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非常線
最初に戻る「貸室有り」序章
前へ戻る…藪中荘の殺人
非常線
6・非常線の中で
警察を呼んだ後、現場はすべて県警の仕切るところとなった。
現場一帯に非常線を張り、山奥と美雪は現場で状況説明をした。
吹雪はやみ陽がさし、静かな街中の一角を、警察車両がとりまいている。
周りに人もあつまり始めた。
担当刑事は、千戸警察署、捜査一課の警部、宮蔵 直行(みやくらなおゆき)。
40代半ばで、背が高く、細く鋭い目つきの刑事だった。
出身は千戸と反対側の津軽だが、数年前から南部地方に配属となったという。
美雪はなくし物をとりに警察へ行ったことがあるだけなので、殺人課の刑事を見るのは初めてだった。
あと見たのは、中学生のとき家出をして補導に遭ったときの交番の巡査、
あと、和田でまだ未解決の殺人事件を聞き込みにきた刑事。
けっこうあるか…
こうして思い返すと、人生のうちで何度も警察の人間と会っているものだ。
宮蔵は、ほとんど津軽弁を話さず、津軽人特有の饒舌さもない。
かといって東京言葉も話さない。
標準語というものか…
美雪は、無感情で官僚的、という第一印象を彼に持った。
第一発見者である、不動産屋の山奥と美雪には、執拗に状況を聞いてきた。
とくに山奥などは、鍵をもって部屋に入ることのできる人物である。
また、違法なゲーム喫茶の経営にも手を染めているらしく、出頭を求めてきたので、後で刑事と一緒に千戸警察署まで行くことになった。
別件で引っ張り、詳しく事情を聞くのだろう。
警察の嫌いな山奥には災難である。
美雪に対しても、現場でアリバイその他について、くどく追及してきた。
警察は、こちらがあきれかえるほど、何回も同じ事を聞いてくるものだと思った。
担当の宮蔵は、東北大出身のエリートという事だった。
しかし、美雪には、まったく的はずれな捜査をしているように見えた。
宮蔵は、たまたま一緒に藪中荘を訪れただけの2人にたいし、
「失礼ですが、山奥さんと藤原さんのご関係は?」
と聞いてきたのである。
それに対して、美雪は、
「あたしとこの人は、縁もゆかりもない赤の他人です」
と言い捨てさらに、
「見当違いな質問より、さっさと犯人を追いかけてもらえないんですか?」
と言ってしまった。
宮蔵は、一瞬押し黙り、むっとした表情をした。
だがこの土地は、よそ者をたやすく受け入れない。
土地と役人の癒着を防ぐとかで、警察署も、南部には津軽の人間、津軽には南部の人間が配属になることがままある。
土地の事情に通じない者が聞き込みにまわっても、有益な情報を拾えない。
さらに2年おきに転勤し、よそ者はいつまでもよそ者のまま、いなくなる。
この体質が事件解決を難しくしているのだ。
これで、警官になんでも話せと言っても無理な事である。
そのことを判っていたようで、彼はあまり協力的ではない目撃者にたいし、とくに腹もたてず、淡々と捜査をすすめた。
被害者の身元は分からなかった。
外見では、年齢30代半ば、男。身長175センチくらい、中肉。顔は血でよく見えず。
黒いスーツに、黒いネクタイを締めていた。
美雪たちが最初に見たときは、コートを着ていないように見えたが、明るくなると短いカシミヤのステンカラーコートを着ていたのがわかった。
ただ、それも色は黒に近いチャコールグレーだった。
髪は散髪したばかり。
襟足はきれいに刈り込み、ひげも朝に剃ったようだった。
身元を証明するものは、何もなかった。
現場の警官たちはあらゆるポケットをさぐった。
結果、財布や、運転免許証、その他何らかの身分証明書も、何も出てこない。
そして、指紋も出てこなかった。
この寒さの中、被害者でさえ手袋をはめていた。
凶器もなく、血痕は被害者の頭部周辺にあっただけ。
犯人は、用心深く凶器をしまい込んで出たようだ。
警官たちは、残った足跡を分析にかかった。
通行人は多すぎて、これは目撃情報の提供に頼るほかない。
藪中荘の前にある、ビル裏窓の住人にも聞き込みに行った。
誰も、事件の事を知らず、物音、悲鳴も聞いていなかった。
ビルの裏には窓がないのである。
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この名作をもういちど…
6・家主の雲徳
事情聴取の合間に、山奥は通路でごもごもと文句を言いはじめた。
寒いので警察の車に乗るよう、婦人警官が2人に勧めてきた。
だが車のまわりは人垣がすごいので断った。
「もう、藪中荘はダメだな。大家にも、店子探しをあきらめてもらうしかね。あんたも、ほかを当たれ」
「どうなるんですか、ここは」
「こんな事件が起きたからにゃ、借り手はつかないし、古いから取り壊すしかないだろう。さっさと壊して土地だけでもバブルのときに売っときゃ、大儲けできたのにな。もうどうにもならん、まったく」
山奥は、眉間に深く縦皺を寄せて言った。
「警察は大家も疑うわね」
「まぁ、当然事情は聞くだろ。こういう事になったから、一応、あんたにも教えとくが、大家ってのは……雲隠徳蔵(くもがくれ とくぞう)っていうんだが、もう80過ぎの爺いだ。人殺しなんかできないさ」
「雲隠さんっていうの?おもしろい名前……」
「あだ名だよ。この辺じゃ、雲徳(クモトク)って呼んでる。本名は石渡徳蔵(いしわたり とくぞう)。もとは大地主さ。戦前は羽振りが良かったども、農地改革のおかげで、残ったのはここと山林、町はずれの宅地だけだった」
「あら、その雲徳さん、うちと同じだわ」
「あんたも落ちぶれ組かね、お家再興を狙うか?」
「なによー」
山奥がからかったので、美雪はふくれた。
「せめても、藪中荘の土地を80年代バブルの時に売ってりゃ、こんな田舎でも長者番付に載るくらい儲かったのにな。先祖伝来の土地で愛着が有るとか言って売らなかったから、いまも恩給と年金で細々と暮らす羽目になった。山だって、持ってるだけじゃカネにならねし、固定資産税も高い。…まぁ土地への執着はわからないでもないが…あれから20年間、女房に責められ通しで、昼間はいっつも家から姿をくらまし、タヌキ小路のストリップ婆さん料亭で酒を呑んでる。だから、事情を知ってる奴らが雲隠れの徳蔵爺さん、そう言ってからかうようになったのさ」
「みんな口が悪いのねぇ」
そう言う美雪も口の端が笑っていた。
「あんときゃ俺もまずいと思ったな。山奥不動産も、まだ親父の代で…雲徳があんまり頑固なもんで、親父は怒り狂ったもんだ。腹いせに母親を踏むくったら、お袋
包丁持ってきて親父に斬りつけてなぁ
。近所の奴が警察呼びやがった。なに、次の朝にはケロッとしたもんだったさ。無理もない。おかげでうちはすっかり儲け損なった。藪中荘の土地を関西の連中に仲介すれば、億の金が転がり込むとこだったのさ。ど田舎とはいえ、街中だしな。そうなれば今頃はパチンコ屋でも建ってたべ。それがいまこの時代…人殺しも出たとあっちゃ、二束三文の値段でも売れね。お荷物さ。まったく」
そう言って、山奥は大きくため息をついた。
そこへ宮蔵がやってきて告げた。
「えーと、これでいったん今日は終わりです。山奥さんは、一緒に来ていただけますか。ほかの件もありますので」
「はいはい、嫌なことは先に済ませた方がいい」
「そして藤原さんには、後日、あらためて事情をお聞きしますので、今日はお帰り下さい」
「あたしにも?もう話すことなんてないわ」
「そう言わずに。捜査への協力は、市民の義務ですよ」
「千戸市民じゃないです」
美雪は面倒だったのでささやかな抵抗をしてみた。
「だけど住民票は移したでしょ」
が、宮蔵のこの一言で却下となった。
そして現場から離れた山奥と美雪は、非常線を張った敷地内を抜け出したとたん、待ちかまえていたマスコミの取材攻勢に遭った。
地方新聞社が2つあるだけなのにどこからこれほど人が湧いてきたのか。
中央新聞の支局からも記者がやってきたようだ。
頭の整理もつかないうちに、何十本ものマイクが突き出て、質問攻撃が始まる。
誰かが聞き終わらないうちに他の記者が割り込んでくる。
だから何を聞いているのかわからない。
フラッシュをひっきりなしに焚いてくる。
ようやく聞き取ることができた質問は、
「死体を見てどう思いますか!!」だった。
気持ち悪いに決まってるだろボケ
。
PTA(正しくはPTSD)起こしそうだよ。
美雪は心の中で(あくまで心の中で)叫んだ。
二人はノーコメントを貫いて抜けだした。
美雪はタクシーを拾って自分のマンションへ逃げ帰った。
山奥は宮蔵と警察署へ行ったが、気にかけている余裕はなかった。
「では後ほど連絡させていただきますから」
現場を出るとき、宮蔵はふたたび、含みのある口調で言った。
山奥はどうか知らないが、これ以上、美雪に何を聞くことがあるのだろう。
美雪は男の撲殺死体見つけただけだ。
何の関係もないのに、痛くもない腹を探っている。
警察は、人を疑うのが商売。とはいえ…
自分は、ただのデパート店員である。
これ以上、事件の関係者と見なす必要があるのか。
7・ニュース
その日の夕方、マンションの自室に戻った美雪を、激しい疲労感と倦怠感が襲った。
自分が住みたかった部屋に、死体があった。
それも、後頭部を一撃で殴打した他殺体。
誰も、見知らぬ人物だった。
美雪はお気に入りのブーツにシューズキーパーもささず、しばらく絨毯の上にふさった。
所持品のうちでいちばん高い、東京の鍋島屋で買った柔らかい革のイタリア製ブーツを、チャックを下げたまま玄関に脱ぎ捨てた。
その状態は、さながら魚のホッケ開きがだれっと2枚いるように見えた。
が、片づけるどころの心境ではなかった。
今日あったことが、頭痛とともに頭の中を駆けめぐる。
理不尽さに腹だち、美雪はしばらくなにもする気が起きず絨毯でフテ寝した。
暖房を入れ忘れたので、寒くなって自然に目が覚め、夜中に風呂を沸かした。
(家にいたころは、こんな時親たちが面倒を見てくれたな…)
真っ暗くなった部屋の中で、苦笑した。
このマンションは、バスルームが広く、湯もすぐに沸く。
周囲に変な連中がたむろしてさえいなければ、住み心地のいい部屋だ。
あーあ、まいった。
楽しいひとり暮らしになるはずだったのに…
「なんであんなトコで死んでいるのよ、あの人…」
美雪は犯人を知らないので、被害者に怒りがむかった。
もちろん、それが理にかなわないということはわかっている。
不可思議な心理状態だ。
美雪は熱い湯につかった。
からだの疲れだけは、ほどけていった。
湯船につかって、少々気分がおちついた。
上がってパジャマを着、テレビをつける。
中央のニュースが、美雪が遭遇した事件一色である。
田舎都市で起こった、目撃者なき殺人。
もう見たくもなかったが、つい見入ってしまった。
報道の、状況説明は確かだった。
男性キャスター、海越敏太郎の、緊迫した声を聞く。
美雪好みの渋いインテリ中年だ。
「…検視の結果、犯行時刻は、遺体発見時刻の2時間から3時間前、午前9時から10時の間であることが判りました。鈍器による撲殺で、凶器は特定できていません。明日、大学病院で司法解剖を行い、詳しい死亡原因と凶器の特定を行う予定です。地元警察によると、現場には凶器も犯人の遺留品も残っておらず、捜査は難航しそうだとのことです。が、閑静な田舎都市での目撃者なき殺人は、時間がたてば経つほど解決が難しくなるものです。適切な捜査と、一刻も早い犯人検挙が求められます」
歯切れのいいニュースを聞きながら、
「そうは言っても、なかなか見つけられないのよ、こんな田舎じゃね」
美雪はテレビの海越に向かって呟いた。
「癒着防止かなんか知らないけど、津軽の警官ばっかよこしたって、地元の事情に通じてないし、だいいち2年かそこらで転勤になるからやる気もないのよ」
ひとりでごもごも言い始める。疲れたときの癖である。
男の身元は、まだ分からない、とのことだ。
興奮してよく眠れないので、冷蔵庫からビールを出し、一気に飲み干して寝た。
2005年10月25日更新
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