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7/14 ~ 20
退院して、同じ日にクリニックに行ったらさすがに疲れた。
家に帰って、部屋着の T シャツに着替えてソファーに寝転がった。
しばらく過ごしてから鏡を見て愕然。
胸ペッタンコ!!!
うつ向くと、右側だけストーンと気持ちよくまっすぐ下に落ちるTシャツ。
ひー、胸がないってこういうことなのか。
やばい、さすがにこれはやばい。
息子も、じきにアレって思うに違いない。
手術もしたし、そういうことだと言えばいいのかもしれない?
いや、え?どうするのがいいんだ?
わからないけど、私は取り合えずイヤだ。
慌てて、前開きパジャマを着る(手術前に買っておいて良かった!)。
おお、Tシャツよりオッケー!
さて問題のお風呂タイム。大きい鏡が待ち構えている。
傷跡を見なくちゃいけない。
恐る恐る。
お侍さんが、脇から真横に切られたら、多分こういう傷になるんだろうな。
という感じの、スパッとした切れ方。
かなり悲しいけど、
なんとか誉め言葉を探してみる。
「ブラックジャックみたい。ジャンヌダルクみたい(イメージです)。勇者の証!!」
そうだよ、乳がんと闘って健闘した勇者なんだよ。
ちゃんと褒めてあげないと、散っていった右胸もうかばれない。
私が認めてあげないと、可哀そうすぎるじゃないの。
私の身体なんだ。
私に嫌われたら、やりきれないよね。
乳がん患者・乳がん体験者のことを「乳がんサバイバー」というらしい。
サバイバー・ Survivor :生存者、生き残った人
何だかこの傷跡にピッタリな名前だな、なんて思う。
戦って、勝ち取った命。守り切った命。
手術後の傷の経過は、順調。
この手術は、身体の傷よりも、心の傷の方が、ずっとずっと大きいみたい。
身体の痛みは少しずつ良くなるのに、心の傷はおいてきぼり。
“喪失感”と表現するらしい。
そうだね、確かに簡単に言うと“喪失感”だ。
そんな言葉に収まりきらないこの気持ちは
いったいいつになったら癒えるのだろうか。
知り合いに、無事に手術が終わったことをメールで報告。
“無事に”、、、
“無事に”、、、?
私の大切な右胸と引換えなのに。
自分で言っておきながら、無事なんかじゃない、、、とも思う。
でも、大人だし、やっぱり“無事に”ってことになるか。
悲しみは閉じ込めない方がいいと思う。
だから泣ける時はちゃんと泣こう、とも思う。
涙が枯れるまで泣いてしまえ。
乳がん患者は年々増えていて、
日本人女性の 11 人に 1 人が、一生のうちに乳がんになると言われている。
女性の罹患数 1 位で、一番かかりやすいがん。
( 1 位:乳がん、 2 位:大腸がん、 3 位:肺がん、、、)
2017 年の統計では、 91,605 人が罹患。
(参考:国立がん研究センター https://ganjoho.jp/reg_stat/index.html )
何て沢山の悲しみが、この日本に溢れていて、
人知れず、どれだけの涙がこぼされたんだろう。
考えただけで泣けてきちゃうよ。
がんばれ、乳がんサバイバーの仲間たち。
生命保険会社の方から、医療保険の給付の件で電話がある。
無事に手術が終わったこと、手は上がること、むくみがないことを言うと、
「すごいですね!手術が上手な先生なんですね。
リンパ節を郭清した方は、結構手が上がらなかったり、浮腫がある方が多いですよ」と。
保険屋さんにそう言って貰えるのもうれしいものだな。
間違いなく名医です。先生ありがとうございます。
こうして現実の人と話をすると、ふと我に返る。
(いつも誰と交信してるんだ、、、?)
そうこうしているうちに、胸の傷口のあたりにリンパ液が溜まっていることに気が付く。
指で押すとタプタプしている。
傷口はあまり見たくないけれど、
先生に状況説明しないといけないし、
ちゃんと観察しないといけなくなってきた。
傷口を見たら、毎日褒めてあげることに決めた。
「ブラックジャックみたい。ジャンヌダルクみたい。勇者の証!!」
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