ヘススパストールJesus Pastor

ジーザス・パスターについての考察
   ALL ABOUT JESUS PASTOR, How he danced in Japan


 ジーザスのことで書き忘れたことがいっぱいあるので。
 ジーザスのダンスの特筆すべき点を書きとめておきたい。

 第2幕 冒頭 水面をすべるように泳ぐジーザス白鳥。アダムよりより動物化している。首を盛んに動かして毛づくろいをしている。アダムは毛づくろいせず超然としている。実はこのシーンも伝統版のパロディなので笑いが起きるようなシーンだったのかもしれない、初演の頃は。(アダムはDVDでもそうだけどこのシーンノーメイクで例のちょっとこわい白鳥メイクをしてなくて素のような気がする。その美しくやさしい横顔が見られてうれしいシーン。このあと登場までに白鳥メイクをするのでは? と思っているのは私だけだろうか。)
 王子が自殺しようとすると現れたジーザス白鳥。舞台前方にジャンプしながら出てきて最後に1回転して大きくジャンプし、手を羽根のように後ろにそろえてポーズ。このときの上体の倒し方がアダムのように低くなく、上体をおこし気味である。表情はアダムのように眼光鋭くにらみつけるわけでもなく、あくまでも無表情。そして脚をあげて体を半回転させるところがあるのだが、ここで最初の衝撃が私をおそった。何?今の。脚が高すぎる!! 体のバランスがすごいのだ。女性のように脚を90度以上120度ぐらいあげてのターンしかも支えなしで。まったく違う振付に見えてしまった。王子=人間の存在に気づき、舞台中央ではげしく羽ではたいて 去っていく。この王子をはたくポーズ、大好きです、私。左足を高く上げ、両手を王子をはたくようにしてのバランス。ロットバルトのテーマで2幕、2度目の登場。グランジュテ。羽をばたばたさせて着水。アラベスク。このアラベスク、DVD版ではアダムが画面から切れてるのでむかつきますよね。白鳥たちも次々に飛来してきて着水。群れの中にまぎれるように、でもしっかり王子をはたいてまた飛び去っていくスワン。飛び去る前に舞台右奥で白鳥アラベスク。ジーザスはアラベスクから爪先立ち。アダムはアチチュードからゆっくり脚を伸ばしてアラベスク、爪先立ちとすごい思い入れでやっていた、今回。視線も熱かった。白鳥たちの圧倒的な群舞が始まる。王子が群れにぼこられそうになったときリーダースワンがやってきて静止。王子と白鳥の踊りが始まる。ここの平泳ぎのようなカエル泳ぎのような振りがあまり強調されていなかった、今回は。ジーザスはやわらかいポールドブラ 手がぐにゃっと高い位置にあがっていて、脚もアラベスクはきっちり90度。男性のダンサーとは思えないやわらかさ。
 最初の白鳥ソロ。ここの出だしの踊りが私的には一番好きな振りで、後ろを向いてポーズする(ビリーエリオットのときのフェッテのあとの後ろ向きの白鳥ポーズと同じポーズ)これがたまんないんですよね~ そのあと舞台の奥右端で後ろ向いて足をあげてすっと伸ばすところ、ここが明確に違った。ジーザスは動物のようにピクンと何かを蹴り飛ばすようにメリハリをつけていた。そのあとの腰振りダンスはかなりくねっくねっとやっていて(アダムは今回はくねくねしてなかった。)そのあと王子が遂に誘われて踊りだし、スワンの体をさわると、くるっと体を反転させて何すんだよ、というところの踊りも変わっていて、スワンがアチチュードした足先に王子が恐る恐る触れると、また蹴り飛ばすという風になっていた。ここからいよいよバイオリンの独奏が始まり、スワンと王子のユニゾンになるのだが、ここ、違ってたよねー今回、王子はあんまりユニゾンしていなかった、と思った。わりとスワンがひとりで踊ってたような--ユニゾンが少なかった? そして舞台前方で王子が白鳥の首筋をつかむまえのポーズ(語彙が貧困だ)であまりにもジーザスの脚は高くあがっていてびっくり。150度ぐらい。美しい。首筋をつかんだあとスワンの頭をおさえるところが肩を押さえるように変わっていて、長い手を白鳥の首のように交叉させて王子の手を包み込むあの振りがなくなっていた。そして王子へのスリスリもジーザスはかなり動物的。スワンがひとりでちょっと踊って大きなパ・ド・シャ。アダムは音がしなかったよね、ジャンプのとき。王子にもたれかかって背中を見せる。問題のお互いのリフト。舞台の左手で今度はユニゾンで白鳥ソロの出だしの踊り、王子を背中に乗っけて、舞台右手でユニゾン、ここの王子とのユニゾンでジーザスはシェネ2回転入れていた。またリフト、そして背中合わせのもたれかかり、ここアンドリューとアダムでぐらっとしたときがあった、4月2日かな、そして最後の決めポーズでバイオリンがダン、ダンと かすかに2回なるところがあるが、ジーザスはここで憎いほど決めてくれた すなわち1回目で例の手を顔の前にたらした白鳥アラベスクポーズ決め、2回目で王子にピシッと視線。ゾワゾワー なんだこの人は。ちょっとすごい決め決め。メリハリがすごい。アダムのDVDだと最後の2回のバイオリンまで待たずに舞台のそでに消え去っていくが、ジーザスは間合いをたっぷりとって音を見事に使っていた。

surisuri

Jesus のスリスリ,相手はベン王子


4羽の白鳥のあとのスワンのソロ。ここの前半の腕の使い方がアダムはすばらしい。今回の舞台ではアダムはこれがあまり柔らかくなく、むしろドラマチックな動きをしていた。そしてだんだん舞台左端の王子に回転しながら近づいていくところがあるがここで最終日ジーザスはアダムのDVDでは1回転のところを3回転ぐらいしていたのだ、(でもこれは誰も賛同者がいないので、2回転ぐらいだったのかもしれない)最後ちょっとぐらっとなったがジーザスすごいよって感じだった。そしてジャンプしながら舞台一周してスワンソロ終了、おつかれさま。(この舞台一周ジャンプ、アンヘル・コレーラのを見てみたいと思うのは私だけでしょうか、スミマセン)
 ビッグスワンのあとコーダ。舞台左手奥から飛び出してくるスワンと王子。ジーザスは舞台前方右手で頭がお尻にくっつくぐらいのえびぞりジャンプ。ホントに鳥だ、コイツは。そのあと舞台中央で1回転するスワンにさっと王子が走りよってきてホールドし、2人で去っていくシーン、ホールドのときぐらっとするのを何回かみた。4月5日ソワレのアンドリューとジーザスは完璧だった。ジーザスが眼でアイコンタクトしていたもの。もっとも至福の瞬間が終わった。


 3幕 ストレンジャー 

 2度目のファンファーレが鳴り響き、ストレンジャーがバルコニーの手すりの上をよっぱらったように歩き、舞台に飛び降りる。かけよる王子をねめつけ、執事の紹介で女王様にごあいさつ。ご存知手なめあげベロローン、ムチで首を引き寄せ、ネコじゃらし。かけつけ三杯。三人の王女たちと濃厚ダンス。ここ!、ジーザスには悪いがやはりアダムの独壇場といえるだろう。このあとの黒鳥のソロは無茶ラテンのり。グラン・ジュテは脚が180度で美しい。見ている人や王女たちに見せつけるように腰を突き出し挑発。(やらせろよ、みたいな)ジーザスかなりエッチ。お楽しみ3回転のピルエット、2回転のザンレール、腰をくねらせ舞台右手に2回転シェネ、テーブル飛び乗り。ブラボー。
 アダムと違うのはスペインの踊りのとき、男にも粉をかけていたというところ。ジーザスのストレンジャーはバイのストレンジャーだ。アダムは男全員敵に廻して女は全部オレのもの、という雰囲気だがジーザスは男も女もカモーン、OK、遊ぼうよ。ジーザスストレンジャーの憎むのは王子だけなのだ。王子を孤立させ、破滅させるジーザスストレンジャー。
 イタリアの王女の靴を脱がせるとき、4/5か4/6のいづれかで、靴を放り投げずに、そばにいた男性に「ハイ、」って渡していた。ご丁寧に二つとも。渡されたほうもちょっと困った(演技?)していたような。すごおくジーザスお茶目!!
 チャルダーシュでは、床を踏み鳴らして王子にガン飛ばしていて、そこらの不良にいちゃんかいという感じだった。(アダムだとノーブルなのになんで~)
 クイーンとのダンスの途中で上着を脱ぎ捨てるシーンありますよね。そこで、アダムは普通に脱ぐところ、荒っぽく脱いで上からそでに投げ捨てる、というワイルドさを見せていた。これは後半は多分ずっとやってたかな。
 自分のオリジナリティを常に探求している、というかアドリブか、ジーザスいいよお~。
 王子とのタンゴは、すごくエッチ。エロ。アダムが1回転のところを2回転していた。
 黒鳥32回転の集団群舞の前に、パンパンと2回手拍子を打ち鳴らし、皆を引き連れてダーッと前に出てきてタップ。ラテンのりでサイコー。



 4幕 スワン ベッドの上に現れたときから傷だらけ血だらけ、振り返ったその表情は悲しみに満ちている。王子がベッドに登ろうとすると、ビクッとこわがる。これは今回の新演出。こわがらなくていいよーと王子が近づきすがりつく。その瞬間白鳥の群れが現れる。王子はベッドから転がり落ち、ボコられて死んだように見える。ザ・スワンは神々しくベッドの上に立ち上がり王子を助けに降臨する。白鳥たちを追い掛け回して追い払い(ここもDVDにはない)王子を起こそうと必死でつつく。腕の下に頭を差し入れ持ち上げようとするが、力なく、腕は床に落ちる。ここの演出も新しい。きっと見にきた人の80%はここでウルッときているはず。王子が死んだ!と思って驚愕して後ずさり、白鳥の歌。悲痛な叫び。王子が生き返ってつかの間の幸せ。また獰猛な白鳥たちが現れてベッドの上に鈴なりになる。ザ・スワンの戦いが始まり、蹴るように足を高くあげるア・ラ・スゴンド。ジーザスのは高く、美しい。最初のほうからジーザススワンがこうだったかわからないが、白鳥たちと戦い、だんだん目が見えなくなって視線が虚ろになり、舞台左手のほうでひざをついて、がくっとなったりして観客の涙を絞る。これも今回の大きな変更だ。ザ・スワンは白鳥たちにベッドの上に拉致される。そしてついにザ・スワンは力尽き、ドラマティックに倒れる。この倒れ方もいろいろで、DVDアダムは両手正面落ちだが、今回は片手サイド落ちというのが流行っていたような気がする。
 ジーザス、もう瀕死なのになおもベッドの上で立ち上がろうとして倒れそうになりぐらぐらゆれるというすごい名演を見せている。観客の85%はもうここで涙ボロボロ。このへんの振付はまったくジーザス独自のもののように感じられる。(アダムの場合はベッドの上の同じシーンでは王子に助けの手をのばして真剣なまなざしで、早くこっちへ来るんだ、みたいな演技だった。つまりアダムのほうが自己中心的でなく、王子との関わりという白鳥のあり方を見せていたという気がする。ようするにこのシーン王子が中心なのかそれともスワンなのかという意味で、ジーザスは全ての視線を自分にひきつけるべく演技していた、と言える。)
だいたい今回の公演は、4幕の振付がDVD版に比べるととてもドラマティックに、悲壮に、残酷に、変えられている。王子を助けにきて白鳥たちを追い払うときに、今回は白鳥たちを追いかけまわさなければならなかったし、白鳥たちとThe Swanとの戦いに、傷ついていくThe Swanの演技が付け加えられていて、The Swanが弱って死んでいく姿が克明に演じられている。白鳥たちもなんか残酷になってた気が--- ボーンってよほど舞台でのイジメのシチュエーションが好きみたい。ここまでやるかというぐらい残酷なのがお好みらしい。
 最後に幼年の王子を抱きしめベッドの上に窓に浮かび上がるザ・スワン。今回は一貫して横抱き(お姫様抱っこ)でなく王子の顔の見えない縦抱き。このほうが軽いんだよね。今回は幼年の王子を大人が演じていたので重かったのでしょう。ヤングプリンスが白鳥との兼任なので顔を隠すために、というのもあったのか。このときのザ・スワンもバリエーションあり。じっと空間を凝視したまま、とか、ゆらゆらと王子を揺らすとか、そっと王子に頬を寄せるとか。いずれも良かったですよー。


 くだらない話ですが、ジーザスって初めて見た時、無茶苦茶眉毛が長かったんですよ。ぐる~っと下のほうまで下がり眉で。ところが別のプライベート写真をネット上で見たら、剃ったらしく、眉が短いんです。剃ったんですよね???
 きっと今、日本のジーザスファンの人口はかなり減っていると見た、ソウルに向かっているに違いない!(5/17)5/20がソウル公演初日だよね。



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