買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2013年04月25日
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が、ふとその怖さが遠のき、代わりに、かつて聞いた声が甦った。
「ときに惑い星などと呼ばれますがねえ。それは人が天を見誤り、その理を間違って理解してしまうからに過ぎません。正しく見定め、その理を理解すれば、これこの通り」
「天地明察です・・・・・伊藤様」
途端に、万感が込み上げてきた。どうしていいか分からず、ふらふら立ち上がって部屋を出た。観測器具が所狭しと設置された庭に立って、ぼんやり空を見上げていると、えんが気づいて庭に下りて来た。
「やったよ、えん」
ぼんやり告げた。
「おめでとうございます、旦那様」
えんがにっこり笑って言った。
どっと涙が溢れ、春海の頬を濡らした。何もかも霞むのに、青空だけが澄み渡っている。
春海、四十四歳。実に北極出地から二十二年の月日を経て、天に触れた瞬間だった。

(冲方丁さん「天地明察」P444)



暦というものが、天と地を観察し、人によってつくられるものだということに、改めて気づかされるお話でした。

一年は365日で、約4年に一度366日になるのだそうですが、どんなふうにずれていくんでしょう。
しかも、この「約4年」という割り切れなさが、たまらないですねえ。
とっても不思議です。


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Last updated  2013年04月25日 06時03分01秒
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