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2010.10.18
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カテゴリ: Jリーグ観戦記
J1リーグ第26節@埼玉スタジアム 32,902人(53%)

浦和レッズ 2-0 セレッソ大阪
【得点者】
前半14分 エジミウソン(レッズ゙)
後半34分 原口元気(レッズ)


 このスタジアムで空席の目立つ光景を目にするのは久びさだった。相手は3位のセレッソ大阪だ。独走を続ける名古屋グランパスの初優勝は時間の問題だとしても、2位鹿島アントラーズとの勝点は「1」、4位ガンバ大阪との差も同じく「1」、3位と4位では賞金額が2千万円も違ううえ、ACLの出場権を手にするためにもセレッソは負けられない一戦だった。
 ホームの浦和レッズはより深刻だ。ロブソン・ポンテ、鈴木啓太、梅崎司、宇賀神友弥、マシュー・スピラノビッチと次つぎと負傷者が発生したのが影響して8位に低迷する。やはりアジアの頂点を狙う彼らにとって、このゲームの勝敗は今後を大きく左右するものだった。勝利を手にすれば、この時点で5位の川崎フロンターレの勝点「41」と並ぶが、落とせば10位のアルビレックス新潟に並ばれる可能性がある。
 そんな、両チームにとって非常に重要な一戦にもかかわらず、なぜ空席が目立つのか……。と、ここまで考えたところで思い当たったのが秋祭りの余波である。筆者自身、蕨神社の宵宮をキャンセルしてスタジアムに駆けつけたが、この日はより賑やかな川越神社の祭礼とも重なる。両神社の祭りだけでも、おそらくは1万人前後の観衆が奪われたのではないだろうか。なぜなら我われ関東の東地区の人間にとって、埼玉の神輿が今年1年を締めくくる最後の祭礼だからだ。

 閑話休題。

 「私が監督に就任した昨年は33人の選手がいましたが、その後12~13人の選手がチームを去り、5~6名の選手を補強しました。結果、今年の選手数は27人にまで縮小しています」
「ひとりの選手が前半だけで3~4回のスペクタルなプレーを見せたとしても、チームの一員として闘えなければ、そういう選手は必要ありません。近代フットボールでは数的有利をつくることが重要だからです。チームの総合力を改善できる選手こそが、私にとってはベストなプレーヤーといえます。たしかにここ数週間、チームは厳しい環境下におかれてきました。しかしそれが逆に、チーム一丸となって闘える力を与えたのかもしれません」
 ひとりの選手に他クラブよりも予算をかけるが、そのぶん、支配下選手の数を抑える。それが近年のレッズの方針のようだ。だが、負傷者が続出してはかなわない。それでも苦しい台所事情のなか、レッズはこの3週間で3勝を重ねてきた。第24節のアルビレックスを2-0で完封、天皇杯の3回戦・徳島ヴォルティス戦でも同じ結果を残し、前節の埼玉ダービーでは前半の2点だけで大宮アルディージャを振り切った。
 しかし7月末の第16節・埼玉ダービーで敗れたのを手始めに3連敗をきっしたレッズは、19節からのリーグ戦6試合でドローと勝利をまるで約束事のように繰り返している。この隔靴掻痒の時期が続いたのが、なかなかAクラスに加われない原因となっていた。チームに統一感が生まれ始めているのは、指揮官が指摘する「負傷者続出の反動」だけではなく、「いよいよ尻に火がついた」という危機感も彼らの背中を押しているのではないか。勝負は時の運でもあるが、「これ以上は落ちない」というのが、「強豪」といわれるチームの最低条件なんである。

 セレッソ大阪には外様の選手が多い。意地の悪い言い方をすれば「借り物」の選手が多い。この日のスタメン表を見ても、ベンチ組も含めて下部組織から昇格したプレーヤーは、7月の第11節からスタメン入りした丸橋祐介ひとりしかいない。自前の選手を奨励するJリーグでは、セレッソのようなチームに改善を促すために、「1試合3人以上のユース上がり」など、今後なんらかの条件を設定する動きがある。その時が来てから、思いついたようにユースの選手を起用しても手遅れだ。セレッソの強化スタッフには、今後に向けての準備を早急に手がける必要があるだろう。
 そんなつぎはぎだらけのセレッソが今季躍進の足がかりをつかんだのは、5月の連休明けからだった。曲者のジュビロ磐田に3-0、サンフレッチェ広島にも5-0と圧勝、ナビスコ杯の決勝に駒を進めた両チームを叩きのめしてしまったのだから浪速の下町住民たちが溜飲を下げるのはもっともだった。ワールドカップ後にはキーマンの香川真司をドルトムントにさらわれたにもかかわらず、記録的な猛暑の8月に5連勝を記録している。

 好調セレッソの鍵となるのは、以下の3点だろう。
 まず、センターバックのふたりだ。元FC東京の茂庭照之、元大分トリニータの上本大海で組むセレッソのセンターは、J1リーグ18チーム中、鹿島アントラーズと並ぶ最少失点「23」でレッズ戦を迎えていた。
 次に、彼ら最終ラインと攻撃陣の間を繋ぐマルチネスとアマラウのダブルボランチである。中盤の底でタクトを揮うマルチネスと、絶妙のタイミングで攻撃参加するアマラウの息がぴたりと合っている。
 さらに、前線の4人の元気ぶりもあげられる。俊足の元横浜F・マリノス乾貴士に加え、反町康治率いる五輪代表当時に頭角を現した元ガンバ大阪の家長昭博、神出鬼没の動きを見せる元大分トリニータの清武弘嗣、そしてカードが多いのが少々気になるが、見事なトラップ技術と屈強さを備えるアドリアーノ……、この4人で、今季のセレッソはバイタルエリアを引っ掻き回してきた。
 生観戦できる機会が少ない関西のチームだけに、彼らの強さの秘密を探りたかったというのも、蕨の宵宮をキャンセルした理由でもあった。ところがいざフタを開けてみると、チームとしての強さに圧倒的な物足りなさを感じる始末である。レヴィー・クルピ監督も、相当な憤りをもって選手たちを叱りつけたのではないかと推察できる。
「レッズには球際の強さとチームとしてのスピリットがありました。ウチには、それが足りませんでした。妥当な結果だったんじゃないでしょうか。前線の選手があれだけのチャンスを作りながら、1点も奪ることができてないんですから。彼らはドリブル好きですが、それが彼らのストロングポイントでもありますから否定はしません。まだ成長過程ということなんでしょうね」

 前半14分、レッズの選手ふたりに囲まれたマルチネスがレッズのペナルティエリア内で転倒する。てっきりホィッスルかと思いきや、そのままプレーが流され、一瞬の隙を突いてできたスポットからエジミウソンに先制された。
 フィンケは24分、エジの先制をアシストした田中達也が負傷したため、高崎寛之を投入する。10月2日の埼玉ダービーで今季初先発、いきなりJ1初ゴールをあげてスタメン争いに殴りこみをかけた24歳だ。しかし後半31分、前がかりになるセレッソの攻撃に対応するため、高崎を下げて堀之内聖をピッチに入れ、トリプルボランチで中央を固めた。


 一方のフィンケは選手一人ひとりの名前を出すほどのご機嫌ぶりだ。
「山田(暢久)はシーズンを通して一定のパフォーマンスを見せることのできる選手です。ヘディングが強く、視野が広く、瞬発力も申し分ない。坪井(慶介)は常に10ポイントを与えることのできる闘える選手です。それまでのリベロを背負う戦術から4バックに変えたことで、さすがの彼も戸惑った時期がありましたがね。柏木(陽介)は日を追うごとに大切な選手になっています。前回のセレッソ戦(=3月27日、3-2で勝利)では阿部(勇樹/9月12日登録抹消。レスター・シティに移籍)とボランチを組みましたが、自分に与えられた役割をよく理解しています。細貝はアグレッシブで、ボール奪取に優れています。高崎は彼の長所である瞬発力を、どうチームに生かすかをもっと学んだほうがいいでしょう。宇賀神も完全な形でチームに復帰することが重要ですね。(ウィルフリード)サヌーは、代表(=ブルキナファソ)に呼ばれてケガをして帰ってきたのが痛かったです。それから今日からは、(鈴木)啓太もベンチに戻ってきました……」
 もう、きりがない。背水の陣で臨んだホームゲームで、好調セレッソに勝利したことがよほど嬉しかったにちがいない。対照的なのはセレッソである。ここ一番というときの弱さは、寄せ集めチームの宿命なのかもしれない。

 ひどいときには乗り込んでから駅まで1時間前後もかかるメディアバスが、ほとんど渋滞にもひっかからずにすいすいと浦和美園駅まで到着した。1週間前のアルゼンチン戦がウソのようである。ちなみにアルゼンチン戦については、明日の蕨の宮入が終わってからゆっくりとプレイバック・レポートを書く予定である。

【了】





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最終更新日  2010.10.18 08:55:45
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故カール・ゴッチさんについて  
那嵯涼介 さん


私は那嵯涼介というペンネームで、プロレス雑誌などに故カール・ゴッチ氏に関する記事などを寄稿しておりますライターです。
今後これまで収集した資料と関係者の証言を纏めて、ゴッチ氏に関する本を出版してみたいと考えておりますが、つきましては生前の氏と交流があり、一時は氏の自伝出版をと考えていらした李様に是非色々とご教示頂きたいと思い、こちらのコメント欄を使わせて頂きました。
もし宜しければ私信にてご高配を賜りたいと存じますが如何でしょうか。
私のメールアドレスは、ryosukenasa@jcom.home.ne.jpになります。
失礼の段、平にご容赦下さい。 (2011.04.04 16:25:21)

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