「白鳥」の演出についてDirection

Direction of AMP Swan Lake Asian tour 2003

「白鳥」の演出について思った事。ムカッときたらごめんなさい。

DVDをバイブルのようにあがめていた私達にとって今回の舞台、ちょっといいたいこともあるでしょ?というページです。

 まず最大の違い。第2幕の白鳥のキャラクター。Swanは透明で無性別で、純粋なもの。今回アダムのSwanは大鷲だったと皆が言っているが、ホント。別の鳥や。最初から獰猛な禽獣だったけど、ホントは最初はビクついていて段段なれてくると言う演出だったはずなのに、その部分が出ていなかった。最初の登場の時はスワンは王子に気付いていないのだ。だから毛繕いしたりしているのだ。そして気付いて舞台中央で激しく王子をはたいて飛び去っていく。それはあくまでもビックリしたからであり、怒っていたからではないのだ。それが今回のアダムは最初から怒ってんだもん。
 2度目の登場の仕方も違っていて、DVDは舞台の袖からジャンプしてまるで空から降りてきた様に見え、2度目、3度目のジャンプがだんだん小さくなって水面に近づき、あの、ハクチョウが水面に降りる瞬間ブレーキをかけるように羽根をバタバタする振り、そして水面に浮かぶ、というすばらしい振り付けだったのだ。それが今回は舞台に出てきてから大ジャンプ。ちがうのよー。(これについてはあとから思うに単純に舞台の広さの問題だったのかも。オーチャードホールはかなり広くて白鳥さんたちが一列で出てくるシーンでも大変だったということを後にきいて、あの3回のジャンプで立ち位置まで来るにはやはりあそこまで出てきて飛ばなくては合わなかったのかも)
 同じコトは第3幕のストレンジャーの登場でも言えるけど、ストレンジャーは黒鳥ブラックスワンなんだからやっぱり空から降りてきたんです。バルコニーの手すりに。そしておりたつ、というわけ。飛来して来たという演出をしているのです。
 だからあのジャンプは違うと思ってしまった。2幕の話しに戻ると仲間の白鳥も飛来してきて水面でゆーらゆーらとなるわけです。

 3幕の演出のムチの使い方と女王のりアクション。
 さらっとしてたむちをねこじゃらしのように使い女王の顔を引き寄せる。ポーターはニヤーッとする。でもムチはストレンジャーのサディスティックな部分の象徴であり、女に対する性的、物理的な暴力の象徴なのだ。それにきづいたDVDのフィオナは知らん顔、回りの人間もいっせいに引く。それが今回の舞台だとムチを最初から受け入れている。やっぱ、ちがうよ。アンドリュー。
 このときまだストレンジャーはまさにストレンジャーなのだ。だから本人もむかついて酒飲むのだ。今回の舞台だともう魅力的ヒトとなってしまっている。
 演出ではなく振り付けのことだが、確かにほかでもでてたけど女王とストレンジャーの踊りの最初の黒鳥ジャンプが体の向きが違った。あれはまさに古典の黒鳥のジャンプなのです。唯一古典と同じと思っていたらやっぱりあそこはアダムとフィオナ・チャドウィックで考えた踊りらしい。ボーンじゃなかった。
 ボーンの素晴らしい所は、2幕の白鳥のソロの最初の振りとまったく同じ振りを黒鳥の残酷なダンスに振りつけていて、「俺はあの白鳥だぜ、オラオラ」と違う音楽でやって見せるサディスティックさ、鳥肌ものとはこのことだ!このシーンはDVDで100回以上見たよ!
 4幕の白鳥に傷をつけ更に更に残酷な演出にしていたのはよかった。ストーリーがわかりやすくなっていた。どうみてもDVDだと「やれやれ、やっと広い所にでられたぜ、あ~」とあくびしてるスワンとしか見えんもん!死神くんもなかなかだし!!4幕は合格だ!
 戻るけど蛾のバレエの最後のところでバッグ取りに戻ってきたお付きの人と目が合って泡吹いちゃうと言うのも細かい演出だね~ すごくアンドリューって細かいんじゃない? 性格が。

Andrew in Korea3
Andrew Corbett,who was rehearsal manager of Asian tour 2003
Photo by jaki. Thank you, jaki!


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