭みを感じるというようなことはなかったように思いますが、ワイン通の方には、よくあることなのでしょうか。鉄分なら赤ワインの方が多く含んでいるような気もします。魚介の臭みということであるなら、食べ物と飲み物のミスマッチで私が経験した中では、何んといっても「たらこスパゲッティ」と「牛乳」がダントツに一番です。皆さんもご経験おありでしょうか?たらこソースが口に残っているところへ牛乳を飲むと、強烈な生臭さが鼻腔に抜けて、思わず息を止めてゴクンと飲み込むことになります。そうすれば、これも牛乳の中に含まれる鉄分がたらこの生臭さを際立たせたということになるのでしょうか?指先を傷つけたときなど、思わず指先を口に含むことありますよね。この時の生臭い血の臭いというか味、これも同様に赤血球に含まれる鉄分が影響しているのでしょう。・・・鉄は生臭さを際立たせる。人類を飛躍的に発展させた金属、鉄の持つ意外な性質について、大変興味深く記事を読んだことでした。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月03日

食べるものを食べれば、出すものを出したくなるのが人の生理というもの。大きい方にせよ小さいほうにせよ、催したとき我慢せずにすっきりさせるのが体にとってもいいに違いありません。最近のトイレは洋式トイレが主流、一般家庭でも公共機関でも和式タイプはあまり見かけなくなりましたね。ところが依然として圧倒的に和式という公共機関が一箇所あるというのです。ウエブトピックスより、小学校のトイレはなぜいまだに和式なのか? 戸惑い、我慢しちゃう子も…なるほど、各家庭や幼稚園などで洋式の便器になれた子供たちにとって、小便器はともかくとしても、大便器の勝手が違うので戸惑うということなのでしょう。特に低学年の子供にそれが顕著だということなのでしょうね。よくよく考えてみれば、洋式タイプの便器が普及しだしたのは、つい30年ほど前のこと。出始めのころは私なんぞは逆に洋式の便座に戸惑ったものでしたがね。これはどこにどうやってしゃがむのだと。(笑!それが洗浄器のついた便座が開発されてから、洋式ファンがぐっと増えたのではなかったか。30年の歳月というと、小学校に上がる子供を持つ親からして、和式便座を知らぬ洋式タイプで育った世代ということになりますから、子供たちに和式便座の使い方を教えるのは容易じゃないというのももっともなことです。耐震化工事の推進のためにトイレ改修まで予算が回らなかったというのも理解できますが、ウンチを我慢してしまう子供がいるというのは、子どもの健康のためにも良くない。金が回って来ないというのなら仕方がない。まずは和式トイレの使い方を小学校でPTAなどとも協力して、徹底的に教え込む必要があるのではないか?よくあるでしょ、「親子○○教室」というの。「食育」の大切さが叫ばれて久しい昨今ですが、食べるものを食べたら出すものを出さなければなりませんからね、「便育」の大切さも多いに語られなければなりません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月02日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。秀吉と家康織田がつき 羽柴がこねし 天下餅すわりしままに 食うは徳川という狂歌が残っています。詠み人知らずと言われているこの歌、名が知れればおそらく捕縛され打ち首にされることは想像に難くありませんから、作者は意図的に名を隠したのに違いありません。しかし、よくできた歌ですね。戦国時代の終わりから江戸時代を迎えるまでを、三十一文字(みそひともじ)で見事に表している。そこで私も先の狂歌をまねて、このような歌を作ってみました。織田が杜(も)り 羽柴醸(かも)せし 天下酒すわりしままに 飲むは徳川どうでしょうか。打ち首にはなりたくありませんが……。杜氏の信長については、実は酒がからきし弱かったと、昨日取り上げました。酒宴で酒が飲めぬいら立ちもきっとあったのでしょう。突然に怒り出し愉快に酒を酌み交わす家臣を打擲したという信長は、酔っぱらって大暴れをする酒飲みより始末におえませんね。柴田勝家、丹羽長秀らの織田家重臣たちも、ただ手をこまねいて信長の勘気が、矛先を変えて自分に及ばぬよう知らぬふりを決め込むしかなかった。「まあまあ、お館様、お平にしゃぁ~せ。明智殿が仰せのこと、なかなかにもっともでにゃーも」あえて信長に足蹴にされるようなことをしゃあしゃあと言って出たのは、醸造人秀吉ではなかったか。信長の気質を知り尽くしていたばかりでなく、下賤の出である自分なら信長にいかように打擲されようと誰も何も思わない、むしろ愉快がる。台無しになってしまった酒宴を取り繕うことができるのは織田家中でこの秀吉ひとりと、自覚していた節があります。さらには明智ばかりでなく柴田、丹羽らの重臣たちにも恩を売ることができるという計算も、信長が怒り出した瞬間に閃いていた。まさに用意周到な醸造人といえましょう。さてその秀吉にまつわる逸話は数限りなくありますが、酒に関することとなるとなかなか資料も限られるようですから、秀吉もまた酒はそれほど強くなかったと断じてよさそうです。しかし、酒席の場は決して嫌いではなかったに違いありません。酒を飲んでこそ人は本性をさらけ出すものと心得ていた。人が酒を酌み交わす場こそ戦場であるとの信念が、秀吉を天下人に押し上げたのではないでしょうか。その秀吉も晩年になると、往年の面影もなくなったのは歴史が語る通り。死ぬ五か月前に京の醍醐寺三宝院で開いた花見では、宴席には千三百人もの女房をはべらせ、桜と酒と女を堪能したとか。花見に招かれた家康は、酒の場で本性をさらけ出してしまった老いた秀吉の姿を見て、ほくそ笑んだことでしょう。心の中でひそかにこう囁いたに違いありません。「かような醸造人の作った酒ならば、飲めばさぞかし悪酔いをするであろうのう。しかし、くれてやるというものを貰わぬ手はないて。まあ、酒は腐るものではなし、ここは少しずつ、ゆるりゆるりとのう。その方が体にも良かろうて」家康はこの四人の戦国武将の中でも七十三歳と最も長生きをしています。当時の薬に関する専門書である『本草綱目』や『和剤局方』を取り寄せ、自ら薬草を栽培しそれを調合して服用していたというくらいですから、健康にはひときわ注意を怠らなかった。江戸幕府の公式史書『徳川実紀』には家康が実践していた健康を保つ八か条が記録されているとか。(一)粗食を常とする(二)冷たいものは口にしない(三)季節外れのものは食べない(四)肉もほどほどに食べる(五)体を動かす(六)香をたく(七)薬について学ぶ(八)酒は「薬」として飲む言わずもがなでありますが、最後の条文に注目してください。家康は「酒」は「薬」と考えていたのです。同じ下戸であっても、秀吉は酒を「戦場」と考え、家康は「薬」と考えた。う~む、この損得勘定、どう捉えればいいものやら。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年10月01日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。信長と光秀日本人に歴史上一番好きな人物をひとり上げよと問えば、五人に三人は「信長」と答えるとか。一位はダントツで「信長」になるそうです。ちなみに二位は時代を幕末・維新まで下って「坂本龍馬」。三位はなぜか中国に飛んで、しかも時代をさらにずっと遡らなければなりません。「諸葛孔明」になる。あっ、本著は歴史に名を残す人物と酒にまつわる話を探っているのでした。歴史上の人物の人気投票をしているのではありませんでした。話を本題に戻しましょう。前章で取り上げた戦国を代表する四人の武将の中で、唯一酒量についての記述が残っているのは信長。当時来日していたポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが記した『日本史』には、信長は「朝早く起床し、酒を好まず、食を節するなど極めて健康的な生活を送っていた」という記述が残されているとか。信長は数多く時代劇でも取り上げられていますね。酒宴のシーンなどもよく出てまいりますが、家臣ともども和気あいあいとして酒を楽しんでいるといった演出には、お目にかかったためしがありません。たいがいは突然怒り出して、杯を家臣に向かって投げつける。それでも気が収まらず、殴りつけたり足蹴にしたりして、辱めることをためらわない。その足蹴にされた代表格が、秀吉と光秀ということになりましょう。現役の整形外科医でありながら作家でもある篠田達明は、その著書『モナ・リザは高脂血症だった』(新潮新書)で、「幼児期に親から疎まれた子ども(信長は母親の土田御前に疎遠にされた)は、長じて粗暴かつ奇矯な行動をしめすことが多い」、「こうした性急で激高しやすい性格は、高血圧を招きやすいことが知られている」と記しています。【中古】 モナ・リザは高脂血症だった 肖像画29枚のカルテ 新潮新書/篠田達明(著者)価格:110円(税込、送料別) (2025/9/29時点) 楽天で購入 下戸でしかも癇癪持ちであった信長にしてみれば、酒席で家臣たちが当たり前のように楽しげに酒を酌み交わし、大声で笑いあっているのが許せなかったのに違いありません。私は医者でもなく、かつ歴史学者でもありませんが、たとえ信長が数多く居並ぶ家臣の面前で、光秀を足蹴にして辱めるようなことをせず、ゆえに本能寺で憤死することもなかったとしても、やはり天下を手中にすることはかなわなかったのではないかと考えます。おそらく癇癪が高じて脳溢血でパタリということになったのではないでしょうか。酒で気を紛らわすということを知らなかった、いや知ろうともしなかった信長は、下戸であったが故に大損をしたということになりはしまいか。一方信長に足蹴にされた光秀。光秀もまた酒を好んだという資料は出て来ないということです。同じく『モナ・リザは高脂血症だった』には、光秀は極度の近視であったのではないかと書かれています。大阪府岸和田市の臨済宗本徳寺に残されている明智光秀を描いた唯一の肖像画を見て(診て?)、光秀の近視を看破された篠田先生は名医中の名医。私も子どものころからの近眼で、朝目覚めてまずすることは、枕もとに置いた眼鏡を探すこと。それだけによくわかります。「近視の者は一寸目を細め、あごをあげて相手を見る顔つきをしがちである。これは遠距離に焦点をあわせようとして、知らず知らず目を細めることからおこるくせなのだが、このくせは相手を小ばかにしたような感じがするし、当人の人相もわるくなり他人に不快感を与える」という篠田先生のご指摘は、説得力がありますね。近眼の上にあまり酒が飲めなかった光秀は、酒宴の席でもきっと所在なげに物思いにふけっているように見えたのかもしれない。上座に座る信長の表情を読み取ろうとして目を細めたその仕草を見た信長は、「小賢しい! 光秀!」と、思わず声を荒げずにおられなかったのではないかと私は想像します。もし光秀の近眼は生まれつきのもので仕方がなかったにしても、もう少し酒を飲めたなら、そして酔いにまかせて泣きごとのひとつも語れるようであったなら、信長の勘気を受けるということもなかったのではないか。そうであれば、「本能寺」という寺の名も歴史書に残ることもなかったろうし、「山崎の合戦」も起こり得なかったということになりはしまいか。光秀もまた下戸であったがゆえに損をしたと、言えそうです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年09月30日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。水分補給近年世界各地を襲う自然災害の劇症化の問題が、地球温暖化と関連して、何かとかまびすしく言われて久しいです。我われが地球の温暖化を最も身近に感じるのは、夏の異常な気温上昇でしょうか。私らが子どものころはひと夏で最高気温が35度にもなることは少なかったように記憶していますが、最近では40度を記録する年がありますからね。天気予報でも必ず「生命の危険をともなう暑さ」というような表現を用いるようになりました。「生命の危険をともなう」とは穏やかではありませんね。それ以前はせいぜい、「熱中症にご注意ください。こまめに水分補給をすることを忘れずに」といった程度だったように思いますが。さてそこで大切となる水分の補給の仕方ですが、ただ水をがぶがぶ飲めばいいというものではないそうですね。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とはけだし名言、熱中症同様に低ナトリウム血症にも十分注意が必要だということです。高血圧の人は塩分の取りすぎに注意しなければならないというし、水分を摂り過ぎて血液中の塩分濃度(ナトリウム濃度)が低くなっても厄介とは、人の体とはなかなか繊細なものだと思います。文字どおり塩梅が大切ということでしょうか。私らが中学生のころは、運動中に水分を摂るのは体が鈍ってよくないと厳しく指導されたものでした。部活の練習の合間に流水で顔を洗い、口をすすぐことは許されても絶対に水を飲んではいけないと、先輩が水飲み場の蛇口の横で監視していたものです。うがいをした後の水をほんの少しばかり口中に残しておいて、先輩の目を盗んでそれを飲み込んだときの水の美味しさといったら、50年以上経った今でもはっきり思い出すことが出来ますね。同様に今ではかえって足腰の筋肉に悪影響を及ぼすことが分かり、まったく取り入れることがなくなった「うさぎ跳び」も、私らは盛んにやらされた口でした。これも先輩が後ろからついてきて、しっかり腰を落として胸を張って跳ぶことを強要されたものでした。今思えば、これらは精神の鍛錬のためということであれば、確かに有効な手段であったかもしれませんね。のどをカラカラにして、足腰を震わせ、目を泳がせるようにして先輩を恨めしく見つめたものでした。それでも誰一人として熱中症で倒れたり、足を痙攣させたりしなかったのは不思議と言えば不思議。きっと私がそうであったように、先輩の目を盗んで巧みに水を飲んだり、膝を深く折らずにぴょんぴょん跳んでいる素振りをしていたのでしょう。(笑!かくして肉体ばかりか精神の鍛錬も免れた結果、今日の自堕落な私があるというわけですな。さて血中の塩分濃度もさることながら、糖分濃度にも十分気をつけなければならぬ自堕落な中高年に育った私としては、今後水分補給には十分気をつけたいものだと思ったことでした。・・・蛇足ながら、アルコール補給についても同様であります。(爆笑!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年09月29日

『「酒」と「そば」と』から。この度、このブログの酒とそばについて書いたものを加筆編集して、新たに幻冬社より出版しました。しばらく、「はじめに」を掲載してまいりましたが、読者にさらに立ち読みの気分を味わっていただこうと、本文をご紹介していきたいと思います。まずは第一部「酒編」より。酒悲2020年4月30日の日経コラム「春秋」に「酒悲」ということばが出てまいります。漢字の本場中国では、酒に悲しみを紛らそうとして、かえって悲しみを倍加させてしまうさまを「酒悲」というと。酒は涙か 溜息か♪ こころのうさの 捨てどころ♪藤山一郎が切々と歌った、古賀政男の名曲が思わず口をついて出て来そうです。「酒悲」なることば、覚えておきたいと思います。コラムニストが話題にしたかったのは、何も未練酒やヤケ酒のことではなく、「来月の世界保健機関(WHO)の総会で、酒類の販売や広告を規制する指針が採択されそうだ」という、酒飲みには、にわかには信じがたい話題。店の数を抑えたり安売りや飲み放題を制限したり、さまざまな手立てを指針として示しているのだとか。そういえば、人間の寿命を縮める要因としては、喫煙よりもむしろ習慣的な飲酒の方がはるかに大きいと、酒毒の怖さについて書かれた本を書店で目にしたことがあります。ただすぐにそっと書棚の奥の方に戻しておきましたが・・・。(笑!WHOがそんなことを考えているなんて、近い将来タバコのパッケージに書かれているような文言が、酒類のビンにも貼られる日がやってくるのでしょうか?とおいえにしの かの人に♪ 夜ごとの夢の 切なさよ♪そんな思いを打ち消そうと酒を飲めば、まさしくこれが「酒悲」。古の中国の賢人も味わったことを思えば、なかなかに考えさせられることば「酒悲」であります。さて、この「酒悲」について語ろうとすれば、わが国の明治・大正期の歌人若山牧水を抜きにしては語れぬものがあるとしたものです。日が暮れて一人疲れた体を薄い布団に横たえるわびしさは格別なものがありますが、夕方一人さびしく食卓に着くのも独り寝以上にわびしいものがありますね。その辛さから逃れようと傷心者はしばしば酒の力を借りることになるのですが、そうすればまあどうにか腹も満たし、脳を麻痺させて眠りにつくことも出来るようではあります。しかし、そんなことをせずとも鏡が1枚あればいいって、ご存知でしたか?一人であっても鏡を見ながら飲み食いすると、おいしく感じられるという研究結果が、このほど名古屋大学の研究者によって発表されたということですが。 大学生と高齢者16人ずつを対象にポップコーンを食べさせて、鏡ありと鏡なしで実験をしたところ、「おいしい」「また食べたい」の評価が「鏡あり」の場合で明らかに高く、食べた量も多かった。しかも、大学生でも高齢者でも同じ傾向が確認されたということです。研究者はこの結果の意味を「他者と食べる『共食』環境を疑似的につくりだし、おいしさの感覚が刺激されているのではないか」と考えているというのですが。・・・う~む、果たしてそうでしょうか?貴方はポップコーンを食べている自分の姿をまじまじと見たいですか?私ならポップコーンが酒であってもお断り願いたいですな。美空ひばりは、酒を飲んでさえ断ち切れぬ未練を飲んで棄てたい面影が♪ 飲めばグラスにまた浮かぶ♪と歌い、この国の民を涙させましたが、鏡に映った醜い己の姿を見れば、酒を飲む気さえ失ってしまいそうです。ましてや、ポップコーンをや。そもそもポップコーンなどというものは、鏡を見ながら一人ではなく、映画館でスクリーンを見ながら、隣の席のカップルに遠慮しつつ食べるものだろう。酒飲めば 涙ながるるならはしの それも獨りの時にかぎれりかの若山牧水の歌を"疑似的「共食」"の研究者におくりたいものです。さて、今宵も一人酒を飲みながら、鏡などではなく、内なる己を見つめて涙を流すとしましょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中この度幻冬舎さんのご協力を得て、拙著『「酒」と「そば」と』を出版しました。このブログの酒とそばについて書いたものを加筆修正したものです。肩肘張らずに気軽にお読みいただけるエッセイ集です。まず「はじめに」から、書店での立ち読み気分をお味わいください。はじめに小粋な蕎麦屋に入って、いきなり「天婦羅そばを一つ」なんて注文するのは、いただけませんな。まあ、うどん屋に入ったわけじゃないのだから、蕎麦屋に入ってそばを注文して何が悪いということになるのでしょうけれど。しかし、もしあなたが「そば通」と呼ばれたいのなら、そして真の「酒飲み」と呼ばれたいのなら、カウンターに座ってまずは厨房からこちらの様子を眼光鋭くうかがういかにも頑固そうな店主の視線を浴びながらも、店の雰囲気をしばし味わうようなそぶりを見せてから、おもむろにこのように言ってみたいもの。「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」そんな古き良き時代の蕎麦屋の流儀なるものについて書かれた本を、書店で目にしたことがありました。私がまだ高校に上がったばかりのころだったでしょうか。ほぉ~、蕎麦屋とは、まず酒を飲むところだというのか。俺もやがて蕎麦屋へ入ることがあったら、そんなセリフを吐いてみたいものだと思ったものでした。・・・あれから五十年、何の因果か製麺業を営むことになった私は、その蕎麦屋へそばを納めに行っては、「毎度ありがとうございます。今日から新そばで打ってあります」などと言うことはあっても、「酒を一本つけてください。熱燗がいいでしょう」などと言ったためしが久しくなかったことに今さらながら気づき、失望に打ちひしがれています。日々仕事に追われながらも、いつかきっとそんな至高の悦楽を味わうことができる日の来ることを夢見て、「酒」と「そば」のうんちくを秘かに温めていると、驚いたことにこれはこれで楽しいではありませんか。そのささやかな楽しみの一端を披露して、世の酒好き、そば好きといわれる皆さんと喜びを分かち合うことができれば幸せと、ペンを執った次第です。「酒」と「そば」、二編に分けてご紹介していきましょう。まずは「酒」編より、人は何故酒を飲むのでしょうか?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一部「酒」編「過ぎたるは及ばざるがごとし」古来より「酒は百薬の長」といいます。実にいい響きを持ったことばですな。私は常々この心地良い響きを妻に言って聞かせるのですが、妻は私にこう言うではありませんか。「あら、そういうものですか。では『過ぎたるはなお及ばざるがごとし』って、どのように響きになって?」と。このほど世界保健機関(WHO)が発表したところによると、2016年に世界で死亡した人のうち約三百万人が、飲酒関連が原因と考えられるということです。「酒は百薬の長」とも語り継がれているのに、これほど多くの人が、飲酒が原因で命を落としているということは、これはやはり飲み過ぎたから、ということになるのでしょうか。大雑把な計算になりますが、世界の人口を約七十億として、アルコールを摂取する人の数を約半数と考えれば、35億。3,000,000 ÷ 3,500,000,000 = 0.086% という計算になりますから、なんだ、酒飲みの千人のうちの一人以下じゃないかと胸を撫で下ろした愛飲家の方、多いのではないでしょうか?しかしながら、どうしても気になるのは、どれだけ飲めば「過ぎたる組」になるのかということ。WHOの定義によれば、大量機会飲酒とは純アルコール換算で60グラム以上の飲酒機会を30日に一回以上持つことと書いてあります。そこで早速調べてみました。エチルアルコールの密度は、0.789g/ml ですから、 60 ÷ 0.789 = 76 ml、ビールのアルコール度数は、概ね5%と考えれば、 76 ÷ 5% = 1,520mlビール大瓶(633ml)二本半という計算になります。同様に清酒のアルコール度数を15%として計算すると、2.8合。すなわちビールなら三本、清酒なら三合をひと月に一回でも飲む機会があれば、WHOは大量機会飲酒と定めているということになります。確かにわが国はWHOに加盟しているかもしれないが、私個人はWHOになど加盟していないと主張する人もいるでしょう。見上げた心意気と拍手喝采を送りたいところではありますが、清酒三合以上を飲んだ翌朝のことを常々経験している者からすれば、やはりそうであったかとうなだれるしかありませんね。あなたはうなだれる口ですか、それとも清酒三合ぐらいではうなだれませんと豪語する口ですか? う~む、古来より語り継がれてきたことわざ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とは、なるほど深い含蓄のあることばだと認めざるを得ません。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・飲ん兵衛な製麺会社社長が綴る、クスっと笑える蘊蓄(うんちく)が満載。酒の文化や歴史、あらゆる種類の「○○そば」の由来、偉人の逸話に至るまで。世の酒好きとそば好きに贈ります。日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。ぜひご一読いただければ幸いに存じます。◆酒そば本舗トップページへ◆**貴方の共感できる生き方がきっとある**にほんブログ村FC2ブログランキング人気ブログランキングPINGOO! ノンジャンル
2025年09月28日
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