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小林○観さんの書籍から引用しました 「ごえんの法則」138ベージから
私の海外ツアーに「超常現象のような話は一切信じない」というツアー
ガイドさんが同行しました。
私よりも年上の女性です。
乗客のわがままは聞かない。ましてや自分よりも年下の若い人間の言う
ことは聞かない。
彼女はとても高圧的で、攻撃的な感情をむき出しにしていました。
そんな彼女のいるバスの中で、私はマイクを片手に話をしていました。
「私たちは自然界から、割と味方してもらつているようです。
毎日のように、行き先々で虹が出るんですよ」
空に虹が架かるという現象は、旧約聖書にも登場とます。
神はモーゼに対して、次のように述べました。
「あなた方が私との約束を守る限り、私があなた方との約束を忘れてい
ないという証拠に、あなた方に虹を見せるであろう」
私はツアーの参加者に
「あなた方の目の前に虹が出るのは、神があなた方との約束を忘れずに必ず履行するという意思の表れです。それは旧約聖書に・・・・」
という話をしていました。
そんな話を聞いていた彼女が、
「ここのガイドを二十年もやってきたけど、ここで虹を見たことなんて一度もない。残念ながら虹は出ませんよ」
と私に耳打ちしてきたのです。
しかし、その日は八ヵ所を周遊したのですが、行き先々で空に虹が
架かりました。中でも間欠泉のように一分に一回くらいのペースでシオが吹き上がる名所
「シオ吹き穴」では、彼女と奇跡的な瞬間を共有したのです。
噴出する水の角度と差し込む太陽の角度がうまく重ならなければ、
虹は出てきません。
私たちがいた時は、吹き上がる度に虹が現れたのです。
ガイドさんはとても驚いて、私が言っていることに少し耳を傾けるようになりました。
翌日も同様に、私はバスの中でツアー参加者に話をしていました。
「感謝する気持ちを忘れなければ、植物も空も天気もみんな味方を
してくれるんですよね」
ふとガイドさんを見やると、目に涙を浮かべていました。
彼女にマイクを渡すと、
「結婚して四十年。私はとても強い立場で夫に接してきました、
私は夫に対して感謝したことがない、感謝とは何たるかも忘れていました。
「ありがとう」と一回も言ったことがない。夫婦関係を見直します。
私は今日から人に優しくなります」
と言い出したのです。
車内はすごく温かくて優しい雰囲気になって、そのガイドさんと
別れる時に、乗客のほぼ全員が彼女をハグしていました。
「私の人生はこれから変わります。これから変えます」
彼女はこれまで、とにかく強いだけの人だったのです。ずっと強さだけで生きてきた人間が「感謝の心」に気がつきました。
表情も初日とは別人で、穏やかな顔に変わっていました。
そのきっかけは、我々と同行した先々で、空に浮かぶ虹を見たからです。
彼女は
「明日はもう別の仕事が入っているので、空港までは見送りにいけ
ません。ここでお別れです。本当にありがとうございました」
という言葉を残して去っていきました。
翌日、空港に向かうバスに乗り込む我々を待ち受けていたのは、
なんと彼女でした。「どうしても、もう一度お別れを言いたかった」
彼女だけでなく、ツアー参加者の頬も涙で濡れた朝でした。