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長い休憩もつかの間。最終審査が始まった。

最終審査は演技対決。

どれくらい低い声を出せるかとか、かっこいいかとか、そういうことが+になる。

でも、これは学年全員一気にやって、どの人が一番輝いていたかをみるらしい。

ちなみに場所は一旦後者から離れて、学校内の決められた場所でする。

1・2審査は事前に決めて準備しておくのだったが、この最終審査だけは知らされていなかった。

最終―と聞いたらこれかな?とは予想していたが深くは考えていなかった。

「どうしよう・・・?」そう考えて、HAYATOの顔が浮かんだ。

「なんでっ・・・!?って・・・・あ!これだっ!」

そう想いながらも、一つの案が浮かんだ。そして、早速準備した・・。

「最終審査は3年生→2年生→1年生の順に行います。

意外に1年生はプレッシャーかもしれませんが、がんばってください。」

解説者が説明した。

なぜプレッシャーかというと、先輩と同じ行動をとってしまうと、得点が下がるからだ。

「ぶつかる、か・・・」可能性が高いが、“あれ”なら私は誰にも負けない。

だって、そばにいたから。。・・・って、なにいってんの!!

なんて自分で独り言を言いながら、先輩の演技を見ていた。

3年生の先輩は、というと・・

「君会えることを心から信じていたよ」

みたいに背景に薔薇が飛ぶような、ホストふうな感じが多かった。

「年代違うんじゃ・・・!?」と思うくらい振舞い方がすごかった。

2年生の先輩は・・・みんなバラバラ。どこがどうすごいのか分からない人もいた。

けど綾菜先輩は全く違う。動きも何もかも、優雅だった。もちろん、男性として。

そして、いよいよ一年生。

みんなロックな調子でスケボーや塀を飛び越えるみたいなしぐさをしている。

みんなストリートボーイみたいに、やんちゃな感じでかっこいい。

そして、私は――――ステージ見たいな板の上に乗って、声を出してみた。

「―――~好きだから そばにいたいって思う 明るい君のそばに」

ザワッと騒がしくなった。それも一瞬で静まった。

・・・・~例え無理な願いだとしても 今君と話しているそれだけで幸せだから

~もっと近くで顔見せてよ ちょっとだけの幸福を俺に与えてくれ・・・・

これは、HAYATOのデビュー曲『輝く君のそばにいたい』。

いっつもHAYATOが口ずさんでいるから、いつの間にか覚えてしまった曲だ。

「~輝く君のそばにいたいから――・・」

曲が終わった。静まり返ったこの場所は数十秒間無の世界になった。

そしてその沈黙を打ち破ったのは・・

「へぇ、うまいじゃん?まぁ、俺ほどじゃねぇけどな」

そして私は声の方向に振り向いた。そこにいたのは

「HAYATO!?何でココに・・」

さっきまで全く見えなかったHAYATOの姿が、いま現れた。

「暇だから来てみたんだけど・・なんで俺の歌そんなにマスターしてんだ?」

「それは・・・えっと・・あの・・」

理由を言いたかったが、ココで言ってしまったら私たちが会ってることがばれてしまう。

だからといって、言い訳を考える時間もすぐなくなった。

「ま、後でじっくり聞かせてもらうけどな。優勝話!」

「え・・・・っ!?なんで優勝って・・」

当たり前だが、私が優勝する分けないと思っているから、HAYATOがいった言葉が信じられなかった。。

「・・・こ、これで審査は終了します!各自着替えに移ってください」

あわてながらも解説の人はひとまず審査を終了させた。



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