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勢いよく、HAYATOは廊下を渡っている。

そのスピードはさらに加速していき、教室についたころには息が切れていた。

ガラガラ・・・


「亜衣・・・・」


廊下を疾風のごとく抜けていく物を見て、それがお前ののいる教室にきて   

少なからず、亜衣は驚いている。

しかも・・

「どうしたの、HAYATO!?」

そんな全速力で走っていても、俺は、笑っていたから。 疲れを知らないかのように、笑っていたから。

亜衣にあえて、笑っていたから・・・・・。

「亜衣・・・」

つかつかと、俺は亜衣のそばによる。

欲望が、もうストップ不可能みたいに。何かが、切れたみたいに。

「えっ・・・?」

亜衣が一言声を漏らすとき。


ギュッ と、亜衣を抱きしめた。



「ちょ、どうしたの?」

亜衣は、勿論困惑顔だった。ちょっと緊張やらが入っているのかもしれない。

「亜衣・・俺、お前に謝んなきゃいけない。」

「・・なんで?」

一度離れて、俺と亜衣は視線を交わす。そして、俺は静かに言う。

「『アイドルだから、好きな人作るつもりない』なんて、そんなわけ無いよな・・。」

俺は、ひとり言のようにつぶやいた。

その言葉は、亜衣に言ったことではなかった。亜紀先輩に告白されたときに発した言葉。

けど、俺はそれを亜衣に言っておかなきゃならない気がした。

そして、もうひとつ。

「俺・・お前が・・・」


(『好 き か も し れ な い』)


そういいかけたとき、俺は思いとどまった。

(・・・・・・・・・・・・・・・・今、言っていいのだろうか?)

「どうしたの?」

また、亜衣が俺を見つめてくる。

まだ、言う時期じゃないのかもしれない。俺は、まだコンテストに優勝していない。

「コンテスト終わったら、また会えないか?」

それが、今言える一言。

「いいよ。」

彼女は、ニコッと微笑んだ。


ピーン ポーン パーン ポーン・・・

「最終審査まで、5分前になりました。コンテスト参加者と、女性4名は今すぐ指定の場所に集まってください。

 繰り返します・・・」


「じゃ、先に行くね。」

普通、参加者が先じゃないか(笑)なんて思いながらも、亜衣は教室を後にした。


最終審査。 これが終われば、亜衣に・・・・。


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