民営ならば
ウランの残土は、アメリカに向けての、掘り出し、函詰め、搬出作業にとりかかりました。新聞、テレビで話題騒然です。
当時、ウラン鉱石の探査を通産省が主管で、日本国中に行いました。
冷戦構造のさなかで、ウラン資源の有無は、国威発揚に関わり、重大関心事で絶対的なものがありました。
岡山県境人形峠に次いで、ここ鳥取県内東郷町方面(かたも)の発見には、県はもとより、関係者、地元あげて喜ろこんだものです。
存在が力の認識が、目的にあったので、かなりの予算投下と宣伝もおこないました。新富鉱帯発見など新聞も、定期的に発表していました。原燃所長の役目として、報道の材料作りもその一つにあるようでした。
かえって、その宣伝が、今では危険感増大して、あたかも、原子力発電所の原料と同じ様な濃縮物と同じに解釈している人が多いのです。
梨が汚染されるという意見がそれです。梨の木の下は、昔からそれらの石が風化してはいっています。それはどうします。
鉱石として、つかいものにならないので、採掘はやめになったんです。
掘り出して、積み上げれば、経済効果はなくっても、人体には、悪影響があるかもしれません。
だから、取り除こうという事になったんです。
それが、17年間、ほっておかれ、挙句、県知事も加え、裁判沙汰にして、司法扱いで、解決を仰ぐ始末までになりました。
テレビで、逐一、搬出作業を報道しますから作業者も大変です。
細い山道をキャタビラの運搬車がくぼみにはまり、車が跳ね上がり、運転手と残土が落ちるところまで放映しました。
挙句、搬出中断になり、作業方法の検討と言うことになり、工程は又伸びました。
地元の人の意見。知事の意見。アナウンサーの感想。様々。テレビ放送中です。
司法判断で、制裁金が今1日75万円。只今1億何がし円かが計上中です。
この金は、国の金です。国の金は、国民の税金です。核燃と地元の問題ではすまないのです。
残土を人形峠核燃事業所に運搬して行って、既存のものと一緒に置く計画で最初、決着していました。
ところが、事業所は岡山県だから、鳥取県が危ないものを岡山県にもってきてはならないと岡山県知事から、クレームがつきました。峠境で、鳥取県から2-3メートル入ったところです。
国家の責任できちっと折り合いをつけねばなりません。
岡山だ、鳥取だと、両方日本国内で、同じ日本人同士ですから。
でも事態は、17年間問題膠着というより、ほったらかしでした。
責任者の所長さんは、何人代わりましたか。大臣も、総理も。
挙句、アメリカに持っていく計画になり、その経費、6億6千万円です。
鉱石の価値がないものを輸出です。アメリカは、原爆実験する位ひろ所です。
そこいらに投げててそれで終わりです。
鳥取、岡山の港は使わないと、神戸の出航地の決定発表前に発言するところをみると、よほど、核燃側は鳥取、岡山に怨念を抱いたものだろうと観察されます。
特殊法人だから、これができるんです。
地元の要望、県の反対、司法の裁定、これを勘案すればやむなき処置だと、会計監査院が承認すれば済むんです。
無駄な経費の削減を、人的、科学的に最善の判断努力をしてほしいものです。
やはり、今、課題になっている、民営化問題議論もこういう事で、無駄な経費の垂れ流しをしないことではないかと思います。
たぶん、アメリカに持っていった残りの、ずりをみんな撤去せよと次に問題になるでしょう。
解決は、まだまだ、先まで続きます。ずりにも鉱石がまじっていますから、放射能反応はあります。今度こそ、持って行き場はありません。
考えなければならぬのは、国の金、税金が使われていることを、県民として、国民として責任を感じなければならないことです。
知事さん、どうか、税金使うのを、少なくするように、ずりの始末は、公園法を変えてでも、坑道に埋め戻すようにさせたらどうですか。
核燃の所長さん、優秀な地質やさんがおられるんだから、科学的に、安全性を説明して、地元の人に納得してもらいなさいよ。事務的では駄目です。