日韓夫婦の心の旅もよう

日韓夫婦の心の旅もよう

(3)鶏肉屋のおじさん、八百屋のおばさん



 鶏肉の売り方は日本と韓国では、ずいぶん違う。
 日本ではスーパーで、もも肉やささみ、手羽など部位ごとに分けられている肉を選んで買う。料理によっては、ももがよかったりささみがよかったりと使い分けできる。
 韓国のスーパーにも日本と同じように、もも肉のパックが置いてあったりするのだが、私たちは鶏肉が欲しいときは鶏肉の専門店に行く。
 鶏の専門店そのものが日本にはないので面白い。
 この店では冷凍肉のほかにも、トンダと呼ばれる鶏1羽を揚げたものも売っていて、これがまた激ウマ。
 冷凍肉は鶏1羽が約350円から400円。安い。

 店の奥には、おじさんが鎮座ましましていて、私や夫の顔を見ると笑顔で出てくる。
 特別どうということはない会話を交わすのだが、おじさんの感じがいいので、いつもこの店である。
「奥さんの料理おいしい?」
「まずい!」(by夫)
 しかし私を含めみんなニコニコしている。

 おじさんにも子どもがいて、もう高校生らしい。そんな大きい子がいるようには見えないのだが。

 私があやしげな韓国語を話すと、おじさんは「おや韓国語、上手だね」とほめてくれる。
 絶対上手なわけがない。
(日本人が頑張って韓国語しゃべって、まあまあ)といったところだろう。


 八百屋さんへは、大げさに言えば勝負をする気持ちで臨む。ここでは、駆け引きがあるからだ。
 いつも「1000ウォン(約100円)分、ナスをください」という買い方をしているのだが、ナスが2本だったり3本だったりする。
 2本をハイと渡された夫は「先日妻が買ったときは3本だったのに」と交渉するも、お店のおばちゃんも「これは大きいんだから」などと応戦。
 内心、(2本だと負け、3本だと勝ち)と、勝負に挑む気持ちで買い物をする。

 ある夏の日は、ほかの買い物客に「こっちのお母さんが子ども背負って汗かいて待ってるから、ちょっと待ってね」と声をかけて、私たちを優先してくれた。ありがたい ありがたい。




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