
「酒は自由と共に進む」
スコットランド第一人者の人気詩人バーンズほど、酒を素直に賛美しつづけた人間はいないだろう。
『スコットランドの歌』と題した詩では、
彼は
「ワインのことなど他の詩人に任せておけ。
私はスコットランドの大麦が作る酒を讃えよう」
と前置きして、こう歌う。
『おお、ウイスキー!人生の愉悦と即興性の塊!
詩人の心から感謝の念を受け止めてほしい!
おまえが存在しなければ、わが哀れな詩も調子っぱずれのガナリ歌!
おまえが目の前に現れなければ・・・』
また彼はこうも歌っている。
『酒は自由と共に進む!』
当時、彼の故郷の酒スコッチには、イングランド政府から重税がかけられていた。
その反骨精神と自由な心を、彼はウイスキーへの熱い思いに託して歌い続けたのだ。
ただ、その日常は酒浸りで、女性関係も複雑だった。
人々は彼を
「飲んだくれの女たらし」
と呼んだらしいが、それでも、この無頼漢の魂は詩人のやさしさに満ちている。
それは彼がつくったスコットランド民謡「久しき昔」が世界中の人に愛され、
平安を与えていることからもわかる。
日本では「蛍の光」として親しまれているが、この歌も
「グラスあおれば気分は無敵。ウイスキーありゃ悪魔も目じゃない」
という酒浸りの日々から生まれたのだ。

