こうこの手紙

こうこの手紙

2025年11月20日
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祥之介は役所に行くことに気をとられて

うっかり十八日が過ぎてしまうのでした



「うぅ……何かがあるわけではないのであるが

大変残念なのである。忘れること自体情けないのである」

「一日遅れたけれどお酒を買って出かけよう」

「ふむ、今年はくまのお墓にも一回行かなかったのである」



ハンサム団は真言を唱えながら靖国に向かうのでした

「とうちゃん、靖国で唱えられる祝詞があるといいのにな」

「ふむ。いつも行くお寺の仏様の真言はほとんど覚えたのである」

「愛染明王の真言もちゃんと覚えたし大金剛輪陀羅尼も覚えたな」

おん まからぎゃ ばーぞろ しゅーにーしゃ

ばーざら さとば じゃく うーん ばん こく

「愛染明王真言なのである。これで来年補修から帰ってくる

川崎大師の愛染明王にご真言があげられるのである」

「大金剛輪陀羅尼も完璧だ」

のーまく しっちりや じびきゃーなん たたぎゃたなん

あん びらじー びらじー まかしゃきゃら ばじり

さたさた さらてい さらてい たらい たらい

びだまに さんばんじゃに たらまちしった ぎりやたらん そわか

「薬師如来の中呪も覚えたのである。

おばいせいぜい ばいせいぜい ばいせいじゃ さんぼり ぎゃてい そわか

この真言は天台宗ではよく唱えるそうなのである」

「ふつうは おんころころせんだりまとうぎそわか だもんな」

「ふむ、真言宗でも高野山派の人が唱えていたのである。

なんだかとってもひかれたので教えてもらったのである」



手水舎でお浄めをして拝殿に向かうのでした

「一日遅れたのはやっぱり申し訳ないのである」



「とうちゃん、御先祖様は気にしないと思うぞ」

「そういう問題ではないのである。

一年間は毎月靖国に通うと決めたのである。

仕事の都合で早くしたのは仕方ないと思うのである。

しかしうっかり忘れるというのは怠慢以外の何物でもないのである」



お酒を奉納に行ったらいつもの巫女さんが対応してくれるのでした

「あら!こんにちは」

「いつもお世話になります」

「とうちゃん。若かったら恋が芽生えたかもしれないな」

「若かったら毎月靖国にきていないと思うのである」

いつものように奉納書を書くのでした

「こちらをお持ちください」

「すいません、お酒を奉納しただけでこんなに頂いては……」

「どうぞお持ち帰りください」



「とうちゃん、顔を覚えてもらうといろいろサービスがいいな」

「ふむ。なんだか巫女さんの笑顔と対応に癒されたのである。

心なしか今日の靖国はなんだか安らぐのである」

銀行で散々嫌な思いをした祥之介は

「やっぱり人には丁寧、精神誠意が大切である」

などと球磨之介と話し合いながら帰るのでした。






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最終更新日  2025年11月21日 06時39分17秒
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