買書とつんどくの日々

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2011年08月11日
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だが、ベッキーさんは、手の、上になった親指で下になった親指を撫でながら、
「さあ・・・・・。お考えになるのは、お嬢様でいらっしゃいます。・・・・・ただ、本当にお考えになりたいのでしょうか」
それは、わたし自身にもはかりかねることだった。

(北村薫さん「街の灯」P239)

というわけで、北村薫さんの「街の灯」を読みました。

「虚栄の市」、「銀座八丁」と「街の灯」の3編のお話からなっていますが、始めの2編については、ベッキーさんの初登場ということを除いて、謎解きについても、さしたる感銘なく読み終わってしまいました。

最後の、「街の灯」では、やはり謎解きの部分は、う~んとか思いながらも、主要登場人物である桐原家令嬢道子さんの、とてもパッショネイトかと思えば、悟りきったようでもある、際立った「なにか」に強く反応しました。
それがなになのか、道子さんの話をもっと読みたい。と、思いました。


ところで、この「街の灯」で、「五・一五事件」がどのようなかたちで触れられているのか、というところを見ると、

こともあろうに喜劇王チャップリンが来日した翌日、首相暗殺という大事件が起こり、その他のことは、皆の頭から飛んでしまった。
御家族がお可哀想というやり取りが、お友達との間で、しめやかに繰り返された。軍部の責任を問う声も、最初のうちは新聞に載った。しかしすぐに、糾弾の記事は見られなくなった。
「圧力がかかったんだな。――ついこのあいだまでは、色々なことがいえたもんだが」
雅吉兄さんが、首を振りながら、そうつぶやいた。
わたしの日常は、これといって変わったことはなかった。

(北村薫さん「虚栄の市」(「街の灯」所収)P65)

という感じで、たぶん、シリーズ最終編の、「 鷺と雪 」で触れられるであろう、「二・二六事件」の描写との対比が気になるところです。

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Last updated  2011年08月11日 08時24分38秒
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