買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2010年08月19日
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「闘蛇を殺戮する武器として使われても、きっとリランは苦痛には感じない。――それを耐えがたい苦痛に感じているのは、リランではなくて、わたくしです」

(上橋菜穂子さん「獣の奏者(王獣編)」P363)

というわけで、再読になりますが、上橋菜穂子さん「獣の奏者(闘蛇編、王獣編)」を読みました。

王獣とエリンの交感を縦糸に、真王(ヨジェ)と大公(アルハン)の関係を横糸に、織り上げられたこの物語は、全編がエリンの心情に強く彩られています。

しかし、今回再読してみて、思いのほか、政治や制度のことがくっきりと描写されていると感じました。王獣と心通わせるによって、否応なく政治に巻き込まれていくエリンの姿は、この闘蛇編、王獣編において中心のテーマのひとつになっています。
このことからも、「歴史」と「闘争」の続編が書かれる必然性があったのだと思いますが、なんといってもエリンとリランのその後が知りたい、という声が強かったようですね。

この2巻をもってしても、傑出したファンタジーになっていると思いますし、僕自身、初読時よりも、興奮しながら読んでしまいました(笑)。
引き続き、探求編、完結編を読んでいきます。

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Last updated  2010年08月19日 08時18分59秒
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