15



一年生の番が回ってくるまであまり時間はかからなった。

ただ準備と休憩時間の確保のため、ここで30分の休憩時間に入った。


「4人は、校内から出ずに、出来るだけ校舎内で動いてください」

そういわれた後、すぐに私たちも休憩に入った。

「亜衣ちゃん」

「お姉さん。・・これからどこかに行くんですか?」

私はいすから立ち上がったお姉さんに話しかけた。

「ええ。章良と散歩・・にね。亜衣ちゃんは?」

「あっ、瑠衣くんと約束してるんです。」

瑠衣くんから、『ちょっと話が』なんて軽い言い方で言われたので、すぐさまOKしたのだ。

「そう。・・頑張ってね。」

「何がですか、お姉さん!?」

「・・ううん。あ、章良。 それじゃぁ。」

「はい!」

お姉さんは、嬉しそうに章良さんを追いかけて去っていった。。

そして、私は瑠衣くんに会いに一人で体育館を出た。



「えっと・・」

瑠衣くんがいなくてうろうろしていると、15m先ぐらいで手を振っている人が見えた。

「おーいっ、亜衣ちゃーん!」

「あっ、いたいた。瑠衣くーん!」

私も胸の辺りで静かに手を振りながら近くに行った。

「正確な場所言っていなくてごめん」

瑠衣くんは私に向かって深々と頭を下げる。

「いいよっ、私も悪いんだし。じゃぁ・・どこに行く?」

「教室!一度しか行ったことないから・・いい?」

「うんっ」

*   *   *   *   *   *   *   *   *  


「ねぇ、なんで今日瑠衣くんはゲストとして招かれたの??普通の生徒なのに。」

色々と回りながら、私はふと思ったことを口にした。

「それは・・頼んだんだ。亜衣ちゃんと一緒に何かしたいって。・・だめだった?」

瑠衣くんにそういわれて、顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。

「でも私・・っ」
「わかってる」

一言、そう瑠衣くんはいった。そして

「でも俺は、亜衣ちゃんが好きだ。これ・・冗談じゃないから。」

私の心を揺らがせる言葉を言った。。

「あ・・ありがとう。」 「どういたしまして。」

二人は、校内を色々見物した。

瑠衣くんは全然理解できてなかったらしく、「へぇ~」「そうなんだっ!」なんて感心しているみたいだった。


それでも、私たちの顔はまだ赤いままだった。

どちらも、ほんのりと赤みを増した、ちょっと恥ずかしさがある顔。

「あ、ここって・・」

瑠衣くんが立ち止まったのは、私のクラス。

もちろん、瑠衣くんのクラスでもあり、その隣にはHAYATOのクラスも・・。

「そっか・・きたことなかったよね」

「うん、でも、なんだか懐かしい、このクラス。」

「・・・あっ、一度は来たことあるね、入学式の日」

「・・ばれた?」

私には、入学式の記憶は全くなかった。ミスコングランプリを取って、この学校に推薦で入学して。

もちろんトモダチ関係とかはすごく気になった。だけど、そんな急に周りなんて見てなかった。

だけど、瑠衣くんにとっても高校は初めての経験で、たくさんのことがあったのだろう。

「あのときは・・・まだ亜衣ちゃんに出会っていなかった。だから、今のほうが断然幸せだな。」

「・・・そう?」

そんな台詞がいえるのは、やっぱり瑠衣くんしかいないな。なんて私は思った。

「えと、入って・・みる?」聞くと

瑠衣くんは「いいのっ!?」と目を輝かせた。

「当たり前だよ。だってクラスメートでしょ?」

フフッと笑いながら、私はドアを開けた。

ガラガラ・・決してスムーズではないけれど。少し古びた扉は音を立てながら開いた。

「わぁ・・っ。すげぇ! あ・・亜衣ちゃんの机ってどこ?」

「ここだよ。一番後ろ。そんなにはしゃがなくても良いのに・・。」

一番後ろのベランダ側の席で、私はふーっと息をつく。

そんな私をよそに、瑠衣くんは教室の隅々までいってはしゃぎまくっている。

「やっぱり。瑠衣くんって子供だよね。」

「当たり前じゃん。亜衣ちゃんだって子供だろ?」

当たり前の答えが返ってきた。

「・・そうでした。ハハッ。」私は微笑した。

そして、会話がなく、なんとなくしーんとした雰囲気に。


「・・・・ねぇ、亜衣ちゃん。」

「なに? ―――っ!?」


――――その瞬間、亜衣は・・・・瑠衣君にキスされた。


唇にやわらかいものが触れ、数秒間停止する。

私は動くことが出来ず、ずっと目をつぶっている・・。

「「・・ハァッ・・」」 二人して同じ息をつく。瞬時に私たち二人は顔を赤くした。

「・・・それ、俺の気持ちだから。じゃ、先に行くね!」

そういって、瑠衣くんは去っていった。・・私だけを教室に残して。



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