土曜の昼下がり。珈琲を片手に「 Keith Jarrett - THE KÖLN CONCERT 」を聴きながら、一気に読破。これ以上の至福の刻(とき)はないかも知れない。本作のレビューで「自分は災害を受けた当事者で、警察は、ご遺体の確認等で、全く動けなかったのが事実」で「記者松本を救って津波の犠牲となった少林寺の住職,心赦和尚」に対して警察が「何か出来たはず」もない、パズルを当てはめるが如く、書かれた本作品は秀作たり得ないとあった。
しかし、作者の真山さんはそんな批判を十分覚悟の上で本作を書いたと思っている。 本作に関するロングインタビュー の通り、真山さん自身、95年の阪神・淡路大震災で被災している。「小説家としてなかなかデビューできない」時期で激しい揺れの中で「ああ、これで小説家になれずに死ぬんだ」と悲しく思っていたことをよく覚えているそうだ。少し経ち、精神的に落ち着いてきたときにテレビの報道などを見ていると、「なぜ自分が生き残ったのだろう」と思い始める。そんな真山さんがパズルを当てはめるが如く、本作を書いたとは到底思えない。
「自分でしか書けないこと」を書きたい真山さんの気持ちが本作に迸る。その一つはかつてY新聞の記者だったころから感じていた、「亡くなった方への敬意とは、目を逸らしたり隠すことではなく、見て感じる、伝えること」なのにマスコミが死者に向き合った報道をしないこと。もう一つは『「なんで自分が生きているんだろう」とか「なぜ、私はいつも間違った選択をしてしまうのだろう」と、過ちを犯したことに取りつかれている』人に「人生の選択には過ちはない、人生から逃げることなく、懸命に生きる」しか術(すべ)はないと多くの同じ悩みを持つ人に知って欲しいとの思い。
主人公の大獄圭介は「そこまで死者、心赦和尚」を冒涜しても良いのかという自責の念、「心赦和尚」に命を救われた松本真希子からの批判の中で「葛藤や失望、苛立ち、安堵など極限状態の中での感情や選択」をしながら、今を一生懸命に生きている。パパから見ても「そこまで記者は報道するという美名で踏み込んで良いのか」、「書かないという選択で気持ちが楽になるのに」、「家族とノホホンと生きれば楽しいだろうに」と大獄のサディスチィックに自分を苦しめる姿は痛々しい。だが、これが不器用な、ジャーナリストたる大獄圭介の「今を一生懸命に生きる」ということだ。
心赦和尚に救われた弁護士布施一輝や暁光新聞小島(下品極まりない男、とても新聞記者らしい男)が本格的に登場する、終盤はじっくり書き込んで欲しかったし、大嶽圭介と妻との葛藤、田村景子と心赦和尚とのありのままの生活をもっと描いて欲しかったので、-★で★★★★。布施一輝と心赦和尚との殺人事件の顛末への関わり方は途中で予測出来てしまったことも-★かな?と思う要因。「なるべく早く本作を世に問いたいという真山さんの怒涛の意思」が「雨に泣いてる」を書かせたように感じるが、真山さんの筆力からすると「もう少し溜めて」書けば完成度が上がったはず。大嶽、宮村、遠藤のチームワークも感動モノ。大嶽が宮村、遠藤ら次世代を鍛えつつ、リーダ大嶽を宮村が急所でencourageする。「傘を打つ雨の音が一瞬聞えなくなるくらいの闘志を、宮村からもらった気がした」(P.289)と独白する一文がお気に入りだ。
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「THERE IS NO GREATER LOVE」
(GEORGE COLEMAN、MILES DAVIS)
(10分02秒)
<SONY SICP-823>
「THERE IS NO GREATER LOVE」
(GEORGE COLEMAN、RON CARTER、
JIMMY COBB、MIKE STERN)
(9分02秒)
<CHESKY RECORDS UCCT-1063>
「VASHKAR」 (CARLA BLEY)
(7分22秒)
<ECM ECM 2287>
「BEADS」 (CARLA BLEY BIG BAND)
(8分28秒)
<WATT WATT 27>
「FOREST FLOWER-SUNRISE」
(CHARLES LLOYD)(7分17秒)
<ATLANTIC WPCR-25117>
「INVITATION」 (CHARLES LLOYD)
(10分36秒)
<BLUE NOTE 471-2598>
「AH GEORGE,WE HARDLY KNEW YA」
(DON PULLEN)(18分21秒)
<BLUE NOTE TOCT-5968>
「BACKGROUND MUSIC」
(LENNIE TRISTANO)
(8分10秒)
<UPTOWN RECORDS
UPCD27.78/27/79>
「A NEW BEGINNING」
(DAYNA STEPHENS)(6分36秒)
<CRISS CROSS JAZZ 1377 CD>
「BLUES UP AND DOWN」
(DAYNA STEPHENS)(5分49秒)
<CRISS CROSS JAZZ 1377 CD>
「TOKYO DATING」 (渡辺貞夫)
(7分29秒)
<VICTOR VICJ-61736>
「MY DEAR LIFE」 (渡辺貞夫)
(6分36秒)
<VICTOR VICJ-61736>
<< 19th/Apr 2015 (Sun) -セッション2015 -大村朋子カルテット- NHK FM>>
「C Jam Blues」
(2分40秒)
「Moose The Mooche」(4分03秒)
「ゲゲゲの鬼太郎」(8分14秒)
「Out of Nowhere」
(7分38秒) (バイオリン)大村朋子
(ピアノ)グレン・ザレスキー
「さくらさくら~ソーラン節(メドレー)」(14分03秒)
「茶摘み」(8分15秒)
「あんたがたどこさ」(8分50秒)
(バイオリン)大村朋子
(ピアノ)グレン・ザレスキー (ベース)安ヵ川大樹
(ドラムス)柴田亮
<< Apr 22th 2015 (Wed) - 'Pars Orpheus' <春爛漫を満喫!> >>
21:08 "STORY TIME" NE-YO
21:13 "HIS EYES IS ON THE SPARROW" FRANC MCCOMB
21:15 "WHY DON'T YOU BELIEVE ME" NATALIE PRASS
21:19 "WILLOW WEEP FOR ME" AKIKO
21:27 "I'LL BE THERE" CHIC F/NILE RODGERS
21:32 "BUTTERFLY" JASON MRAZ
21:40 "THESE DREAMS" 佐藤竹善×QUASIMODE
21:46 "SUMMER CAULDRON~GRASS" XTC
21:51 "NOSSA COPACABANA" JOAO SABIA
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「BRING HIM HOME」
(MELISSA ALDANA)
(5分10秒)
<CONCORD JAZZ UCC0-1147>
「DON’T DRINK THE WATER」
(NOAH PREMINGER)(5分24秒)
<PALMETTO PM 2163>
「SHAPES」 (MARCUS STRICKLAND)
(6分22秒)
<STRICK MUZIK SMK 005-6>
「SEEMS LIKE YESTERDAY」
(DAYNA STEPHENS)
(7分34秒)
<CRISS CROSS JAZZ
CRISS 1377 CD>
「ABOUT 360」 (WALTER SMITH III)
(4分08秒)
<WALTER SMITH III 5640488380>
「CAR-CAR(THE BLUES)」
(J.D. ALLEN)(4分18秒)
<SAVANT SCD 2139>
「POWERFUL PAUL ROBESON」
(SEAMUS BLAKE、
ERIC REED QUARTET)
(7分59秒)
<SMOKE SESSIONS RECORDS
SSR-1410>
「GIBRALTAR」 (DAVID SANCHEZ、
SF JAZZ COLLECTIVE)(9分27秒)
<SF JAZZ COLLECTIVE 2013>
「FAST FUTURE」 (DONNY MCCASLIN)
(5分54秒)
<GREENLEAF MUSIC GRE-CD-1041>
「チュニジアの夜(A NIGHT IN TUNISIA)」
(DEXTER GORDON)(8分16秒)
<BLUE NOTE CJ28 5054>
「SUNNY」 (PETER HAND)
(7分10秒)
<SAVANT SCD 2141>
「SUMMERTIME」 (PETER HAND)
(8分06秒)
<SAVANT SCD 2141>
「WILLOW WEEP FOR ME」
(SINNE EEG)(5分17秒)
<COLUMBIA COCB-54152>
「NOVEMBER」 (JACKY TERRASSON)
(6分28秒)
<IMPULSE! 0602547127488>
「MALADIE D’AMOUR」
(JACKY TERRASSON)(3分19秒)
<IMPULSE! 0602547127488>
「SOME OTHER TIME」
(PAT BIANCHI TRIO)(7分04秒)
<21-H RECORDS 21H001>
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