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2004年11月19日
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それは5年振りの再会だった。パリ在住の芸術家・アズマさんとサントリーニ島。

 5年前の3月、アテネのピレウスから船に乗った。風はまだ肌寒かった。
 エーゲ海の碧い海を南へ向かって。
 島から島へ。
 そして
 目に染みる風景、
 サントリーニ島。

 あれから、いつでも心のどこかに共存している。


 アズマさんは昨日東京にやってきて、初めて再会することができた。

 素晴らしい経験は、時間が経つにつれて、頭の中で理想化されることがある。
 ところが、サントリーニの場合は逆だった。こんな素晴らしい光を、都会の喧騒のなかでいつしかトーンを落とし、鮮度を落とし、透明度やカラーを知らず知らずのうちに落としていたことに、アズマさんの持ってきた写真を見ていて気づかされた。

 サントリーニは、物理では説明できないことが多すぎる。
 あの海の色は、宝石のような碧というだけじゃ伝わらないし、
 あの太陽の光は、明るいというだけじゃ何も話したことにはならないし、
 あの夕日の色あいは、この世のものとは思えない神秘だといっただけじゃ、おそらく何も語ったことにならないし、
 あの白壁や路地、教会、崖に作られた町の光景は、なんど「すごい」と言ってはみても、伝わらない。

 あの島には青春がある。
 あの島には一瞬がある。
 あの島は生きている。

 あの島は真実に気づかせてくれる。
 ギリシャから哲学者が出てきたことも、偶然ではないなと悟る。
 あの島には、人が生まれてきた価値がある。

 「とっても美しい若い女性がいる。その人は外見も心も美しい。そしてそのままずっと、若いまま年を取らない」
 俺はじっと、耳をそばだてた。

 そして続けた。
 「もちろん美しいだけじゃない。怖さも持っている。あの島は、女神だよ」

 俺は、ただうなずいた。





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最終更新日  2004年12月03日 02時54分47秒
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