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2004年11月09日
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 シンガポール。二日目のロバート・キヨサキのセミナーは、朝9時から始まった。内容はここで詳細には取り上げないけど、人生がひっくり返るくらいすごかった。
 ところで、このセミナーにはVIP(普通の席)とプラチナ(前列の予約席)があって、プラチナシートの人にはラウンジがあり、食事もつく。東南アジア各国の人たちと、名刺交換したり、通訳の人たちと楽しく話したりしながら、昼食を取っていた。
 そこに、今回のセミナー主催者であるリチャード・タン氏が通りがかった。
 「リチャードさん、お忙しいでしょうけど、近いうち時間取れません?」
 人間は「どうせダメだ」という言い訳をよく使う。会場は騒然としていて、リチャードさんは明らかに忙しい。
 それに、向こうはアジア一の大手セミナー会社のCEOだ。それに引き換え、こっちは町中で小さな塾を経営している存在だ。
 それに・・・・それに・・・・

 言い訳は、やめろ。

 会社の規模?そんなの問題か?


 夜9時終了の予定が、オプショントレードの話が過熱し、ロバート氏と彼のチームが舞台を降りたのは、真夜中11時をまわっていた。

 クリスマスのネオンを着始めたシンガポールの街中を、さわやかな疲れとともに走るバス。
 「バルドゥビーダ人さん、ちょっと」U氏が手招きした。
 「今夜、リチャードが来ます」
 「わざわざ俺のために、このホテルへ向かえに来るっていうんですか?」2000人の熱気の、一日がかりのセミナーの映像が、まぶたに浮かんだ。
 「ベロニカ夫人も一緒にきます」
 実は、私の心の中は、静かな準備ができていた。

 ふと腕時計を見ると、短針までも12を指していた。
 緑色のベンツが、フラマホテルの玄関に到着した。リア・シートに滑り込むと、タン夫婦と一人ずつ握手する。
 「私達、よくこの店に行くんですよ」ベンツが止まったのは、よくある庶民のレストランだった。
 私は、こういう店に来たかった。ホテルの、おあつらえ向きのかしこまった食事でなく、現地の人が食べている味を知りたくて、その機会が今回意外な装いでやってきた。


 でも、ちょっと待てよ。そういえば、なぜこんなに旧知の友達のようなんだろう?
 リチャードさんは、シンガポールの大立者だ。この人の人脈はロバート氏に限るものではない。目の前に座って鍋をつつくこの男は、驚くことだが、世界の著名人を人脈に持つ。
 不動産王ドナルド・トランプ。
 ソ連最後の大統領ゴルバチョフ。
 前アメリカ大統領ビル・クリントン。

 彼らは、穏やかそうなこの小柄な男の誘いによって、皆シンガポールで講演をしている。
 そんな大立者が、このどこの草むらから出てきたのかわからないバルドゥビーダ人に、上から見下すこともなく、指示するようでなく、横から水平に一人の人間として、友達のように接している。その態度は、ベロニカ夫人も同じことだった。(というか、バルドゥビーダ人も同じことだった)

 彼らを私につないでくれたU氏は、どこにも恩着せがましいところがない。

 ついこの前まで、お金がなくて5年間もジーパン一つ買えなかった男が、今上流階級の輪の中に同席している。俺は、タイタニックのジャックなのか。

 いや、人間にとって大切なことは成長じゃないだろうか。こうやって、俺も変わっていく。
 もう後戻りできないところへ向かって、山と谷のある道を。





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最終更新日  2004年11月20日 00時52分12秒
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