『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第58話「本当は」
「昨日の戦いから計算して、タイムリミットまで一時間弱だ! 急げよ!!」
シカマルが叫ぶ。ネジはうなずく。
「額に両手を当てろっ! そして呪印に意識を集中させるんだ!」
「はいっ!」
夢之助は両手をぎゅっと額に押し当て、言われたとおり額の呪印に意識を集中させる。
「呪印のまわりが熱くなるはずだ! まずはそれを感じろ!」
「……ん、感じる……!」
「熱いところを、細い糸だと意識するんだ! どうなっているか分かるか?」
「ん……」
夢之助は困惑する。
「落ち着け。目をつむって、意識を額だけに集中するんだ!」
夢之助はぎゅっと目をつむり、呪印のまわりに生じた熱を感じ取る。それは確かに、なんとなく糸状につながっていると感じる。それは徐々に、はっきりとした感覚になっていく。
「……分かった!」
夢之助はぱちりと目を開ける。
「糸を動かすぞ! 呪印右下の糸を左上の糸のところへ持っていくんだ! 強く意識しろ! きっと動かせるはず!」
「……んっ!」
夢之助は目をつむり、額にめいっぱい手を押し当て、糸を動かそうとする。だが、実際チャクラの練り方も知らない夢之助に、それは簡単に出来ることではない。
「難しいよっ……!」
「昨日の戦闘開始時に爆発までの時間を早めたときも、意識をそこへ集中しただろう! 感覚的には似ているはずだ!」
「だけど……」
夢之助は悲しげに、額に当てた手の力を弱める。
「あきらめんな夢之助っ! 木ノ葉の忍になるんだろっ!!」
ナルトがせいいっぱいに夢之助を励ます。キバも支えてもらっていたシノから離れ、よろけながら夢之助に近づく。
「オレのために敵と戦ってくれたんだろっ! こんなところで死ぬんじゃねーぜ!! まだお礼も言ってねーっつーのに冗談じゃねぇぞオイ!!」
キバは両の拳をぎゅっと握りしめる。
「……んんっ!」
夢之助は再び額に手を押し当てる。意識を集中させ、額からは汗がにじむ。
「周辺の流れも意識して! そして流れに沿って動かすの!」
サクラの的確な助言にならい、夢之助は流れを感じ取ろうとする。
「武器を急所に当てるのと同じ感覚! 左上に特に熱い一点があるはず! そこを狙う感じで!」
テンテンの言葉に従い、左上の一点を見つけだす夢之助。
「ほらコレ! ポテーチ食べて頑張って!!」
「むぐっ……!?」
「アンタなに邪魔してんのよー! はいお水飲んでっ!!」
チョウジを睨み、あわてて竹筒の水を夢之助に飲ませるいの。
「いや、邪魔ではない。何故なら体内にエネルギーや水が入ることによって、チャクラの流れが活性化されるからだ。それを汲み取れ、夢之助」
「ん!」
シノの言うとおり意識を集中させれば、確かに先程より流れが分かりやすくなっている。夢之助は必死で集中力を高めようとするが、逆に集中力が弱まってくる。息を切らす夢之助。見かねたシカマルは、後ろにしゃがんでグイッと夢之助の体を支える。
「集中力ってのはそう長くは続かねぇもんだ。一回だけ休憩すんぞ! ホラッ、空見上げて雲の流れ見ろ」
シカマルの腕の中で体の力を抜き、見上げた空は青い。
「シカマルお兄ちゃん……今まで任務を大変にしちゃってごめんなさい……。ボクはみんなに嫌われたくなかったから、昨日まで爆弾使わなかったの……。ボクは本当は嫌われたくなくて……ボクは本当は生きていたくて……!」
「分かってるって。さっきそう言ったろ? それに誰もお前のこと責めちゃいねぇし、嫌ってもねぇ。だから安心して、もっと気楽にしてろ。……ホラ、ちゃんと空見て」
夢之助は、いつの間にか泣きそうにシカマルを見つめていたが、うなずいて空を見上げる。
「自然の流れと体の流れは同じだ、夢之助。……よしっ! 休憩は終わりだ! 体はこのまま支えててやっからこのまま一気に片をつけろっ!!」
ナルト『次回は……あともう少しだってのに、ネジってばどうしたんだってばよ!?』
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