日韓夫婦の心の旅もよう

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ある夏の夜



 ソウルの夏の夜は眠れない――!!


 最近、夜中の3時ごろまで寝付けなくなりました。
 理由は「蚊」。
 刺されてかゆいわ、羽音がするわで、うっとうしいこと、この上もなし。
 1週間たたない間に20箇所ぐらい刺されてしまいました。

 ここ数日、韓国では夜も気温が下がらず、うちも含め多くの家で窓を開けています。
 寒さの厳しい韓国では床暖房は広く普及しているものの、クーラーはないのが普通です。
 加えて網戸もありません。
 どの建物を見ても、1階は防犯上、鉄格子がはまっていたりしますが、2階より上はただガラス窓があるだけで、戸袋だの網戸などは皆無です。


 蚊対策で、一度、電源に差し込むタイプの殺虫剤を使ったのですが、匂いがひどい。

 使用中、当時飼っていたネコを別の部屋に避難させましたが、終了後に部屋に入れたら、吐いていました。
 商品化した以上、きっと人畜無害だろうと信じたいのですが、
 ネコのゲロを見て

「二度と使いたくない――!!」。

 夕方には寝室の窓を閉めて蚊をシャットアウトし、扇風機をつけて寝るも「暑い!!」。
 やがて我慢も限界に達し、窓を開けて風が通るようにしている部屋へと避難。
 すると蚊はやってくる。それも1匹。

「ぷーーーん」
「!!!(←ねぼけながらも怒り)」

 時計を見ると「あー3時」。

 たかが1匹の蚊のために眠れないのでくやしいのです。
 もっともたくさん来てもらっても、もっと困るんですが....



 クーラーがなければ、涼を求めて人は外に出ます。

 韓国では夕方になるとあちらこちらにある、ちょっとした東屋やベンチで、お年寄りが夕涼みをしながら世間話をしていたり、囲碁や韓国の将棋をさしたりしています。

 外に出て近所の人と顔を合わせれば話もするし、囲碁もさす。そんなコミュニケーションが生まれます。

 ライフスタイルとコミュニケーション形態は密接につながっています。

 こう書いてしまうと当たり前なのですが、
「暑い」「蚊」「クーラーがない」「夕方の世間話と囲碁」の全部がつながりを持って見えたとき、私は感動しました。

 もちろん物がなければ反対に心が豊かだとか、そいういうことは短絡的には言えませんが、蚊がいる暑苦しいソウルの夜を受け入れてもいいかなとも思えるのです。

(もっと暑くなったら、気が変わるかもしれません・・・)


 夫の実家には扇風機が4つぐらい物置部屋に置かれていて、韓国に入国した当初(そんなに暑くなかった)は「なにゆえこんなにある?」と思ったのですが、これは「1部屋に1台」にということでした。





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