福岡市個別指導塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

福岡市個別指導塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

2025.06.19
XML
カテゴリ: 授業論
授業に大切なのは、実は“スキル”ではない——。
こんなことを言うと、「いや、分かりやすい板書」「スムーズな説明」「豊富な知識」など、講師としての技術力が大切ではないのか?という声が聞こえてきそうです。でも、私は声を大にして伝えたいのです。

それよりも大切なものがある、と。

■どれだけ準備しても「聞く気」がなければ届かない
授業というのは、舞台のようなものです。
講師が一人で準備し、セリフ(=説明)を覚え、完璧な構成を整えて教室というステージに立つ——これは理想の姿かもしれません。けれども、どんなに台本が完璧でも、“観客”である生徒が最初から寝ていたら、舞台は成立しないのです。

つまり、生徒の「聞くモード」をONにできるかどうか。
ここに授業の成否はかかっている、といっても過言ではありません。

■スイッチは「心」にある
「この先生の話、ちょっと面白そう」とか、「この先生、自分のことを分かってくれそう」という“感情” から入ってきます。

つまり、信頼・興味・安心感のどれか一つでも感じさせることができれば、生徒は心の扉を少しだけ開けてくれます。そこがスタートライン。授業は、そこからようやく成立するのです。

■では、どうやってそのスイッチを押すか?
それが、 最初の「掴み 」です。
この掴みとは、自己紹介でも、雑談でも、ちょっとした問いかけでも構いません。大事なのは「生徒の目がこちらを向き、少しでも考えたくなるようなひとこと」を入れること。

例えば、

「この前コンビニで見た中学生の話なんだけど……」
「今日の授業、最初にクイズからいこうか」
「今から話すのは、実は君たちの未来にも関わることなんだよ」

このような、日常と地続きの話題や、生徒の“今”に刺さる言葉を出すことで、生徒の注意は「聞く」に切り替わります。


プロの落語家や芸人が、最初の一言に命を懸けるのはなぜか。
それは、聞き手の心がそこで決まると知っているからです。
授業もまったく同じ。教える内容が同じでも、「入り」が違えば、生徒の反応も、記憶も、理解度も変わります。

だからこそ、“掴み”は磨く価値がある技術です。
むしろ、講師としてまず身につけるべき“教える前の技術”なのかもしれません。


私たち講師は、つい「どう教えるか」「どう見せるか」に意識を向けがちです。でも、もっと手前に立ち返ってみてください。

「生徒は、今、聞くモードに入っているか?」
「この空気は、話が届く状態か?」

その確認をしてから、授業を始めましょう。
そして、生徒の心にスイッチを入れる「掴みのひとこと」を、今日も準備してみてください。

授業は、技術ではなく、心を開くことから始まるのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.06.19 00:05:54
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: