今は朝日新聞を定期購読していないが、定期購読していた頃は毎週水曜日の天野さんのコラム「CM天気図」(連載開始当初(1984年4月)「私のCMウオッチング」)を読むのが楽しみであった。その天野さんが去年の10月20日に亡くなり、本作は30年分の同コラムからの傑作選。「僕は5回も倒産を経験した」とかの重めの話題ですら、天野さんのペンにかかると「軽めの笑い」を誘ってくれる軽妙洒脱さが楽しみで読み続けた。落語の古今亭志ん朝に通じる、軽さ、端麗な笑いが身上。亡き、大滝修治さん、開高健さんの話題も味わい深い。個人的には、「軽めの笑い」が感じられるコラムがやや少なく、バブル、昭和の終わり、不況、格差社会、新世紀、震災、原発事故、オリンピックという「編集者の意図」に合うコラムばかり「選抜」されていて、天野さんの「軽めの笑い」の真骨頂があまり出てきていないことが不満。天野さんの「軽めの笑い」は今のマスコミ、ジャーナリズムが生き延びるために失った、「体制に対する批判精神」。箭内 道彦のあとがきも良し。「僕らは自分の作ったCMが「CM天気図」で天野さんに取り上げてもらえることを目指して頑張って来た」。真のインテリ、天野さんのご冥福を祈ります。
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