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ジン 【GIN】




『詳説・ジンについて』





   ■Gin(英)ジン

   ■定義

   ■「ジュニーヴァ」(Geneva)の略。
    イギリスの現行法では、
    「ジュネーヴァ」は「ダッチ・ジュニーヴァ」すなわちオランダ産輸入品を指し、
    「ジン」のほうは「ブリティッシュ・ジン」すなわちイギリスの国産を指している。

   ■1952年、西ドイツの連邦専売局(ブンデスモノポール:Bundesmonopol)も
    「ジュニーヴァ」はオランダ国の製品に限ってこの称を許し、
    これに対して「ジン」は
    「グレート・ブリテン」と「ノーザン・アイランド」との連合王国、
    または「エール」の生産品に限る事と定め、
    輸入にあたっては原産地を証明する書類をドイツ税関に提出させることとしたのであった。

   ■(1907年9月5日付)     フランスの法律上の定義では「ジュニパー・ベリーの存在において、
    ライ麦、小麦、大麦またはオーツの発酵もろみの単一蒸留品」とある。

   ■スイスとイタリアの定義では「小麦とジュニパー・ベリーとの発酵のよってのみ得た…云々」とある。

    ベルギーの定義では、
    「ジュニパー・ベリーに発酵物を加え、または加えないで蒸留して得たアルコール飲料」
    もしくは
    「アルコール分と水とを所期の強さに混和しただけのアルコール飲料」
    とある。

    あまりの欲張りすぎ、「定義」になってないとさえ評されている。
    ジンには「下には下」があることを物語っている。

    ■歴史

    ■ジンは17世紀中頃オランダのライデン大学医学教授シルヴィウス(Francis de le Boё Sylvius)
     によって創製され、初めてライデンの薬局で売っていたのであった。

    ■シルヴィウスの死後、
     1689年ウイリアム3世がオランダから迎えられてイギリス王の位についてまもなく、
     「フレンチ・ワイン」や「フレンチ・ブランデー」の関税を引き上げてその輸入を抑え、
     ジンをイギリス国内に普及させたのであった。
     イギリスの労働階級はすぐにジンになじんだ。
     その結果、よくジン店で頓死する人が出た。
     賃金もジンで支払われた。
     パブリカン(公衆酒場)の店頭には
     「酔うだけなら1ペンス、
      死んだように酔っ払うのにはたった2ペンス、
      きれいなストローはロハ」
     という掲示が出され、おおいにジンの飲用をあおった。

     18世紀の前半にはジンの売上が45%増を示した。
     イギリスではジンを
     「ロイヤル・ポヴァーティー」(Royal Poverty)
     と戯称した
     「乞食でもジンに酔っ払うと王様になった気分になる」
     と言ったものである。

    ■しかし、サリスベリー、マンチェスター、ブリストル、ノリッチなどの都市から
     「酔っ払いが急に増えて困る。」
     という強固な警告が出たので、イギリス政府もいやいやながら何か行動をとらざるを得なくなった。
     1736年、サー・ジョン・ジーキル卿が提案した法案が成立し、
     「ジン」1ガロンあたり5シルの税金が20シルに引き上げられ、又ジン販売を制限して、
     年額50ポンド収めた公衆酒場の独占にした。
     シドニー・ウェッブの
     『イギリスにおける酒類免許史』
     によると、この法律はかえって逆効果であった。
     「暴動化」と「裁判所の完敗」に終わったのみの、実施不可能な法律でしかなかった。

    ■引き続いて新しい法律ができ、主として
     「無免許のパブリカンを取り締まること」
     「不正販売を規制すること」
     「飲酒場を改善する事」
     を狙ったものであった。

    ■1765年に至って、ようやくジン飲用の害が下火になった。

    ■1830年にあるイギリス人がジンに「ビタース」を配することを発明し、
     これが「ジン・カクテル」の発端になった。
     その後年々「ジン・カクテル」の新種ができ、
     今日の1000余種を数えるまでに至る発端をなした。

    ■北フランスでは、ベルギーやオランダの影響で、
     一時はこの地方で一番多く用いられるスピリッツといえば、それはジンであった時代もあった。
     ジンは「北方のコニャック」とさえ言われたものだった。
     北フランスではジンのことを
     「シーダム」(オランダの都市の名)
     と称して市販されていた。
     この地方では純度の高い工業用アルコールが発売される前から、
     ジンが製造され消費されていたのであった。
     北フランスにおける最古のジン蒸留所の1つはリールにあり、その創業は1817年であった。

    ■ジン用のアルコールを作るには原料は殆ど何でもよい。
     但し、現在及び戦前には、イギリス、オランダ、アメリカでは、ジン用アルコールは殆ど
     「グレーン・スピリッツ」に限っていた。
     然るに、1940年~50年の間はある種
     「ブリティッシュ・ジン」はさとうきび(モラセス)
     からの製品であった。
     蒸留には連続式蒸留機を用いるのがおおむねであるが、
     オランダなどでは、原料は通例「発芽させたライ麦」を用い、
     蒸留には単式蒸留器(ポット・スチル)を用いる。
     この場合には不純物を全部取り除くために数回精溜することが必要である。

     次にハーブ(香草類)とジュニパー・ベリーとをアルコールに投入して、今一度蒸留する。

     香草には
     コリアンダー・シーズ、
     シナモン、
     アンゼリカ、
     レモンピール又はオレンジピール、
     キャラウェーなどが用いられる。
     ジュニパー・ベリーは不可欠なもので、
     ユーゴスラヴィア、ドイツ、イタリア、オーストラリアなどから輸入品である。

    ■種類

    ■イギリス国内にはロンドンやプリマスなどの名産地がある。
     「ロンドン・ジン」、「ロンドン・ドライ」と称するものが世界中で最も多く飲用されている。
     「ロンドン」という何は格別な意味はなく、
     カナダ、南アフリカ、豪州、アメリカでも「ロンドン・ドライ」が作られている。
     これに対して「オールド・トム」は甘味付きであるから、むしろリキュールにかぞえられることもある。

    ■単に「ジン」といえば「ジュニパー・ジン」のことである。
     ジュニパーの1部を他の材料で代用した場合には、必ずその代表品の名を関して呼ぶのである。
     そのうちでは、「スロー・ベリー」という「スモモ」の実が一番普通にあり、これを「スロ-ジン」と呼ぶ。
     又、スモモの一種で、黒または暗紫色の小さな実の「ダムズン」を用いたものを「ダムズン・ジン」という。





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