城山の幼児教育を考える会

2006.05.23
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04年4月に民営化した横浜市の4つの保育園の園児と保護者が「子供が通っている途中での民間移管は子供への悪影響が大きい」として民営化の取り消しを求めて提訴していました。

取り消し請求自体は退けられましたが、裁判所は初めて「継続して同じ保育所で保育を受ける権利」を認めた判決を下しました。

今、全国で公立保育園の民営化が展開されつつあります。自治体は民営化推進にあたり、「保育園に入りたくても入れない待機児童解消」や、「夜間や休日保育などの保育ニーズの多様化に対応するため」という理由をあげています。それらの問題は、民間移管しなくても自治体が検討しても良いわけです。つまりその根っこには地方自治体の「財政難」が横たわっているのです。
もっと言えば、「財政難」を口実に、民間化できることはどんどん整理してしまおうという方向なのです。

厚生労働省によれば、全国の公立保育所12090ケ所のうち、398ヶ所が05年4月までに民間委託、430ヵ所が民間への施設譲渡・貸与したと報告しています。
そもそも、民営化によってその目的がどの程度達成するのか、具体的な計画もないまま進められているところもあるようです。

城山の公立幼稚園廃園の提起のときも、町役場のお偉い様が「他の地域で公立幼稚園をなくしたときに幼児教育センターを作ってうまく行ったと聞いていたので、城山でも幼稚園に代わるものは何かないかなぁ・・・と考えていた」と、計画性のなさを議会の場で露呈したものでしたが。(@_@)オドロキ!

横浜市は「移管の際に、混乱をきたさないように市の保育士と移管先の保育士が3ヶ月にわたり引継ぎを行った」と主張しましたが、判決は3ヶ月の引継ぎ期間をかけた地域でも保育現場には混乱が生じたとして、「他都市の前例を参考にしたことは根拠にならない」と退けました。
また、保護者への説明についても、「1年間に11回の説明会を行ったので、充分に説明義務は果たした」とする横浜市に、「保護者の意見を聴いて欲しい、時期を先延ばしにしてもっと論議してほしい」という訴えが再三あったにもかかわらず「決定事項である。時期の延期も考えていない」と説明するだけでは、建設的な論議が積まれていない。と指摘しました。民営化政策そのものよりも、その経過についての判決といえるでしょう。


人間を相手にする仕事は、経済効率や利益性とは相容れない問題が含まれています。
だからこそ、これまで自治体が中心となり施策を作り実施してきたのです。お金儲けと相容れないから自治体がやるのです。
一部の無駄をする公共事業を引き合いに出し、「公的事業は税金の無駄使い」とばかりに民営化へと流れるのが本当に妥当なのか、考えてみるべきです。

ご承知の通り、保育園は0歳から6歳までの子供が朝(早ければ7時ごろ)から夕刻(遅ければ19時頃)まで家庭に代わる場所として一日のうちのかなり長い時間を生活する場所です。

この裁判を起こした保護者たちは、「民営化後に園児が顔見知りの保育士を探して保育園から抜け出したり、夜泣きや昼寝時におねしょをし始めるなど精神的に不安定になった」「精神的に不安定な様子を見て、我が子のことを守ってあげられないという無力感が絶え間なく襲ってきた」と言います。数字では表されないデーター…そこにこそ、人間相手の仕事の本質が隠されているのです。


このサイトは公立幼稚園の存廃問題が中心ですが、今回の判決は「ハコではなく人」ということが認められた注目すべきものとして、ここで紹介しました。
参考記事

神奈川新聞

毎日新聞








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最終更新日  2009.02.12 23:51:42
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