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カテゴリ: 本の話
こんなことを思うのはとても傲慢なことだ、とわかってはいるのですが、ドイツW杯へ向けてだんだん盛り上がってきた今、日本のサッカーを応援する上で、「W杯へ出ること自体が夢だった」頃を知っているか、いないか…で、大会に臨む思いは随分と違ったものになるのではないでしょうか。

食糧難を経験した世代が食べ物を粗末に出来ないのと同じで、今では当たり前のことが、決して当たり前ではなかった時代を知っていると、もう「出られるだけでありがたい」という思いもあって。
そう簡単に
「4年前はベスト16だから、今回はその上に行かないとね」
なんてことは口走れない感覚があります。

一方で、未踏の目標を一歩一歩達成していくのをリアルタイムで目撃したんだぞ、という自負もあったりして…

私は、夫をはじめ周囲のサッカー愛好家に引きずられるように、Jリーグが出来た頃から観戦を始めたのですが、当時まったくの素人だった身でも、「ドーハの悲劇」というのは本当に衝撃的な出来事でした。
今でも、あのとき実家のリビングで、家族とテレビの前で固まっていた情景を、ありありと思い出せるくらいです。

裏を返せば、あの強烈な、劇的な体験がなかったら、こんなにもサッカーというスポーツに魅入られることはなかったかもしれません。


ギリギリまで出場できるかどうか綱渡りの状態が続いた、苦しい苦しい戦いでしたが、あの、国立競技場全体が、何ともいえない緊張感でギリギリまで張り詰めていた感覚というのは、今となっては懐かしいです。

歴史、というと大げさになってしまうけれど、下記にあげるノンフィクションは、94年アメリカ~98年フランス~2002年日韓、と、それぞれのW杯の記録として、一番好きで、何度読み返しても涙がこみあげてしまうもの。
サッカーファンでなくても、それぞれの時代に夢を追った選手たちの物語を追ったスポーツドキュメンタリーとして、秀逸な作品だと思います。

狂気の左サイドバック  一志治夫

日本のサッカーが初めてW杯行きのチケットをつかみかけた、94年アメリカ大会。
足の故障で、一度も予選のピッチに立つことが出来なかった都並敏史選手を主題に、オフト監督率いる代表が“ドーハの悲劇”に至るまでの足跡が描かれます。
たった一人の選手のケガで、チームづくりが根底から揺らぐほど、当時の選手層は薄かったということに驚かされます。
あの頃、ラモスもカズも若かった!

6月の軌跡 6月の軌跡  増島みどり

がけっぷちの最終予選を勝ち抜いて、念願のW杯初出場を果たしたフランス大会。
合宿が始まってから3人の選手が代表メンバーから外れ、予選リーグ3試合はいずれも1点差の全敗という結果でした。

実は、本来ならもう一人、絶対に登場していいはずの選手がここでは取り上げられていません。
その理由と著者の思いについては、文庫版のあとがきに述べられているので、買うなら文庫がおすすめです。
当時ネットが普及しておらず、選手自身の言葉をダイレクトに受け取る機会は非常に限られていたので、その点でもこの本は貴重な証言集だと思います。

六月の勝利の唄を忘れない 日本代表、真実の30日間ドキュメントDVD-BOX〔送料無料キャンペーン... 六月の勝利の唄を忘れない  岩井俊二(編集)

こちらは書籍ではなくDVD(ビデオもあります)。

日本サッカー協会は、代表チームが召集されている間、練習や試合前後のミーティングやプライヴェートタイムまで、スタッフがずっとビデオを回していました。その膨大な画像を、映画監督の岩井俊二が前後篇にまとめたもの。
選手たちのヤンチャ坊主ぶりと、日本のサッカー人口の頂点に立つ選手としての厳しい姿勢、その二つの表情のコントラストが興味深いです。
バーベキューパーティーで選手にプールに落とされるトルシエ、という場面が最高!

なお、このDVDに関しては、 デヘヘヘラー さんがたっぷりブログで紹介されていますので、興味のある方はご一読を!

書籍では、トルシエ監督の下でコーチを務めた山本昌邦さんの「備忘録」がおすすめです。
山本昌邦備忘録 山本昌邦備忘録

過去を振り返ってばかりはいられませんが、その時々の、かつての自分の思い出と照らし合わせながら、先人の歩んだ道を振り返るのもまた一興かと…





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最終更新日  2006.05.19 14:41:09
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同じような同じでないような  
まろ0301  さん
 いまや「常勝チーム」となり、優勝しなかったら怒鳴られる!という阪神。

 そして、三位に甘んじていたりすると、思わず「何やってんねん!」と怒っている自分に言い聞かせています。
 「初心忘るべからず」。 (2006.05.19 23:40:43)

すべてに通じるキーワード  
サリィ斉藤  さん
まろ0301さん

> いまや「常勝チーム」となり、優勝しなかったら怒鳴られる!という阪神。

そうなんですね…プロ野球には詳しくないものですから、失礼ながら

> 一ファンとしては、「万年最下位」「草野球にも劣る」等といわれた時代

で、未だ内なる阪神のイメージが止まっております。認識を改めます!

> 「初心忘るべからず」。

そう、すべてはこの一言に尽きますよね。 (2006.05.22 01:12:49)

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