― R ’s  Bar ― 癒し系バーの威圧系バーテンダーのつぶやき・・・

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酒は民主主義の母




ラファエロ

ラファエロ「アテネの学堂」1509~10年
フレスコ ヴァティカーノ宮 「署名の間」
中央左がプラトン、右がアリストテレスだ。




   酒は民主主義の母



   ソクラテス
   「酒は魂に潤いを与え、悲しみを静め、やさしい感情さえも呼び起こす」

   プラトン
   「酒は人生を進歩させ、人を教育するに有効なり」

   エラスムス
   「酒の中に真理あり」

   アルカイオス
   「真実なる酒神は、心の底に隠れたことも打ち明けさせる」



   古代ギリシア人は議論好きで、それも、酒を酌み交わしながら意見を戦わせるのが常だったらしい。
   なぜなら
   「酒は真を語るもの」(プラトン)
   で、
   「真実なる酒神は、心の底に隠れたことも打ち明かさせる」(アルカイオス)
   からである。つまり、酒が入っていてこそ本音の論議が出来たというわけだ。

   しかも彼らは論議の果てに、あるひとつの答えが出ても、
   そのまま鵜呑みにはせず、翌日も酒を片手に同じ議論を終日続けた。
   そして、前日と同じ結論に達したとき、初めて正式な意見とみなしたという。

   これがそもそもの民主主義の始まりだといわれている。
   その意味では、酒があってこそ、民主主義は生まれたといって過言ではない。
   但し、彼らギリシア人が飲んでいたのは、水で薄めたワインがもっぱら。
   対話法の名手ソクラテスはいくら飲んでも酔わない酒豪だったと伝えられるが、
   彼が飲んでいたのも、やはりワインの水割りである。

   ギリシア人ではワインには人を狂気に陥れる素が入っているとされ、
   それを取り除くためには
   “ゼウスの雨”
   つまりは水を混ぜることが必要だと信じられていたのである。
   また、そうでなければ彼らの議論も、
   泥酔の果ての殴り合いに終始して、とても民主主義など生まれてなかったかもしれない。
   彼らギリシア人といえば、物事を科学的に考えた民族だが、
   その考察は広く酒の分野にまでも及んでいる。
   人はなぜ酔うのかという疑問にはじまり、こと細かく酔いの正体を追求しているのだ。

   なかでも、アリストテレスは
   「ワインを飲んだ物は四方に倒れるが、ビールで酔った物は後ろに倒れる」
   といった観察まで真剣にしているから面白い。


   ――――さて、古来人間はさまざまな大義名分を構えては、
   酒を口にしてきたが、いったい、どんな種類の酒がもっとも美味だったのだろうか?
   ギリシアの樽の中の哲人といわれたディオゲネスは言っている。
   「どの酒が好き?そりゃ、人さまの酒に決まっているよ」
   この話の種はいくらでもあって、ただ酒ほどうまい物はないというのが古今東西の真実らしい。
   最後に、人はなぜ酒を飲むのだろうか。リュッケルトの答えは明快だ。
   「どんな理由からでも」


酒杯

ギリシアローマ時代の酒杯の装飾模様。
鳥の頭の杯も見られる。






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