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ヤッチ1021

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2011.07.29
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カテゴリ: 原発避難
7月15日に4ヶ月ぶりに見た懐かしいはずの町並みは、想像以上に荒れ果てながらも、そこだけ3月11日のままで、普通の生活に戻っていた自分を苦しめる光景でした。

中継地点の川内村総合体育館では多くの東電社員が長袖の制服に身を包み、駐車場の警備から帰宅者の事務手続きに対応していました。
後は、他県からの医師の方々が体調面で問診等をしてくれていました。

初めに受付を済ませ、同意書に署名し防護服等を配布してもらい、昼食用としてあんぱん・ジャムパンそれぞれ1つずつとペットボトルの水を1本説明を受けていうるうちに体育館の中で食べるように指示されました。
でも冷房もない体育館でこれから向かう自宅の事を考えると甘いパンは喉を通りませんでした。

一通りの説明・注意事項を受け防護服へと着替え、持ち物を預け、無線機と線量計を1組受け取りバスへ移動しました。

20キロ圏内までの道のりにある民家では何人もの人たちがマスクもせずに普通に生活してる横を防護服で完全防備に身を固めた私たちが乗ったバスが通り過ぎる奇妙な感じで、この差はなんでしょうか?私たちが過剰反応?それとも・・・。目に見えるものではない物の恐怖だけです。


20キロ圏内には警備の警官が警戒門を開けてくれ、ずんずんと見慣れた道、街並みが見えてきました。
本当に3月12日のままの道路状態(破壊されたまま)と民家には冬物の洗濯物があの日のまま、そして落ちた瓦屋根にはブルーシートが掛けられ(町の計らいで)今も力強く持ち主を待ち踏んばっているようでした。




それぞれの自宅前で保冷剤と紙タオルを受け取り、2時間内に作業を終わらせ無線でバスを自宅前まで呼ぶように言われバスを降りました。

降りた瞬間涙があふれアパートを見ておらず、外観はまったく覚えていません。
恐怖と不安で自宅を直視できず、涙もゴム手袋ではぬぐえず自宅に入ってからゴム手袋を脱ぎ
綿手袋になってからやっと、紙タオルで吹き出る汗と一緒に拭えました。

「これは酷いな~」夫の一声です。夫は玄関からしばらく動こうとしませんでした。
ハエとショウジョウバエの集団。
地震だけではない、何かが家中を荒らした跡。食いちぎらればら撒かれたカメのエサ。

そして、大事なオカメインコ達とハムスターの籠が倒されその周りには鳥達の羽根・・・。

どこにも鳥達、ハムスターの死骸は見当たりません。

夫が奥の部屋の窓が少しだけ空いてると閉めに行きました。

きっと大きな余震で窓ガラスの鍵が開き少しずつ開いたところに、風太郎が口笛をまねて鳴く声を聴き猫が空腹のあまり高い窓を乗り越え侵入したんでしょう。


どうしてあの時この子達を連れて避難しなかったのか、どうして最後まで守りきれなかったのか私が見殺しにしてしまったと自分自身を責めるしかないのです。この苦しみは突然映像に見え私を今も苦しめます。一生消えない苦しみでしょう。

夫は「クーちゃん達の死骸が無かった良かったんじゃないか?餓死した姿を見たらもっと悲しいんじゃないか?」と言っていました。
どちらにしても、私が見放した事の延長にペットたちの死があることだけが事実です。
一生面倒を見てあげるから、一緒に年取ろうねと約束したペット達。
結局私は嘘吐きです。ごめんなさい。


「すごいどー亀もイモリも生きてるぞ!」
4か月イモリはエサも無く生きていたのです。6年前の夏に茨城のペットショップで買ってからずっと一緒で、手を入れると急いで顔を出し急いでよじ登ってくる程慣れていました。
亀も冬眠から覚めエサも食べずに痩せていたようです。
夫に頼んで、近くの側溝に放してきてもらいました。
少しでも長生きしてくれたら、そう願うばかりです。

どうしてこんな別れ方をしなければいけなかったのでしょうか?
ペットだけではありません。友達も近所の方も今までの生活も何もかもあの日から突然無くなりました。

帰りのバスは冷房が故障していて、外気よりも高い温度になっていて、カーテンもない車内はサウナ以上です。支給された紙タオルで吹き出る汗を拭うとすぐにビチャビチャになり破れ、急速保冷剤も10分もたたないうちに熱くなってしまいます。そんな中に全員が揃うまで1時間近く待たされ、やっと体育館へ移動です。
バスの中では近所の電気屋さんは空き巣に、多くの売り物の電化製品を盗まれたと激怒し東電社員に詰め寄っていました。みんなイライラし何かが起こりそうな空間です。


異常な暑さと緊張感で体育館に着いた途端倒れてしまいました。
熱中症なのかパニック障害なのか手足が痺れ、冷や汗と涙がどっと出て意識が遠のき車いすで救護室で1時間ほど休んでいました。
同乗者で私のほかにも2人熱中症患者が出て、その一人は東電社員でした。

スクリーニング検査がその中で行われ落ち着いた頃には帰宅参加者は私達だけで、会場にいた多くの東電社員も2台のバスに乗り込み帰宅準備をしていました。


一時帰宅


川内村からいわきへ抜ける帰り道で1匹の犬に会いました。
痩せ細った体でおびえながら近づいてきたので、お昼用にもらったあんぱんとジャムパンを3つあげ、瞬く間にあまり噛みもせずに飲み込んだ風でした。
車にあったお茶を道端に流してみましたが、さすがにお茶は嫌いだったみたいです。

道路沿いにいて動物保護団体または役場の人の目にとまり早く救出してもらえればいいなと思いながら「ごめんね」と後にしました。

自宅の近くに最近生まれたと思われる仔牛を連れた母牛が畑の草を食べている姿が、あちこちで見られました。頑張って生きているんです。生かしてやりたいです。
















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Last updated  2011.07.30 18:52:50
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一児のパパ@ Re:下着泥棒に遭遇。警察通報のち容疑者連行(01/27) あなたのおパンティ私にもいただけないで…
coco@ こんばんは^^。 メールBOX、見ました。 ヤッチさんにメー…
ヤッチ1021 @ ぺんぎんさんへ お久しぶりです! 仙台も暑いですか~いつ…
ぺんぎん@ Re:夏休みの思い出(09/01) お久しぶりです 猛暑のなかの夏休みで 大…
ヤッチ1021 @ cocoさんへ 一言で言うと、疲れました。 英語疲れと…

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