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2004年05月30日
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亀3部作(←いつの間にタイトルが^^;)、最終回であります。

中国地方某県にて旧交を温めた友人のHPにですね、私のことが書いてありました。
そうです、例の亀の一件です。
「元々が、鶴亀千年、たり万年の呑気モンと評判で・・・」
ちょっとちょっと、初めて聞くのですけれどーっ(爆)
「一つ人より犬が好きってくらいの犬フリークで・・・」
当たっていなくもないけれど、電脳世界にまで宣伝しないでおくれ(汗)
「迷い込んできた犬と遊んでいたら(茶会の)席入りに遅れた逸話を持ち・・・」
だーっ、うるさいなぁ、昔のことをいつまでもっ(爆)

・・・言いたいこと言ってくれるやんか、ふふふのフ。
誰のテンポが亀と一緒だとぅ??? うっきー!(><)

閑話休題・・・ちとムッツリ。
見当外れな(←ここ重要☆)友人の評価は横に置きまして、今回のキーワードは 「竜宮城」 でありまする。
竜宮城と言えば浦島太郎で、浦島太郎と言えば玉手箱。
件の御伽噺の不思議かつ不愉快な点は、「開けてはいけない」 玉手箱を、何故わざわざ持たせたかに尽きるのではないでしょうか。
竜宮城での手厚いもてなしを受けた後だけに、太郎のショックと絶望は計り知れません。
異界の者が、彼らにとっては短命で卑小なる人界の者をアップダウンで嘲弄した・・・ということなのでしょうか?
もしもそうであれば、この上なく嫌な話であります。
日本で小学生をやれば、その気がなくとも耳に入る噺であるだけに、ずっとスッキリしない気持ちでした。

この点への疑問に、多少・・・完全にとは言いませんが、それなりに腑に落ちる説明を得ましたのが、実はほんの10日ほど前です。

鏡花の戯曲の中では評価が低いようなのですが、私は割と好いています。
ちなみに主人公の海神公子は、乙姫の弟という設定なのですよ、御存知でしたか?^^
姉の乙姫は竜宮城、弟公子は琅かん(「王干」 ←という字です。出ないので、合成)殿に住んでいます。
琅王干とは、極上の翡翠の一種です。 優雅な殿舎名ですねぇ。

蛇足ながら、『海神別荘』 の粗筋をば。

お嫁様は、その父親が海の幸を祈願して公子が応じたことで、いわゆる生贄として海に沈められた娘です。
人目には溺れ死んだはずの娘は、公子から遣わされた侍女や海の兵士らにかしづかれて、花嫁衣裳で海底の琅かん殿に向かいます。
着いた時こそ、公子の竜神姿(鮫にさらわれた侍女を救った時のままの龍の鎧を着けた状態で対面したので)に怯える彼女ですが、綺羅を尽くした殿舎や、与えられた豪華な装飾品、登仙風味の美酒などなどで、すっかり夢見心地です。 もはや、生贄であった哀しさも過去のものです。
陶然とした彼女は、公子にねだります・・・自分のこの姿を、里の者に見せたい、と。
生きていることを知らせたいだけとの殊勝気な言葉の裏にあるのは虚栄であり、公子は即座に見抜きます。

「貴女は栄耀が見せびらかしたいんだな、それは不可(いか)ん。 人は自己自分で満足せねばならん。 人に価値(ねうち)を付けさせて、それに従うべきものじゃない」
「人は自分で活(い)きれば可(い)い、生命を保てば可い。 しかも愛する者と共に活きれば少しも不足はなかろうと思う」
「宝玉とてもその通り。 手箱にこれを蔵すれば家宝そのものだけの価値を持つ。 人に与うる時十倍の光を放つ、唯(ただ)、人にみせびらかす時その艶は黒くなりその質は醜くなる」

・・・何度読んでもドキリとします、この下りの台詞。
公子は、つまり、人間であれば多少なりとも持つ見栄などの感情一切を捨てて、海の人、つまり異界人となれと言っているのですね。
人界での価値判断を捨てて、もっと大らかなる境地に来なさい、と。
泉鏡花の代表作として有名な戯曲に 『天守物語』 や 『夜叉ヶ池』 がありますが、登場人物はいずれも、純粋な真情と熱い想いによって異界の存在から認められ、永遠の幸福と命を得ます。
『海神~』 の娘も、見栄に迷いはしますが元は親のエゴにも逆らわず、これも孝行と思い定め、逍遥と海に沈んだ身です。
鏡花作品の中では、異界=真理の世界 なのですね。
到達できる人界人は、異界人の心を動かすパッションや純情を尽くした、選ばれた人だけなのです。
私達のよく知る一例は、「お七」 です。
御存知、焼け出されて避難したお寺の小姓に恋焦がれる余り、再会するために放火の大罪を犯した17歳の江戸娘ですね。
お七は火刑になりますが、『海神~』 では、意気に感じた乙姫が、お七の魂を竜宮へ引き取り、幸せに暮らさせているという設定です。

ここで話を浦島太郎に戻します。
「魂を引き取る」 という箇所に、ピクリときました。
引き取るからには、保存されているはず・・・そのまま適当にウヤムヤってこともないでしょう、多分。
もしや、太郎の魂は・・・竜宮に行った時点でパック詰で永久保存されるはずだったけれど、本人が帰りたいと言うからには、一緒に持たせない訳にはいかなかったのかなぁ、と。
魂なくしては、人界では生きられませんからね。
出来れば開けて欲しくないけれど、人界に戻っては不可欠のものだから、開けざるを得ない意味深な言葉と共に玉手箱を持たせたのかなぁ・・・と、こう思ったわけです。

鏡花作品では、異界に迎えられて永遠の幸福を得るための通過儀礼(イニシエイション、ですかね。 オ○ムとは無関係で、単に人類学的用語)として、現世での生命と肉体、義理人情などとの決別を課します。
浦島太郎の場合、一度は通過出来そうだったのですが・・・ギリギリで思い切れなかったということですか。
もっとも、太郎の立場になれば!
戻ればそうなると知っていたら、戻らなかったでしょうにねぇ。
乙姫さんも、躍るタイもヒラメも説明不足でありんす(笑)
弟の海神公子は、ちゃんと彼女に説明して実際に体験させて、納得させた上で改めて婚姻の儀を交わすのですよ。
女は結局、意地悪・・・という感じでありましょうかね。
かなりの部分に私なりのオチがつきましたが、この点はまだ、未消化であります(笑)

ま、うかうかと亀関係には手を出さぬが花ということですネ。
オシッコされても嫌ですし、事後保障もなく別天地へ連れて行かれても困りますし、ストイックな禅宗もイヤ~ンだしぃ。
私は、やっぱり現状で呑気にホケホケしていたいです。

長々と書いたくせに、こげなオチで申し訳ないことです、ハイ(^^;





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最終更新日  2004年05月31日 02時01分38秒
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