せび邸

せび邸

2006.11.03
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カテゴリ: 映画
クローネンバーグ監督といえば、私にとっては「スキャナーズ」、「ビデオドローム」「デッドゾーン」がベスト3なんですが、その流れに近い(とりわけ「デッドゾーン」を思い起こさせる)作品でした。なので個人的にはいい感じで見られましたし、90分という長さ(短さ?)もかえって新鮮でした。それに役者が。。みんなすごかったっす。

シャマラン監督の「サイン」や「アンブレイカブル」を見たとき、私は、「デッドゾーン」を思い出したものですが、今回は逆にこれを見てシャマランを思い出しました。いくつかのモチーフ(家族愛であったり、友人や家族を守るために闘うことであったり、主人公の心の葛藤だったり)に強い類似性を感じたのです。ぱっと見以上に、このふたりの映像作家としてのDNAには近親性があるのかな、なんてことも考えましたが、これらのモチーフは、マンガ作品(少年漫画とかアメコミ?)によくあるモチーフでもありますから、商業的な意味合いで付加されたものにすぎないのかもしれません。
これらのモチーフが作品に付与した効果は、分かりやすさ、です。クローネンバーグ的な「異物」の世界、「異端」の世界が、マンガ的な枠組みで語られることで、一般的に受け入れやすくなってました。私としては「フライ」あたりからずっと<眠たい作品>が続いていたので、うれしかったです。


ストーリーは、ひとことでいうと、主人公が「ならず者」をやっつける映画です。。
しかし主人公は正義の味方というわけではなく、元は「ならず者」の仲間だったのです。
主人公は、「ならず者」の自分は「砂漠で死んだ」と考えていて、「正しい人」として生きていました。主人公の家族たちも、彼が「正しい人」だと信じていたのですが。。

主人公が「ならず者」と対決するにあたって、「ならず者」の本拠地まで車で千キロほど移動します。家族のいる場所と戦場は遠く離れているものだという描写が、なんだか妙に今のアメリカと重なって見えました。。汗
暴力シーンの描写の冷徹さは、マカロニ・ウエスタンやバーホーベンのタッチに近かったです。



クローネンバーグの作品でよく現れるイメージ(キーワード?)は、「ハイブリット→掛け合わされた2つの要素の相克」とか「異端者の疎外感」などかと思うのですが、この作品でもそれらを見受けられました。どちらかというとこれまでのクローネンバーグ作品の主人公は破滅しがちな印象があり、作品は陰惨な結末を迎えることが多かった気がしますが、この作品は珍しくいちおうのハッピーエンドを迎えます。まぁ、なんともビターなハッピーエンドなんですが。。



この作品には原作があり、それはグラフィック・ノベル(え? なにそれ? 劇画のこと??)だそうです。





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Last updated  2006.11.03 11:29:13
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セビセビ @ Re[1]:元気です(06/17) blue rose2792さん あそことはまた別のあ…
blue rose2792 @ Re:元気です(06/17) それはなによりでした。 ほっといたしま…
セビセビ @ Re:やっぱり!?(01/22) せしるんさん おぉ。。 だいたひかる…
せしるん @ やっぱり!? 私も鳥居みゆきを見たとき、戸川純を思い…
セビセビ @ Re[1]:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) sally-1020さん ご無沙汰っす^^ 絶望…
sally-1020 @ Re:とあるプチ・オタの見たいもの探し(01/18) ご無沙汰しております。 先日は有難うご…

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