トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2006/09/11
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カテゴリ: 映画
inugamike

■リメイクする必要はどこにあるのかと思えるほど、非の打ち所がないじゃないか。映像良し、役者良し、脚本良し。市川昆はその上何を描こうというのか。「よき・こと・きく」三種の神事による見立て殺人。三谷が今回やるという宿屋の主人役で横溝正史本人も確かに出ていた。ついでに刑事役で角川春樹もね。

■この映画といえば湖からにょきっと飛び出したV字型の両足でしょう。それは思っていたほどおどろおどろしくなく、むしろ風景のひとつに同化しているかのような映像美だった。そうか、あの死体は彼だったんだっけ。学校のプールでこの犬神ごっこして怒られた友達を何人か知っている。

■そしてもうひとつのインパクトはスケキヨマスク!「スケキヨ、マスクを取っておやり」あの仮面をはがして見せた顔はオトナになった私が見てもちょっと夢に出てきそうなくらい怖かった。私たちの世代はスケキヨって言ったらなんたって、あおい輝彦だ。菊人形の生首も怖かった。あれ、地井武男だったんですね。あの頃の彼の顔は蟹江敬三とかなりダブる。

■遺言状というアイテムを本当に上手く使っていて、大広間、集まっている係累、登場するスケキヨ、顧問弁護士と金田一、読み上げられる意外な内容、いがみ合う女たち。このあたりの物語の盛り上げ方、緊張感は見事です。

■すごく印象に残るのは役者たちの「顔」の撮り方ですね。金田一が相手を追いつめる時に見せる目のクローズアップとか、高峰美枝子、三条美紀、草笛光子の三姉妹の表情描写とか、加藤武、小沢栄太郎、大滝秀治たちの額の皺とかね。

■市川昆という監督はかなりオシャレな撮り方をする人で、色彩のトーンを変えたり、映像のスピードを変えたり、クローズアップあり、俯瞰ありで、まるでマジシャンかってくらい凝った絵を見せる。タイトルクレジットもそののち、「古畑任三郎」や「エヴァンゲリオン」に影響を与えることになるわけだ。

■角川映画というレッテルはこの映画を語る時にはむしろ邪魔に思えるくらい良くできた映画だと思う。2時間を超える尺も途中だれるところはなく、謎解き自体の魅力は薄味なれど、俳優の演技がそれを補って余りある。特に三姉妹の貫禄はさすが。個人的には草笛光子が素晴らしい。

■それにしてもなんで今になってリメイクを考えるのかいまだによくわからない。石坂浩二はあんなに速くボートを漕げるのか、あの坂道を駆け上がれるのか、加藤武の早とちりはまだ健在なのか。大滝秀治はセリフが全部覚えられるのか。そんな好奇心みたいな興味で見て良いものだろうか。あ、スケキヨマスクの素材はあの頃よりも遙かに薄型になっているはず。そしてマスクの下の特殊メイクも30年前よりはずいぶんとまた進歩しているんだろうな。



■「前略おふくろ様」のカスミちゃんだった頃の坂口良子がかわいかった。リメイク版ではこの役、深田恭子になるそうだ。そうだよな、カスミちゃん、そのくらいの子供がいてもおかしくないわけで・・・

前略おふくろ様、カスミちゃんの娘さんです・・・

覚えてますか、あの、あなたにマフラー編んでくれたカスミちゃんです・・・





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Last updated  2006/09/11 08:21:41 PM
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ミリオン@ Re:「北の国から」を友達にすすめてみる(01/02) こんばんは。 嬉しいです。頑張って下さい…
Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…

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