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カテゴリ: 映画の話
モノクロの画面に映し出される、正装した人々が談笑するパーティー。
和やかな列席者の表情を次々に映し出しながら、静かに映画が始まる。やがて、賞賛のスピーチに迎えられて壇上に立つ一人の男・・・

大好きなジョージ・クルーニーの監督作、なかなか機会に恵まれず、やっと観ることが出来ました。


東西冷戦の緊張が高まり、国民はマッカーシー上院議員による“赤狩り”の恐怖に怯えながら暮らしていた。
全米が萎縮するなか、敢然と立ち上がった国民的キャスター、エド・マローと若き記者たちの闘いの行方は・・・。




国家の方針にそぐわない“危険分子”を排除しようとするのは、何も旧社会主義国家の秘密警察に限ったことではないわけで。

人々がお互いを監視しあい、裏切りや疑心暗鬼がはびこる状況。
その張り詰めた緊張感が、ニューススタジオやオフィスの中にも否応なく漂っていることが、モノクロの画面を通して、ひしひしと伝わってきます。

スーツと、ネクタイと、タバコの煙に満ちみちた映画。
およそ半世紀前の、働く男たちのスタイルは、なんと“大人っぽかった”ことか・・・ということを、再認識させられました。

全編をとおして、ダイアン・リーブスの歌うジャズの名曲が挿入歌として贅沢に盛り込まれます。

あくまで、大人の映画なのであります。その端正で硬質なつくりが、とても気に入りました。

もちろん、マスメディアの中で報道に携わる者としての「良心」を貫こうとする人々の姿が、静かな感動をもたらすのは、言うまでもありません。

自らの信ずる、良心の声に従うこと。それが、きれいごとだけでは済まされないことも描かれています。
モローと志を同じにするスタッフの一人が、夜、ベッドの中でつぶやく
「僕らのついているのが、間違った方だったら??」
という自問の言葉は、深い。

テレビが、娯楽や逃避のためにしかないのだとしたら、そんなものは初めから要らないものだ・・・

劇中に登場するこの言葉。もはや、メディアの主軸がテレビという“マス”から、ネットの細分化された世界に移ろうとしている今の時代にも、十分に重みを持っていると思います。
そして、「テレビ」の部分を「映画」に置き換えることも出来るのではないでしょうか。

多くの人にお奨めしたい、噛み応えのある作品でした。
ニュースキャスターだった父を持つ、ジョージ・クルーニーの熱い思い入れが伝わってきます。


【劇中で歌われるジャズの数々。 楽天ダウンロードのサイト で無料視聴も出来ます。】
「グッドナイト&グッドラック」-オリジナル・サウンドトラック-/サントラ[CD]

ちなみに、私のお気に入りはこの一曲。
Dianne Reeves『ハウ・ハイ・ザ・ムーン』





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最終更新日  2008.01.23 17:04:42
コメント(6) | コメントを書く


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Re:「グッドナイト&グッドラック」を観た。(01/22)  
千佳りん  さん
素敵な映画をご覧になられたのですね。
素敵な映画もまた本と同じように
こころのビタミンでもありますね。

お洗濯物、雨や雪の日はベランダと
家の中に干します。
晴れた日は庭にも干しますよ。

お風邪が流行っていますからサリィ斉藤さんも
気をつけてお過ごしくださいね。 (2008.01.23 21:42:20)

まず、観る余裕を  
まろ0301  さん
 やや仕事に追われている日々が続いていまして、中々、「映画を観よう」というところまで行けない状態でしたが、なんとか、時間がとれそうです。
 観てみたいと思います。 (2008.01.24 21:38:40)

まだまだ寒い日が  
サリィ斉藤  さん
千佳りんさん

>素敵な映画をご覧になられたのですね。
>素敵な映画もまた本と同じように
>こころのビタミンでもありますね。

本当にそうですね。
映画はちょこちょこ観ているのですが、時間がなくて印象が新鮮なうちにブログが書けなかったり、感想を書く気になれないような作品だったり・・・本も同様で、なかなか日記にまとめられないでいます。

これからしばらく、雪の日が多くなるでしょうか。お互い、元気に冬を乗り切りたいですね!身体も心もせっせとビタミン補給しましょうね。 (2008.01.25 23:09:58)

Re:まず、観る余裕を(01/22)  
サリィ斉藤  さん
まろ0301さん

> やや仕事に追われている日々が続いていまして、中々、「映画を観よう」というところまで行けない状態でしたが、なんとか、時間がとれそうです。

仕事があってこその余暇、ですものね。
忙しい日々がほっと一段落して、その余裕の中でいい作品に出会う・・・そういうの、理想だと思います。

もしご覧になる機会がありましたら、また感想を読ませてくださいね。 (2008.01.25 23:12:23)

Re:「グッドナイト&グッドラック」を観た。(01/22)  
哲0701  さん
トラックバックをさせていただきましたが、
この中であげております「真実の瞬間」は
ロバート・デ・ニーロ主演の作品ですが、
ずばり赤狩り時代のハリウッドが舞台です。
もし、ご覧になっていなければ、是非! (2008.01.28 18:40:49)

TBありがとうございました。  
サリィ斉藤  さん
哲0701さん

>トラックバックをさせていただきましたが、
>この中であげております「真実の瞬間」は
>ロバート・デ・ニーロ主演の作品ですが、
>ずばり赤狩り時代のハリウッドが舞台です。

お奨めいただきありがとうございます。未見の作品なのでぜひ、観たいと思います。
役柄として、女たらしの色悪を演じることが多いG・クルーニーが、こういう生真面目で誠実な作品を作り上げる。ファンとしては、そういう多面性にもグッときてしまいます。 (2008.01.29 19:46:58)

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