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2011年06月13日

「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」読

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生まれてくると思った、私の子供。
そのために、お母さんは私に時間をくれた。なのに、私には何もない。持っていない。怖くて怖くて仕方なかった。お母さんがくれた時間に、意味が何もなくなる。考えただけで気持ちが悪くなって、恐ろしくて、もう、何も考えられなかった。
（辻村深月さん「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」Ｐ３８４）

というわけで、辻村深月さんの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」を読みました。

幼なじみの、「母親の娘」、二組のお話です。
一方は、母親の期待を背負い込み過ぎ、もう一方は依存し過ぎで、どちらも、「どこにでもある」歪んだ関係である、というシチュエーションかな、と思います。

その中で、娘二人は、両方とも、「母親になれなかった」ところが象徴的なのですが、果たして、この物語の末に、二人の娘は、「母の呪縛」から解き放たれたと言えるのでしょうか？
いや、しかし、もちろん、娘の運命は「母の呪縛」のみで語られるべきではないと思います。

男としては、よくわからないことはさておいて、ほんとに「遠い約束」を大切にしている「チエ」を、たとえようもなくいじらしく思ったことでした。

ところで、「チエ」の誕生日は、ドラえもんの「のび太」くんの誕生日と同じなのだそうで・・・・・。