まず前回溌剌とし過ぎてシブくなった。もうオリジナル曲が全然溌剌としないでなんだか疲れちゃってる様相。アタマ3曲もI Don't Want To Spoil The Partyも内容は辛気臭いし曲調もなんだか軽快じゃない。I'm A LoserとかI Don't Spoil~とか、テンポが軽快なのに全然楽しげじゃないのは歌詞のせいか。だがコレがまた全部良い曲なのがレノン兄貴のイカしたところだ。「アニキ、大人だなぁ」ってポールやジョージが思ったのか知らないが前回美味しいところをさらったポールが全然良い曲が書けなくなっている。Every Little ThingがまあまあでWhat You're Doingはやっちゃった感じ。I'll Follow The Sunはいいけど昔の曲。ジョージに至っては折角久々に完成させたオリジナル(You Know What To Do)をボツ食らっている。
もう一つの失速はカヴァーが増えたこと。これはスケジュールの関係でオリジナルをそろえる暇が無かったせいだが、実はそのせいか、逆にカヴァーの出来は軒並み良い。まあ慣れた曲を選んでるのはあるけどね。実はWith The Beatlesと並んで最もR&R指数が高いアルバムだが逆を言えば1年前の水準に戻ってしまったともいえる。それでも「一球入魂」的なレコーディングの成果でどれも勢い任せの名演。お馴染Mr. Moonlightのシャウト、R&R Musicのマーティンまで巻き込んでの暴走感、ジョージやリンゴはカール・パーキンスをぬるめに歌うが演奏は良い。とどめはポールのKansas City~Hey Hey Hey Hey。一年前のレノンとリトル・リチャード師匠を足して二で割ったような勢いがある。
Eight Day's A Weekに関しては「一緒にハンドクラップしたくなる名曲」の一言で充分であろう!