バレエ鑑賞記~生BalletLive

2003年6月13日 川口リリアホール
シルヴィ・ギエム プロデュース 三つの愛の物語

「三人姉妹」原作;チェーホフ「三人姉妹」
      振付;マクミラン
      音楽;チャイコフスキー
      初演;1991年2月 コヴェントガーデン
      マーシャ;ギエム、イリーナ;エマニュエラ・モンタナーリ
      オリガ;ニコラ・トゥラナ
      ヴェルシーニン中佐;ジョナサン・コープ
      クルイギン;アンソニー・ダウエル
      ソリョーヌイ船長;アンドレア・ヴォルピンテスタ
      トゥーゼンバッハ;ルーク・ヘイドン ほか
      ピアノ生演奏;フィリップ・ギャモン
「カルメン」 振付;アルベルト・アロンゾ
      音楽;ビゼー/シチェドリン
      初演;1967年、ロシア ボリショイ劇場
      カルメン;斎藤友佳理
      ホセ;首藤康之
      エスカミリオ;高岸直樹
      ツニガ;後藤晴雄
      運命(牛);遠藤千春 
      &東京バレエ団
「マルグリットとアルマン」
      振付;フレデリック・アシュトン
      音楽;フランツ・リスト
      初演;1963年 コヴェントガーデン フォンテーン&ヌレエフ
      マルグリット;ギエム
      アルマン;マッシモ・ムッル
      アルマンの父;アンソニー・ダウエル ほか
      ピアノ生演奏;フィリップ・ギャモン

 「三人姉妹」
   幕が開くとひとり椅子に座っているマーシャ。
   奥に、食堂で談笑する人々の姿。
   三人姉妹の例の抱き合ったポーズで始まる。
   そこにヴェルシーニンがやってくる。次女のマーシャは恋に落ちる。
   ヴェルシーニンのソロ。
   イリーナをめぐって、ソリョーヌイとトゥーゼンバッハが争う。ビデオ版ほどのリフト連発ではないがリフトあり。
   クルイギンは妻マーシャをとられて苦悩のダンス。
   長女のオリガが慰めるが、オリガの愛は報われない。
   ついにヴェルシーニンとマーシャは逢引する。
   美しいダンス、リフト、ジュテも満載。行為が終わり(?)マーシャは涙する。夫への良心の呵責でひきさかれ、泣き伏すマーシャ。クルイギンはピエロのかっこで慰めようとするがますます泣いてしまう。
   そして三女をとりあっていた二人はついに決闘へ。トゥーゼンバッハは死亡。
   雪が舞い落ちる中 三人はまた抱き合う。幕。

 ギエムは背が高い。開脚がすごい。サポートいらない。アラベスクサポートなしで完璧にポワントでバランスしていた。この演目は地味なのだが、お客さんの反応がおそろしいほどなくて、拍手しようとすると誰もしない、という状況でけっこう汗した。
 ダウエルのソロでようやく拍手。酔っ払いのおじいさんの椅子とのダンスで拍手。シルヴィとコープの逢引のシーンのダンスでも拍手でないんだもん。
 ギエムはマーシャのキャラクターではない。マルグリットのキャラクターは合ってたけど、押さえた感情というのが合わない? クルイギン捨ててさっさと駆け落ちしそうなキャラクターだもんね。
 ジョナサン・コープのジャンプ、両足を横に180度に思いっきり開くジャンプ、ムハメドフがビデオでやっていたのと同じのをやっていた。これはむずかしそー!足つるよね。力強さはやっぱりムハメドフかな。
 ダウエルはいぶし銀。ダウエルのソロダンスはほとんどビデオと同じと思った。

「カルメン」
    舞台には闘牛場のフェンスのような半円形の壁がセットされていて、椅子の上の人々が見つめる中、カルメン(斎藤友佳理)が踊っている。
    そこへツニガ(後藤晴雄)が登場。
    ホセが登場。ツニガとのユニゾンの踊り。ピッタリ!合っていた。
    ホセは軍隊の帽子をかぶり、制服着ている。首藤、おもちゃの兵隊みたい。
    おもむろに帽子を脱ぎ、ホセのソロ。す・ば・ら・し・い!!!!!!
    白鳥の100倍すばらしい。動きの全てが芸術。ひとつひとつのムーブメントが生きた宝石のよう。
    繊細で、指の先まで美しい。ものすごーいオーラを放っている。このソロ、鳥肌なんてもんじゃない。孤高の首藤、面目躍如だ。哲学的レベルはルグリの域に達している。表情は苦悩に満ちている。髪形が白鳥の時よりちょっと伸びたぐらい。

    暗転。カルメンと闘牛士(高岸)が踊る。カルメンは闘牛士の牛になって遊んでいる。それを背後からジトーと見つめるツニガ。何もせずに帰っていく。
    ホセとカルメンの濃厚な愛のダンス。ホセは白いシャツに黒いタイツと衣裳が変わっている。首藤、役柄に入りまくり。恍惚の表情を浮かべていた。完全に入っている、やばいぐらい。いっちゃっている。リフトだらけでかなり難しいデュエットだ。重いだろうに。完璧すぎる首藤。ほんとにあの白鳥は何だったの? ピルエットも完璧だし…。

    暗転。トランプ占い。ホセとカルメン、ツニガと運命(牛)が4人で踊る。
    牛がいい!この女性、遠藤千春。シャープでよかった。

    暗転。そして悲劇の幕開き。闘牛場。ホセとカルメン、闘牛士と運命(牛)、狂おしい4人のダンス。ついにホセがカルメンを刺し殺す。
    ワンタイミング遅れて、闘牛士が牛を刺し殺す。
    確かにここの演出、刺し殺すタイミングは同じでも良かったかも。
    刺されたカルメンは「嘘でしょ?わたしが死ぬなんて?」と笑って死ぬ。
    茫然自失の首藤。幕。幕をひき始めた瞬間にブラボー!!コール。
    良かった。首藤、すごかった。美しかった。
    カーテンコールも白鳥のときの素の首藤ではなく、ホセ入っちゃってる首藤でした。

    アロンゾ版のハイライトということで、パンフに書かれている情報より割愛されていたようだ。(実はツニガとエスカミリオ(エスパーダ=闘牛士)の見分けつかなかった、ごめんなさい。事前にパンフのストーリー読んどきゃ良かった。ツニガがけっこうキーポイントだったとは… zuzuさん、おっしゃるとおりでした。ご指摘ありがとうございました。助かりました。)

「マルグリットとアルマン」
    幕が開くと、ベッドが一つ。そこに病床のマルグリットがいる。壁に大きくアルマンの写真がスライドのように大きく映し出されている。これはマルグリットの幻想らしい。でもこのアルマン、ル・リッシュなんだけど。(え!ヌレエフという意見も)そして過去へ…
    場面が変わり、華やかなパリの社交場で男達と笑いさざめくマルグリット。真っ赤なドレス。そこへ登場する運命の男、ムッルのアルマン。登場した瞬間、ヌレエフか!と思った。腕の伸ばし方がヌレエフっぽかった。ムッルはイタリア人、ラテン系なので、すごくセクシーなアルマンだ。マルグリットは恋に落ちる。
    場面変わり、田舎のマルグリットの別荘で愛し合うふたり。マルグリットは清楚な白のドレス。アルマンが有頂天で出かけ、そこへアルマンの父、ダウエルがやってくる。ダウエル、またクルイギンとは違う、キャラクター見せてくれた。クルイギンは何のとりえもない普通の平凡な男。浮気している妻を叱ることも出来ない男。アルマンの父は上流の威厳のある厳格な頭の固い父。アルマンの父は別れるように頼む。というかオペラ版だとせつせつと懇願するわけだが、妹が嫁に行くので、とか、しかしこのバレエ版では懇願するというより、命令するって感じだったね。だから別れる必然性がちょっと理解できないかも。そしてマルグリットが泣き、そこに帰ってきたアルマンと涙を隠して明るく振舞い、眠りに落ちたアルマンを残してひとり去るマルグリット。個人的には「プロバンスの光と海」だっけ、オペラ版で父がアルマンを慰めるいちばんいいところの場面がないのはいただけない。
    場面変わり、社交場でもとのパトロンと腕組んでるマルグリット。黒のドレス。そこへ復讐に燃えるアルマンが登場。彼女をさんざん侮辱する。宝石を引きちぎり、引きずり倒し、ついには金を投げつける。いいねーここのダンス最高でした。こういうサディスティックなの好き。
    場面変わり、病床のマルグリット慰めるアルマンの父。そんなんだったら最初から別れさせるなよ、といつも思いますよね、このシーン見るたび。アルマン登場する。ふたりの狂おしいダンス、昔見たプルーストの「失われたときを求めて」を思い出すようなリフトがあった。まとめていた髪をほどいて赤い長い髪をたらして踊るギエム。顔にかかった前髪をやさしくムッルが払ってあげていた。そしてマルグリット死亡。目が開いたまま死んでいたと思う。何かこれがゾクッと来た。普通、目、閉じて死ぬよね。アルマン悲しむ。幕。大拍手。

 感動でしばらく拍手できなかったほど。お話に入り込んでしまった。拍手するタイミングも考えることもないほど。終わった瞬間すごい客席の反応。
 ギエムのファンがすごくて、花束の嵐。花束ひとつもムッルやダウエルもらえず。何十個も花束もらったのに。カーテンコールもすごかった。何回もやってくれた。さすが、プロ、ギエム。スーパーバレリーナ。BG(ビフォア・ギエム)AG(アフター・ギエム)って言葉があると聞いたが、そんな伝説的な人なんでしょう。
 ピアノ生演奏がすばらしく良かった。でもオケも聞きたいなー。
 ヴェルディの椿姫の音楽じゃなかった、リストだったけど良かった。知ってる曲だった。


Sylvie Guillem Index


2003年5月10日 上野・東京文化会館
マラーホフの世界バレエ全幕プロ「眠りの森の美女」オーロラ姫;マラーホフの秘蔵っ子、ポリーナ・セミョーノワ &東京バレエ団




AMP「白鳥」後遺症まだ治ってなくて、リハビリしようと思ったけど、やっぱりダメ。なんか満足できない。もしかしてもうクラシックバレエだめな体にされてしまったかも!ボーンマジック恐るべし。どうしよお…

やっぱり「眠り」だから当然だけど、1幕、2幕とマラホ様が出てこなーい!! やっと2幕でセミョーノワ出てきて湧いて、という感じ。

 1幕のカラボス きょうはセカンドキャストの日だったので井脇さんではなかった、が、非常に良かった、このカラボス。踊りがシャープ。リラの精の人、無茶苦茶細い!!望遠鏡で見るとビックリするよネ、背中とか…すごーい細いのよ。この人もとても上品で良かったよ。

 2幕セミョーノワ。バランスがすごい。ローズ・アダージョ すさまじいバランス見せてくれた。私的にはポリーナちゃん、上品さとか体の動きの美しさとかはあまり感じなかった。表情もちょっと堅かった?顔が無茶苦茶小さいのよね、首長くて。日本人の顔の半分の大きさです。

 3幕、マラホ様登場!黒の衣装に金の縫い取り。金髪が美しい。あっさりオーロラが目覚めてお楽しみのシーンへ。やっぱここまでが長いよネ、眠りは。

 青い鳥の相手のフロリナ王女、良かった。日本人の中で一番良かった、踊りとしては。だいたいここまで登場しなかった青い鳥とフロリナ王女がなぜ唐突に出てくるのか、このストーリーってほんと強引だよネ、なんで長靴履いた猫まで出てくるんだ! きょうは赤頭巾ちゃんが出てこなかっただけまだましだけど…。長靴履いた猫の人、すごい太股してるんです。きっとすごいジャンプ力なんだろうなあ、でも長靴猫の衣装はひどすぎる。派手すぎだよ。

 肝心のマラホ様は。やはり疲れてるみたい。とっても上品で気品があるんだけど。ABT「海賊」で奴隷商人演じたマラホ様があまりにすばらしかったので、王子様のマラホさまも見たかったのだが、デジレ王子は見せ場が少な過ぎる!


2002年9月
アメリカン・バレエ・シアター ABT ガラ公演
上野 東京文化会館


出演者;ニーナ・アナニアシヴィリ
 ホセ・カレーニョ
 アンヘル・コレーラ
 アレッサンドラ・フェリ
 パロマ・ヘレーラ
 イーサン・スティーフェル

記念すべき私のバレエ鑑賞再開の第1回目。
 「眠りの森の美女」のオーロラ姫とデジレ王子のパドドゥ、アナニアシヴィリがとりで出てきて、カレーニョと最初の出だしでグラッとなってニーナがおおげさに顔をしかめて見せたのが記憶に残っている。私ってどうしてこういう失敗ばかり覚えてるんだろう。ニーナは完璧なプロポーションと完璧な技術と完璧な自信を有するバレリーナですね。



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