ショート5 9 ○



「お久しぶりです。管理人さん」

「・・・え?あ!あかねちゃん。本当にお久しぶりね。」玄関ふきんで掃除をしていた管理人さんは、多少驚いていた。

私は3年ぶりに、この土地に戻ってきたのだ。

今、私は大学一年生。 この学校は高校大学一貫だから、

特別なことがない限り前の5人全員がいなくなっているってことはないだろう。

ただ、一応説明させてもらうと大学者がたったのがちょうど一年前なので、それまでは大学生など誰も住んでいなかったみたいだ。

5+@がいるかもしれないという期待を胸に、玄関のドアを開けた。


「こ、んにちはー」ゆっくりとドアを開ける。すると

「いらっしゃいませ、お客様」小柄な女性と男性が同時に話しかけてきた。ぴったりと声が重なっている。

「・・・!?」驚きの余り、私は少しのけぞった。

「あ、驚かせてしまってすみませんね。こら、理子、陸!」その声は―

「お久しぶりね、あかね」現在大学二年の花梨さんだった。

「本当にお久しぶりです!!・・・こちらは?」私は二人を指差す。

「高校2年の岡田理子です。」ぺこりと頭を下げる理子ちゃん。

「同じく高校2年の岡田陸です」続いて頭を下げる陸くん。

「初めまして、元・・っていうか引っ越してきたから、大学1年生の森口あかねです。」

「戻ってこれるの?」花梨さんは私を見つめる。

「はい、親の都合でまた戻ってきちゃいました!」

「そう・・それはよかったわ」キラキラ光る笑顔に、私は思わず目をつぶりたくなってしまった。

「ありがとうございます。えっと、二人は兄弟ですか?で、双子・・」

「兄弟は当たっているけれど、双子じゃないわ。理子が4/2で、陸が一年後の4/1。」

「そうなんですか・・」初めて知った。4/1でもその前の学年と数えられるなんて。

話によると、誕生日の一日前には年が加算されるそうだ。

「ねぇ、皆に会いに行った?」

「いいえ、まだ」私は首を横に振る。

「そう・・新しい子は私の兄弟たちだけだから、顔なじみに会ってみるといいわ。案内しようか?」

「あ、ありがとうございます。」

理子ちゃんと陸くんは管理人さんに用事があるから玄関にいたらしく、玄関を出て会いに行っていた。

「じゃぁ、こっちよ」私と花梨さんの二人は、長く長く続く廊下を歩き出した。


ガラガラ・・と扉が開く。するとみんなはいつものトランプで遊んでいた。

「お久しぶりですこんにちは!森口あかね、かえって来ました!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

一瞬皆はシーンとなった。けど、次の一言で皆に笑いが戻ってきた。

「なぁに、挨拶二回いれてんのぉ??」夏輝さんが思わず突っ込む。

ワハハハハハハノハハハハアハアハハハハノハハノハハ!! 笑い声が響き渡る。

「おかえりなさい、あかねさん」

「おかえりぃwあかねチャン」

「おかえり、あかね」

猛さん、夏輝さん、慎悟くんがほぼ同時に言った。そして

「おかえり・・あかね。」

誠悟くんが、落ち着いて、だけど瞳を見つめて言ってくれた。

「ただいま、みんな!」私は皆に抱きついて、喜びをかみしめた。。


「誠悟くん、元気だった?」

再会の挨拶が終わって、私は誠悟くんをつれて寮の裏側に出た。

トイレにいってくる、見たいな感覚だったから、皆は今でもトランプゲームを続けているだろう。

「あぁ、まぢ元気だったけどー??」誠悟くんは腕を上げて、曲げた。

「そっか・・よかった」ちょっとほっとした。私のこと思って、大変だったらどうしようなんて、変なこと思ってしまっていたから・・。

「なぁ、前の返事だけど・・・」

「うん。」それは、私が誠悟くんをふって、今度は私が告白してフられたこと。

「あのとき、俺は振ってからまた告白するなんてことするあかねがいやだった。」

ズキン、と私の心に痛みと苦しみが突き刺さる。それだけ誠悟くんに嫌な思いをさせたってことだから。

「本当に、ごめん。」私は頭を勢いよく下げて謝った。

「ま、それは前の話だから。それで―」

「すきっ!」



一瞬、自分が何を言っているのかがわからなくなってしまった。だけど、気持ちはこの言葉に一番こもっていた。

「いつまでたっても忘れられなかったの!ずっとずっと好きだったの!いつもどうしてるかな、元気かな、なんて心配してたの!他の女の子と一緒にいたりするかななんて嫉妬してたり!そして帰ってこれたから、また、この気持ちを伝えたいの!!」

一気に出した言葉が多すぎて、私は終わった後ゼーハー言っていた。右手を胸に、左手をひざに、走りつかれたような様子で。

「へぇ~」誠悟くんは顔を下に向ける。その表情は、もしかして・・

「どうしたの?」勘が確かではなかったので、遠まわしに聞いてみた。すると、

「うっせぇ、照れてるんだよっ。」怒った言葉だけど、すごく恥ずかしそうに話す。それをみてなんだか私まで顔が赤くなってしまった。

「・・ありがとう、いまでも私のこと気にしてくれて。この返事は聞き流していいからね。無理しないで」

気にしてくれて、というのはただの告白なのに受け止めてもらえたこと、ただそれだけだった。それだけだったのに。

「俺・・・も・・あかねのこと、好きだぜ?」


やっとおさまったのか、顔を上げて、私をちゃんと見て言ってくれた。顔の赤らみはまだ取れていないのに。

「本当?」にわかに信じられなくて、誠悟くんをずーっと見つめる。

「や、やめろってば!!」またカーッと顔を赤らめる。そこがかわいかった。

「そっか、うん、ありがとう。・・私も、誠悟くんが好きだから」

「あぁ、俺も・・」

目をつぶって、又あけて二人で笑いあって、穏やかな風が吹く中、私たちは・・・甘いキスをした。


部屋に戻ると、まだトランプをしていた。しかも前と同じ奴を。

「皆ちゅーもくっ!俺たち、付き合うことになったから~」誠悟くんは私と腕を組んで大、大、大発表をした。











「おっめでと~!」どこからかクラッカーの音が鳴る。

その音の発信源はなんと花梨さん、猛さん、夏輝さん、慎悟くんの全員から発せられたのだ。

「ちなみに私も報告ぅw慎悟くんと親密な中に・・ww」

「夏輝さん・・・言いすぎですよ。まぁ、でも付き合うことになりました」そういったら慎悟くんは夏輝さんに30秒間の長――いキスをした。

「んっ・・・ッ・・・ぁっ・・あぁっ・・・・ァッ!!・・」プハッって音がしたときは、私も赤面していた。

「慎悟くんてば、これくらい日常茶飯事なんだよぅ。びっくりでしょぉ?」

「へんなこといわないでください。・・まぁ?発情期ですから。」

「あ、でも、花梨さんと、猛さんは・・」まさか、でも・・なんて微妙な感情を心に秘めていた私だが、

「あぁ、私たち?許婚よ。」

花梨さんって、時々とんでもないことをという人である。

「まぁ俺は花梨が好きだけどな。」猛さん、花梨さんにちゅっとやった。

「ありがとう、猛」そういって二人の世界に入っていった・・・。

「まぁ・・これから、も、よろしくね!!」そして、これからも新しい生活が始まった。


思えばたった一週間。その一週間の出来事が、私の事情を大きく揺るがすなんて、どれだけありえないことだろうと思っていただろうか。

だから、今母親に感謝して、寮の皆に感謝する。

Thank you for giving me a place to stay. ~私の居場所を与えてくれてありがとう。~

End


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