とねりのテケテケノベル

とねりのテケテケノベル

第1話

この世界(グランド)の始まりは、古代書物によるとポジェタ暦元年に神はこの天地を創造したと記されている。実際のところ真偽のほどは定かではない。それから数百年の間があり、いわゆる今の世界が形成された。それから間もなく人々は戦争を始め群雄割拠の時代に突入した。 

しばらくして賢王ナセルが世界を統一し、この世界の原型ができ始めてきた。それから幾世代もの間乱世の無い平和な日々を過ごしていた。この話は、そんな時代の時のことである。皇帝ファウルスの時代。初代の伝説時代の皇帝ナセルから数えると238代目となる。

 「おい、ジーク。早く起きろよ。演習の時間に間に合わないぞ。」と、日が昇らないうちから、耳元に喧しい声が聞こえてくる。随分と聞きなれた声だ。目を開けるとそこには、くりっとした目が特徴のルームメイトのカイツ=ドナテロがいた。次の瞬間全てのことが分った。今日、俺たちは演習で早朝から実戦形式の戦いがあること。

 俺は、すぐさま演習に行く準備に取り掛かった。学校の制服を着て、そしてもちろん参加するために必要な学生書と指定された武器を持つ。「カイツ、待たせて悪い。すぐ行くぞ。」すまなそうに言った。「いいよ。お前の時間のルーズさには慣れている。安心してくれ。」いつも通りの皮肉で切り返された。こういわれるとぐうの音も出ない。いつもこんな感じのやり取りだ。

 俺たちの通っている学校は「王立士兵学校ナセルウス校」である。いわゆる、王国のエリート中のエリートが集まる学校だ。もちろん、軍事関連だけなく史学や文学そしてありとあらゆる分野の教育がなされる。卒業後は、大体のやつは家を継ぎ、王国のために尽くす。苦学して入ったツテの無いやつは独力で立身出世をしていく感じである。

 かく言う俺はボンボンなわけだが。俺の親父はいわゆるできた人物で王国最強の騎士団の団長であり、皇帝の右腕でもある。竹を割ったような性格で悪を絶対に許さない強い信念を持っている。そして、その息子(俺からすると兄貴)もまたできていて、もちろん王立士兵学校ナセルウス校を首席で卒業。そして、親父の軍団に劣らないと評判の騎士団長である。

 どうも、逆立ちしても勝てなさそうである。兄貴とは年は10以上離れているがどうしても比較されてしまう。出来損ないの見本にいつも俺はされてしまう。

 法令で今は認められたもののみしか剣を所持することができない。資格は、王立の士兵学校を卒業したもののみに与えられる。王立士兵学校の卒業生は人口の1パーセントにも満たない。そのため、多くの人間がエリート意識を持っている。欠陥商品の俺としては、どうも居心地が良くない。みんな、自分が王国を動かすんだという我が強すぎる。いるだけで、窒息しそうだ。

 けれど、苦学して平民から出てきたカイツだけは違いすごく馬が合う。そんな生活も、あと僅か。演習が無事終われば、晴れて卒業である。これが終わったら旅をして色々な国を見てみよう。100を超える王たちが皇帝ファウルスに忠誠を誓っている。俺は、その100を超える色々な国々周ってみよう。「おい、ジーク。何しているんだ?着いたぞ。」少し引き締まった声でカイツが言った。どうやら、考え事をしているうちに着いてしまったようだ。


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