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今日、見た先生のハンカチには、かわいいスタンプが押されていた。先生は、男なのに、そーゆー趣味があったの?なんて思っていたら、図工の時間に『各自で大事な人に贈るカードを作る』という宿題が出され、あたしは頭が痛かった。絵なんか、描けないし。字も下手だし、詩とか句とかも無理。友達は「テキトーに雑誌の切り抜きでも貼ろうよ」と言ってたけど、あたしにはセンスないし。とぼとぼと家に帰って来た。「ただいまー」「おかえりー。かあさん、買い物だって」2つ下の弟が、おやつを出してくれた。こいつ、男のクセにヘンに気がきく。「ねーちゃん、顔くらいぞ。なにかあったんか?」「それがさー、宿題でちゃってさー」あたしはブツブツと、弟にグチった。「なんでそんなもの、作らなきゃいけないのよってねー」うんうんって聞いてほしかったのに、弟はだまって考えこんでた。しばらくして、「ねーちゃん、スタンプつかえば?」と言った。「スタンプ?ダメだよ。あたし持ってないし。それに高いもん」あたしはお店に売ってたスヌーピーやミフィーのスタンプを思い出した。1個500円とかしてた。あたしのお小遣いは1ヶ月1000円だから、そんなの買ったらおやつもマンガも買えなくなる。あれは、もっとお金を持ってる人が買うものなのだ。「なにいってんの?おれだってもってるんだよ」弟がランドセルから1枚のカードを取り出した。それにはなんか見たことのある、キャラがスタンプしてあった。「なに、これ」「こーやって、カード作って知らないひとにおくるの。そーゆーボランティアがあるんだ。おれ、絵とかかけないしちょうどいいよ」「でもこれ、スタンプでしょ?」「しらないの?これ、100円とか200円のガチャガチャでとれるよ。あと、おかし買ってもらうときにオマケでスタンプついてるのにしたりしてる」「・・・そーなんだあ・・・」しらなかった。そんなの、あるんだ。「お店で売ってるやつって高いけど、オマケなら安いし。もってるとけっこーつかえるよ」「・・・高いのって、ほしくないの?」「お年玉でたら、買う」にっこりわらって、弟が言った。「ねーちゃん、おれのかしてやるから、それで宿題つくったら?」「いいの?たすかるー!」どーせなら、あたしのかわりに作ってくれないかな?なんて考えながら、弟と部屋にむかった。明日、先生おどろくかな?それだけの、おはなし。*今回はバンダイのガチャポンカプセルのスタンプ(\200)と輸入雑貨スタンプ(\100)です*
May 29, 2007
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「お~い、俺のハンカチ、どこ?」「知らないわよ、自分で探して」朝の、出勤前の慌しい時間。台所から彼女は少し苛立った声で、答えた。仕方ない。彼女にもキチンと仕事をしてもらわなければ、このマンションの家賃だって払えないのが現実だ。俺って、安月給だから。亭主関白を宣言した俺としては、ハンカチくらい彼女に用意してもらいたいが、ここはぐっと我慢する。これ位で、怒るのはやめよう。なにしろ、最近の彼女は機嫌がいいのだ。何でも、義理の娘との関係に悩んでいた友人が、彼女のあげたスタンプ(ピエロのような魔法使いのネコ柄)で元気を出したんだとか。自称:スタンプマニアの彼女としては、うれしい限りなのだろう。友達を大事にするのには賛成だが、自分の旦那様も大事にしてくれよな・・・なんて考えながら引き出しを探っていると、奥から古いハンカチが出てきた。手に取って、広げてみる。『ありがとう』チワワの可愛らしい絵柄と足あと、それに四葉のクローバーのスタンプが押されたハンカチ。間違いない。あの時のだ。何年前になるんだろう?当時、俺と彼女は同じ職場に勤めていて、その頃から彼女のスタンプ好きは有名だった。そんな彼女を「かわいい」と思ったのは俺だ。当然、交際を申し込むのには時間はかからなかった。しかし、交際を申し込む俺に対して、彼女は直ぐに返事をくれなかった。「ごめんなさい。私、男の人から、そんなこと、言われた事、なくて・・・。」しどろもどろに言葉をつないでいた。「あの、お返事、今度で、いいですか?」「いいよ。いくらでも待つから」彼女からの返事は一週間後だった。俺のデスクの上に、『ありがとう』がスタンプされたハンカチが置かれていた。「そ、それが、わたしの・・・正直な気持ちです・・・」答えの意味を計りかねている、俺に彼女は言った。「・・・つまり、OKって事?」彼女はおおきく頷いた。彼女が自分の気持ちを込めた、そんなハンカチだった。不意に、あの頃の気持ちが蘇った気がした。あれから何年も経っている。彼女も俺もその分歳を取り、お互いが空気のように思える事も少なくない。でも。あの頃の気持ちはここに生きている。そんな気がした。「ねえ、何やってんの?先いくよ」「はいはい、今行くよ」彼女の声に答えて、俺はハンカチを胸ポケットに入れた。通勤電車の中で、彼女に見せてみようと思った。「やだ。まだ持ってたの?」と、恥ずかしがりながら、それでいて嬉しそうに文句を言う彼女の姿が目に浮かんだ。それだけの、おはなし。*今回もLa FERICAさんのスタンプを使用しています。*
May 27, 2007
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主人が前の奥さんの所に居た娘を引き取った。前の奥さんが亡くなったから。私は特に反対しなかった。不安はあったけど、それよりも仲良くやっていきたい、本当のお母さんにはなれないけどせめて『少し歳の離れたお姉さん』くらいになりたかった。それなのに。あの子は何か、よそよそしい。まるで私に遠慮しているみたい。「遠慮しないでね」って言ってるのに、常に敬語で私に話す。主人に相談したけど、「それはおまえの、母親としての自覚が足りないからだ」と言われた。悲しかった。なんで判ってくれないんだろう?そんな日が続いた。落ち込んだ私を見かねて、友達が遊びに来てくれた。友達は私の悩みを黙って聞いてくれていた。「仕方ないね。時間かかるよ」「うん。わかってるんだけどね・・・」友達が何かを取り出した。スタンプだった。「これ、あげる。悩んでる時は、頭空っぽにするのが一番!これ、やり」「?どうするの?」「押すのよ、紙に」そういえば、あの子の部屋にカードが飾ってあった。あれに、スタンプ押してなかったっけ?友達が帰った後、あの子の部屋に行った。(勝手に入るのは悪いと思ったけど)机の上に型抜きされたカエルが貼られ、綺麗なスタンプの押されたカードが飾られており、その前にはインクパッドと白いカードがあった。私は椅子に座り、手前のインクパッドを開いて、手近にあったカードに友達のくれたスタンプをぺたぺた押した。薄いグリーンのインクで押されたのは、ピエロのような猫だった。「ピエロ、か」私はカードを手に取った。「・・・そうよね。私もアンタと同じ。ピエロなのかも」頑張っても、頑張っても、主人にもあの子にも伝わらない。一人で空回りしている、滑稽なピエロ。涙が出てきた。しばらく、涙でにじむ視界で猫のピエロを見ていた。不意に。あれ?と思った。猫のピエロは、ステッキを持っていた。ステッキ?なんの?「・・・あんた、もしかして、魔法使いなの?」その時。猫のピエロが笑った気がした。“ナイショだよ”って聞こえた気がした。「ああ・・ごめんね。ピエロじゃ、なかったんだ」涙をぬぐうと、自分が笑顔になっている事に気付いた。私、まだ笑えるんだ。もう少し、頑張ってみようかな、って思った。「ありがとう、猫の魔法使いさん」“いえいえ”なんて、言っている気がする。お詫びに青と赤のインクで、新しく押してあげた。魔法使いらしく。もうすぐあの子が帰ってくる。私は夕飯の支度に取り掛かる事にした。それだけの、おはなし。今回使用したスタンプ:La FERICAさんのスタンプ(ネコのは廃盤品・・・)
May 25, 2007
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あたしは泣いていた。お母さんが死んで、泣いていた。お母さんが死んだ事は、悲しい。でも、だからって3歳の時から会っていない父親の家に引き取られるのは、もっと悲しいし、くやしいし、嫌だ。だから、私は泣いていた。「どうしたの?」見ると、小学生くらいの男の子があたしを見ていた。「泣いてんの」あたしは言った。「どうして?」「お母さんが死んで、父親の家に行くから」「ふ~ん」男の子は大して興味なさそうに、答えた。「ぼく、おかあさんいない」男の子が言った。「え?どうして?」「しらない。さいしょから、いない」「お父さんは?」「いるよ。おとうさんは“みこんのちち”なんだって」男の子は笑った。あたしはワケが判らなかった。未婚の父って、何?「これ、あげる」男の子がカードを差し出した。葉書程の、切り抜いたカエルや何かが貼ってある、綺麗な柄のスタンプの押されたカードだった。「あんたが作ったの?」大きく頷いて、男の子は笑った。「げんきだしなよ。とーさんがいってたよ。“いつもわらってればしあわせだ”って」何故か、胸が痛かった。『笑顔が可愛いんだよ、あんたは』ってお母さんの言葉を何回も思い出してた。男の子は手を振って帰って行った。あたしは手の中のカードを見ていた。机に飾ろう、そう思った。それだけの、はなし。今回のスタンプ:La FERICAさんのスタンプ(限定品・廃盤品含む) +『ひらきっず』の型抜きパンチ
May 24, 2007
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小学生の時、同級生に「子供が欲しい」という男がいた。「早く結婚したいの?」「違う。子供がほしいんや」男はその頃から、どうすれば子供だけを手に入れられるのか、だけを考えていた。高校生の時。小学校の同級生から電話があった。「アイツ、片っ端から電話かけて『俺に子供産んでくれへんか?』って言ってるよ」どうやら、卒業アルバムに記載されてる女子の所に、片っ端に電話していたらしい。うちにもかかってきた。「なあ、子供産みたくない?」「誰が」相手にしなかった。それから、その男は恋人が出来ただの、結婚するらしいの様々な噂が飛び交っていたが、定時制の専門学校に通う私は自分の事に手一杯で、男の事をすっかり忘れてしまった。再会したのは2年ほど前である。3歳くらいの男の子を抱えて笑っていた。「結婚したん?」「いいや。なんとか子供を産むだけで、結婚しなくてもいいって女に会えてな。やっと子供できたんや。未婚の父や」「なんで結婚したくないの?」「なんでやろ。ただ、俺は子供と暮らしたいっておもっとった。自分の血を受け継いだ子供が欲しい、そう思ってただけや。結婚は、したないわ。」それだけ短く話してわかれた。世の中にはこういう人もいる。それだけの、はなし。
May 23, 2007
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今日、初めてここに日記を書く事になった。知ってる人からの紹介で来ちゃったんだけど、今までやっていたSNSと使い方が違うので、かなり戸惑ってしまい、時間がかかった。ん~、せっかくネットやってるんだから、色んな事に挑戦していかなきゃダメなのね~つくづく、実感。もうしばらく、色々して慣れてから本格的に書いていきたいと思いマス。どーぞ、よろしく♪
May 22, 2007
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